実は、多くの大人女性と同様、かくいう私も韓国ドラマ沼にドハマりしている一人です。
だから、人気の韓ドラ『私の夫と結婚して』と同原作の日本オリジナルドラマのお話をいただいた時は、「うそーっ！　絶対やりたいです！」と(笑)。
それも、韓国ドラマが大好きで、今回私が演じる主人公を優しく見守る会社の先輩という
役どころは、鑑賞しながら「この役やりたいなー」と妄想にふけっていた役だったんですね。
そして、日本実写版でメガホンをとったアン・ギルホ監督は、『秘密の森～深い闇の向こうに～』や『ザ・グローリー～輝かしき復讐～』などですっかりファンになった監督。
監督から「日本版は、韓国ドラマのリメイクではなく、原作小説をベースに日本の文化や感性に合わせて再構成されたオリジナル脚色作。韓ドラとは別ものとして考えてください」と伝えられ、韓ドラファンの自身を切り離すのに、ちょっぴり一苦労でした（笑）。

30年以上女優という仕事をしていますが、毎回“初めて”のことばかり。
今回は、アン・ギルホ監督以外にも韓国のスタッフさん、若手俳優の方、先輩にも
初めて共演する方がいたりと、「初めまして」の連続。
それに、撮影技術一つとっても30年前とは全然違うし、何なら10年前とも違う。
日々進化する中で、それを新鮮に受け止めて純粋に演じていかなくてはなりません。
キャリアが何年ということなど関係なく、毎回一つ一つの現場が新鮮。
44歳という年齢の今、現場ではちょうど先輩と後半に挟まれた真ん中にあたる世代。
今お稽古中の舞台では、大先輩とご一緒させていただいていますが、
大先輩からしてみたら、私なんてうーんと下の後輩なわけで、新人のような気分です。
その大先輩に認めてもらいたいという気持ちが強くて、30年女優をやっていようがそんな
ことなど関係なく、「今の私のお芝居どうですか？」と、自分を全て曝け出して見せています。それで、「今のすごく良かったよ」と言ってくださると、すごく嬉しい気持ちになって。
そんな気持ちに浸る中、先輩のお芝居を目の当たりにすると、「凄い！」「自分もそんな女優になりたい」と、また奮い立たされるんですね。
一方、私自身はまだ後輩にアドバイスをできる自信はないけれど、「あっ、緊張してるな」
なんて感じると、「今度ゴハン行こうよ。ゴハン何が好き？」なんて話しかけてみたりして。
人との距離感って、案外お芝居に出てしまうものだから。
人生100年時代の真ん中世代、女優としても今、ど真ん中に立っているようです。

今、ご一緒させていただいている素敵な先輩女優さんを目で追っていると、
その先輩が「とても素敵」と思っている大先輩女優さんもいらっしゃるんです。
私は、目の前でそのお二人のやりとりを拝見するのが、とても幸せで……。
だから、何年後かに、私がその場所に行けたらいいな、と思っています。
そして、後輩が「ああなりたい」そう思ってくれるような女優になれたら—―。
人生100年時代、定年がない女優という仕事に、どうやら欲が出てきたようです（笑）。