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【子育て】海洋冒険家・白石康次郎さん夫婦「子どもを信じてやりたいことをさせる」

ヨットで単独世界一周を果たした海洋冒険家・白石康次郎さん。STORY YouTube企画では、子どもたちへの温かく力強いメッセージが印象的でした。白石さんの言葉になぜこんなにも心を奪われるのか?きっとそれは、90日もの間、たった一人で大自然に向き合う中で、自分とも向き合い、物事の真理を見極める、凄まじい力があるからではないかと思います。

今回、特別に妻の海夕希さんをインタビュアーに迎え、白石家の子育てについてお話いただきました。ご夫婦の会話の中には子育てのヒントがたくさん散りばめられています。ときにほっこり、ときに目頭が熱くなるおふたりのお話をお届けします。

白石康次郎さんprofile 海洋冒険家。1967年生まれ。鎌倉育ち。1986年に故多田雄幸氏(第一回単独世界一周レース優勝)に弟子入り。1993年にスピリット・オブ・ユーコー号艇で単独無寄港世界一周を達成。当時の世界際少年記録を樹立。2006年には単独世界一周ヨットレース「5オーシャンズ」クラスⅠに出場し2位。2016年世界一過酷なヨットレース『ヴァンデ・グローブ』に日本人として初参戦した。2020年・2024年、『ヴァンデ・グローブ』で2連続完走を果たした。これまでに世界の海を10周以上の距離を航海している。妻の海夕希さんは元テレビ東京アナウンサー。二人の間には大学生の一人娘がいる。
【INDEX】 ★ 子どもの自立を重んじる白石家の父の教え
★ 子どもを信じて、やりたいことをさせる
★ 究極のワンオペでも尊敬し合う気持ちが大事
★ 子育てママへ伝えたいこと
★ 母として悩むあなたへ|海洋冒険家・白石康次郎夫妻が語る“子どもを信じる育て方”

子どもの自立を重んじる白石家の父の教え

  • 小学校1年生で母が亡くなり、父は男手ひとつで僕たち兄妹を育ててくれた
  • 海に憧れて水産高校に進学。実習航海としてマグロ漁にハワイへ

康次郎さん(以下・康):小学1年生の頃に母を亡くし、父は一人で僕と兄と妹の3人を育ててくれた。あとから祖母も家に入ってくれたけれどね。父は躾には厳しかったけれど、僕が決めたことに対してあれこれ意見することはなかったんだよね。僕は小中と国立大学附属の進学校に通っていて、ほぼ皆が学業を主として進学する中、幼少期から海への興味が強かったから、水産高校に進路を希望して。『船で世界一周したいんだ。』と父に話したら『そうか』と、それだけ。進路指導の先生を説得する方が大変だったくらい。

海夕希さん(以下・海):水産高校に初めて進学した人になったのよね。康次郎くんが20歳で家を出た時の話も印象的だった。ヨットで世界一周するからって出る息子を『そうか』の一言で送れることはすごいと思う。

康:この行動も、父から教わったことでもあるね。『何もしなければ何も起きない』といつも言われていたから。まだ小学校に入ったくらいのとき、電車の行先を尋ねたら「あそこの駅員さんに自分で聞いてごらん?」と。わからないことがあったら自分で調べてみる、知っている人に聞いてみる、父から促された行動が小さい頃から身についていたから、ヨットの師匠の元にも飛び込んで行けたんだろうな。高校進学も家からの自立も、僕の意見とその行動を父は尊重してくれていたんだ。

海:そのお義父さんに、お亡くなりになったお師匠さんのヨット購入をお願いする時の話も好きだな。

康:僕の師匠が自殺してしまって…遺されたヨットには買い手がつかない状態。僕はどうしてもそのヨットで世界一周をしたかった。ただメーカーもタダで渡すわけにはいかないから「500万円でどうか」と。そんなお金は到底自分の手元にはなく、父に『どうしても世界一周したいからお金を貸してくれないか?』と頼みに行ったら、父は『俺は冒険には金は貸せないよ。もしお前が死んだら、俺は一生海を探し続けなければならない』と。『ただし、もしお得なヨットが売りに出ていて、それが欲しいのであれば買ってやってもいいよ』と。父の解釈だったのかな。冒険には金を出せないけれど、息子に夢があるならそれも叶えてあげたいと、自分を納得させる解釈を考えたんじゃないのかな。そう言ってお金渡してくれたんだ。

海:お義父さんって、分かりやすく「お前のことを愛しているよ」みたいに言うことはないんだけど…。本当にこのお話を聞くと愛情深いな…って。

康:父は厳しい男だったけれど、厳しいから愛情がないわけじゃなくてね、非常に愛情深く凛とした男だったね。

 

子どもを信じて、やりたいことをさせる

  • 「一度は父親が何をしているか見せようと、大人になったから今年は娘にヴァンデ・グローブに来てもらいました」

海:今のお義父さんの教育が、うちの子育てにすごく通じていて。康次郎くんはこういう環境に育ったのだけれど、私は真逆。私の母はすごく心配性で厳しくて、何にでも口を出すし、制限もすごかった。私、本当に苦しかったんですよ。康次郎くんに出会ったとき、とても自由であることに憧れを抱いたのだと思うの。それが魅力的で、私は白石家の子育てを選びたいと思ったし、子育ての教科書はお義父さんだったのよね。

康:僕自身は子育てを考えてやるってことはなかったけれど、僕が親に感謝していることっていえば、自分のやりたいことをやらせてくれたっていうこと。僕の決めたことに対してあれこれ意見することもなかった。なんというかな…本当の信頼関係ですよね。だから僕も娘にはそうしてやりたいと思った。

 

康:努めてやったとしたら、僕の影響をなるべく出さないようにしたこと。どうしても子どもは親の影響を受けてしまうから、世界一周のことは娘には一切話したことはなくて。幼稚園の友達からは聞いちゃったみたいだけれど(笑)。スポーツ選手にも多いんじゃないかな?自分は好きではないのに親が…という場合も。プロのスポーツ選手でも「好きじゃない」のは目を見ればわかる。たまたま才能があって結果を出してしまって…。だから娘には、とにかくやりたいことを自分で見つけてほしかった。小さい頃から習い事もいっぱいやって、娘がバレエをした姿には感動したな。体操や水泳もやって、才能があるかといえば、他に向いていることもたくさんあったのだろうけど、やりたいって言ったものは一生懸命やっている。娘なりに『目標を達成したらやめる!』と話していたので、ちゃんと意思を持ってできるんだなと。僕はチャンスを与えるのが仕事なので、楽器とか習い事のお金を惜しんだことはないです。惜しんだこともないけど、お金をかけようと思ったこともないかな。娘がやりたいことに反対しないというだけ。

 

究極のワンオペでも尊敬し合う気持ちが大事

  • 常に感謝を忘れず尊敬し合う。白石家が大切にしていること。

海:(康次郎くんは家にいることが少ないから)ほぼ母子家庭よね。

康:一人で娘を立派に育ててくれて、素晴らしいと思います。本当に尊敬しています。

海:娘がちっちゃいときに、お父さんを忘れないようにさせるのが大変だったの。だから「これがお父さんよこれがお父さんよ」毎日写真見せて(笑)。康次郎くんが帰ってきたときに「この人誰?」と言われないように努力したよね。

康:二人ともよく待っていられるな〜と思うよ。「別れる」ともし言われたとしても、「そりゃそうだ、よく今まで我慢したね、目が覚めたね」って周りからは言われるだろうから。

海:康次郎くんはね、いいお父さんでもないし、こんなことを言うのもなんだけれど、人格者でもないし。でも一緒にいると楽しいのよね、飽きないの。出会ったときに「この人だ!」と思った気持ちは今も変わらず。感覚的なものよね。

康:海夕希の素晴らしいところは愛情深さ。これは僕には欠如しているところがあって、母親がいなかったので、母の愛情を知らない。娘や、あとペットに対しても非常に愛情深くて、女性の母性というのを海夕希を通して学ばせてもらった。

海:私は人生のいろいろなことを康次郎くんから、そしてお義父さんから教えてもらったと思っているので…。親からは学べなかったことね。だからとても尊敬しているし感謝しかない。

康:夫婦ってこういうものなのかな。お互いに尊敬することが大切なんだよ。

子育てママへ伝えたいこと

  • 「子どもが大海原に自信を持って出るためには、親から信頼されることが何よりも大事なんです」

海:もし私も、過去に囚われたままだったとしたら、きっと子育てには迷ったかもしれない。今のお母さんたちが、急激な社会変化の中で自分の子育てに不安を感じることもわかるの。そして不安になって子どもを縛り付けることが、どれほど子どもを苦しめることになるか…私自身が経験したことだから。

康:迷っているお母さんの気持ちは海夕希から教えてもらったな。僕は迷ったことがないから。なぜかっていったら、そういう教育を受けているし非常に幸せにもなっているし。以前、あるお母さんが、「子どもが心配でつい口出しする」なんて話してくれたけれど、『心配』って言うのは積もりに積もると『恐れ』になる。お母さんは、『子供が自分で成し遂げられないかもしれない』…と恐れている、子どもの力を信じられないんだよね。そんなことを毎日毎日子どもに植え付けていたら子どもは参ってしまう。子どもっていうのは親から言われた言葉で育つから、僕も努めてそういう恐れを抱かせるような言葉や「あれはダメこれはダメ」っていうことは一度も言わなかった。だからね、子どもを信じろ!と。親なんだから信じるんだよと。僕もそう、父や祖母がしっかり信頼できる、信じられる人だったから世界に羽ばたけたんだと思う。土台が揺らがなければ子どもは自分を信じて生きていける。信じることは愛なんだ。

母として悩むあなたへ|海洋冒険家・白石康次郎夫妻が語る“子どもを信じる育て方”

取材/竹永久美子

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