最近、巷でよく耳にするようになった「女性用風俗」(通称:女風)。その存在に興味を持つ女性は想像以上に多く、また「使ったことがある」という声も頻繁に聞くようになりました。
今回お話を伺ったのは、約20年セックスレスだったという主婦の千佳さん(仮名・47歳)。現在は数ヵ月に1度のペースで女風を利用しているそうですが、最初の一歩から“リピーター”となるまでの経緯を詳しく聞いてみました。
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【実録】「また女として“感じられる”なんて、思ってなかった」—セックスレス20年。47歳既婚女性が“女性用風俗”に手を伸ばすまで
女風「2回目」の予約
初めての「女風体験」から数週間。
何事もなかったように、千佳さんの“普通の主婦”の暮らしが続きました。
「でも、夜にぼうっとしてたり、ふとした瞬間にあのときの感覚を思い出すんです。自分の反応が意外で、忘れられなくて。人肌の温かさに触れることも遠のいていたので、癒された気持ちもありました。別に恋愛感情があるわけじゃないんです。なのに『また彼に会いたい』と思う気持ちにも戸惑い……。
……だから改めて自分を確かめたくなったんですよね。『依存ではない』と自分に言い聞かせて、2回目の予約ボタンを押しました」
「自分が女になる時間」が欲しい
2回目の予約時、千佳さんは前回よりは少しばかり冷静だったそうです。
「最初のときは『本当にこんなことしていいのか』と自問自答ばかりで、ほぼパニック状態でした。でも2回目は『また体験したい』の気持ちが勝っていました。
もちろん、『こんなことしてていいのかな』という罪悪感もゼロじゃないですが……それよりも、『自分が女になる時間』が欲しかったんだと思います」
ちなみに千佳さんは前回と同じセラピストを指名しました。「ゆっくりでいいですよ」と優しく接してくれた彼に好感を持ったそうです。
「初回で『怖くない』ということは学んでいたので。待つ時間も比較的落ち着いて過ごせました」
快感や刺激よりも、「安心感」
ドアを開けた瞬間、千佳さんは再びセラピストの彼の優しい笑顔に迎えられました。
「『また来てくださって、ありがとうございます』と言われて。それだけの言葉に、何だか思春期のようなくすぐったさを感じました」
2回目は会話もスムーズに進み、距離が縮まるスピードも少し早かったそうです。
「初回は『手を握ってもいいですか?』と聞かれてから、本当にゆっくりのペースで進めましたが、2回目は自然と自分から手を差し出していて驚きました。なんというか、女としての振る舞いが目覚めた気がします」
男性のふとした仕草や言葉に、身体が思い出すように反応する。身体に触れられたり、耳元で優しく名前を呼ばれたときも、千佳さんは胸の奥が熱くなるのを感じたと言います。
「快感とか刺激というよりも、『安心感』でした。そういえば人に触れられるって、こんなふうに満たされるものだったと改めて思い出しました」
「お金を払う価値は、十分にある」
90分の時間は、千佳さんにとって2回目もあっという間だったそう。
「最後に彼は、『今日も素敵な時間をありがとうございました』と言ってくれて。確実に社交辞令なんですけど、単純にうれしいんですよね。そういう小さいことが、ひゅんと心を上向きにしてくれる。なら、それにお金を払う価値は十分にあると思うんです」
帰り道、千佳さんはいつものように家族のための夕飯の献立を考えながらも、心はこれまでとは違う温かさに満ちていました。
「誰にも言えませんが、『母でも妻でもない自分』に戻る時間を作ってもいいと思う。依存してるわけではないし、セラピストの彼に特別な感情を持ってるわけでもありません。なんというか、女としての自分に会いたい気持ちが強いんです」
女風を使う回数を重ねるうち、千佳さんは次第に罪悪感もまったく感じなくなったそう。
「じっくり自分を甘やかすことに時間と労力を使っている。快感よりも、その事実がなんだか心地良くて……。
ちゃんと妻でいなきゃ、ちゃんと母でいなきゃと、これまで私は長いこと自分で自分を縛っていたと思います。だからたまには、こんな時間を作ってもいいのかなって」
恥ずかしそうに微笑みながらも、千佳さんの瞳は晴れやかに見えました。
取材/山本理沙





















