明るい笑顔と透明感ある肌でも人気の高い松嶋尚美さんの更年期。味方は「家族」。自分のためにも家族のためにもいろんなことをオープンにし、愛情を惜しまない姿勢には見習いたいところが多くあります。
「今、更年期だから」と宣言
50代に入ったくらいから突然、体が熱く感じたりするようになりました。代謝が良くないので、熱がこもるだけで汗は出ません。それでもこの症状はホットフラッシュのひとつだと思います。仕事場では周囲も「そうだね」と言って室温調節してくれたりするのですが、家ではあまりに言うものだから「暑いのはママだけだよ」と言ってやや無視されるようになっていました。
ある時、あまりにスルーされるので腹が立って(笑)、「あんたらを風邪引かしたくはないんやけど、ママは更年期というものに突入して、温度が人一倍わからなくなっているの」と言ったら子どもたちが「何、それ?」とびっくり。女性がある程度の年代になったら体調がこんな風に変化するんだよと説明したら、みんなも納得してくれて。それ以来、私が「暑い」と言ったら「俺たちは大丈夫だけど、もっと下げてもいいよ」と言ってくれるように。1〜2回、夜中にトイレに起きるような中途覚醒の時期もありましたが、最近は同居している母がトイレに行くことにも気づかないほど爆睡しています(笑)。
— テレビなどで見かけるたびに、その明るい笑顔から元気をもらえる、タレントの松嶋尚美さん。透明感ある美肌と、キレイ色やヴィンテージ風のファッションをカジュアルに着こなすセンスで根強いファンを獲得しています。私生活ではご主人、中学生のご長男と小学生のご長女、3年半前から同居されているお母様の5人家族で、ファミリーでの時間を何よりも大切にされているそう。
家族に「ママは今、更年期という時期に入ってて、いろんな体調の変化が起こってるんだよ」と伝えることで、不調や不安が少し分散できたような気がします。完全に共感はしてもらえなくても、話を聞いてもらうだけで、ひとりで症状を抱える憂鬱さが若干軽くなりました。
体が「まだ不調に気づかんでいいよ」
もともと、更年期世代になったら婦人科に相談するほうがいい、と思っていたので、1年ほど前にクリニックに行き、血液検査でホルモン値を調べていただきました。先生のお話では「年齢にしては、女性ホルモンの値がそれほど低いというほどではありませんが、もし気になるようなら」ということで漢方薬(*1)をいただいて飲み始めました。とはいえ、症状がそれほど重くなかったので、数日経つと飲むのを忘れてしまってそれっきり(笑)。
別のところですが、海外から並行輸入しているというホルモン剤を処方してもらって飲んだこともあります。それも2〜3日頑張って飲んでみたけれど、ある時から飲み忘れてしまって。同じ時期から飲み始めて継続しているヘアメークさんが「イライラがおさまっている」と言っているので、私もずっと飲み続けていたら何か変化があったかもしれません(笑)。
気づかないうちになんとなく快方に向かっていますが、更年期は終わったわけではなく、今はただおばあちゃんのこと、子どもたちのことでバタバタして気が紛れているだけ。体が「まだ不調に気づかんでいいよ」と遠慮しているだけかもしれません。いつ症状が深刻になるかわからないので油断はしないようにと思っています。
元気の素はやはり家族との時間
— そんな松嶋さんの元気の素はやはり家族との時間。特に将来有望なサッカー選手に育ちつつある息子さんのサポートには一段と熱が入っているよう。
母がうちに来る前までは家族総出でサッカーの練習や試合に付き添っていたのですが、同居するようになってからは、母と娘には家にいてもらって、付き添いは私と旦那で取り合い(笑)。息子がサッカーに打ち込めば打ち込むほど、私の食事への意識もどんどん高まっています。
ジュニアユースになったころ、お母さんのための食事講座、のような勉強会も開かれて、ますます真剣に食に取り組むように。練習の前後には「補食」としておにぎり2個を持たせたりしています。
ママ友に「名古屋コーチンボーンブロス鍋がアスリートの体作りにいい」と聞いてからは、その鍋のスープに白だしを足してうどんを入れたり、ちょっと遠いところに試合に行く時は野菜や鶏肉を入れたりして工夫しています。そのスープは、無添加、化学調味料・保存料不使用。名古屋コーチン以外は飼育しない農場で育った鶏がらに加えて、厳選したお野菜、クコの実、ニンニク、生姜などを長時間煮込んでいろんな栄養をギュッと閉じ込めたもの。集中力を高め、免疫力をサポート、肝機能を強化したり、カルシウムの吸収をサポートするリジンや、筋力増強、免疫力を高めるアルギニン、睡眠リズムを安定させるグリシンなどが入っていて、育ち盛りのアスリートの栄養をサポートするにはうってつけのスープ。おばあちゃんの健康や私の更年期にも効果がありそうでしょ(笑)。
息子も最初は、舞茸や高野豆腐、桜エビ、キクラゲなんかには難色を示していましたが、体のためだと自分自身で納得すると進んで食べるようになりました。家族全員で息子のために栄養を考えた食事作りに情熱を傾け出して、最近は夫が「俺が肉料理を担当する」と言い出して頑張ってくれています。そのおかげあってか、息子はもちろん、娘まで身長がぐんと伸びました。
人と関わることが更年期には必要
— プロのサッカー選手を目指す息子さんを中心に、家族の絆がいっそう強くなったと語る松嶋さん。そんな家族の絆が更年期も支えてくれていると言います。
私が更年期に差し掛かるころ、子どもたちはまさに反抗期。ホルモンとホルモンのぶつかり合いです(笑)。でも、そんな時期は永遠に続くわけではないし、お互い感じていることをオープンにすることで、かえって相互理解が深まっていい影響もあるのかなとも思います。お互いに「はじまるぞ!」という宣戦布告をすることはいいコミュニケーションのキッカケになるんじゃないでしょうか。
そして家族でよく話すことも大事ですが、とにかく人と関わることが更年期には必要じゃないかと思います。私はサッカーのママ友たちとご飯のことや練習のことで事細かに情報交換したり、相談しあったりすることで、何度となく先行き不安な気持ちや、不安定な時期を乗り越えられたような気がします。同じような環境にいる同世代とカフェでおしゃべりしていると「自分ひとりだけじゃないんだな」と思えて救われます。
また、読書が好きなのでひとりでランチしながら読書するのも至福の時。気分転換には読書がベストですね。『ザリガニの鳴くところ』や、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』、垣根涼介さんの『狛犬ジョンの軌跡』、他にも司馬遼太郎さんや山崎豊子さんなど。歴史小説が好きなんです。でもいちばん好きなのはジェームズ・ロリンズの『シグマフォース』シリーズ。全米で1、500万部を超える歴史ミステリー&アクションアドベンチャーのワクワク感に病みつきです。誰かのことを真剣に考え、人の輪の中にいる時間と、自分自身に向き合う時間のバランスをうまく取りながら、これからどう変化していくか未知数の更年期と自分なりに付き合っていけたらなと思っています。
〈TOP画像〉ジャケット ¥39,600 ロングスリーブポロ ¥26,400(ともにOPULENCE/アンティローザ) スカート¥14,300(Fizz Look)ミルクフェド×ニューエラ ラインニットハット¥6,600 (MILKFED.)靴/スタイリスト私物 〈末尾画像〉レースコンビワンピース¥12,100スウェットコンビデニム¥19,800(ともにRNA) 中に着たロングスリーブTシャツ¥8,800(MILKFED.)靴/スタイリスト私物
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/上田実穂(BEAM) スタイリスト/伊藤 紫 取材/柏崎恵理 ※情報は2025年8月号掲載時のものです。





















