梅宮アンナさんと大草直子さん。同じ時代を生きながら、ファッション業界を駆け抜けてきた同い年の2人は意外にも初対面。昨年乳がんを公表した梅宮アンナさんと、ヘルス&ウェルネスを新たなフィールドとして掲げ、意欲的に活動をする大草直子さんが語り合いました。
梅宮さんprofile
高校時代に友人に誘われJJに読者モデルとして登場、19歳でモデルデビュー。2024年に乳がんを公表し、SNSを含めさまざまなメディアで発信を続ける。今年5月にアートディレクターの世継恭規氏との出会いから10日で電撃結婚が話題に。
大草さんprofile
スタイリスト、エディター。大手出版社にて編集を務めた後、独立。女性誌をはじめ、多くのメディアで活躍、オシャレの指針になる数々の名言にファンが多い。WEBメディア、YouTube、Podcastなどを展開する『AMARC(アマーク)』主宰。
◇ 40代は、外に向いていた矢印を自分に戻していく時期
梅宮さん
私たち同い年で、30年以上同じファッション業界にいるのに、今回が初対面ってドラマチック(笑)。
大草さん
アンナさんは10代からモデルとしてずっと一流。あの頃は、ファッション誌がたくさんあって、「JJ派」「CanCam派」「ViVi派」って雑誌ごとに派閥があったけど、私は断然「JJ派」でした。白シャツにブレザー、デニム姿が本当に似合ってた。
梅宮さん
そう考えると、今と好きなものが変わってないな~(笑)。
大草さん
アンナさんが乳がんの闘病中に発信されていたSNSもずっと拝見していましたが凄くオープンな人だなって。
梅宮さん
色々ながんの形があるので、あくまで一つのロールモデルとして誰かのためになれば……。と思ったんです。
あと、発信することが闘病中の自分を支えていく一つの方法だったというのもあります。人ってがんを告知されると、受け入れるのに1カ月かかるそうなんですが、私は10日間くらいだったかな。現実を受け入れてからは、まずどうしたら自分が一番落ちこまないかを考えたの。
私は標準治療を選んだので、一番怖かったのが髪が抜けること。しばらく悶々としていましたが、色々調べているうちに「こんな自然なウィッグが安価である」とか「眉毛やまつ毛も抜けちゃうけどアートメイクでカバーできる」とか「アピアランス」=外見を整えることをお伝えしていくのが私の使命だと思いだしたんです。探求心は人一倍強いしね。
長年、モデルとしてファッションや美容を表現してきた経験もあるし、純粋に好きだった。女性として闘病中も綺麗でいたい気持ちは諦めたくなかったんです。 今日もウィッグですが髪って動いて艶がないと意味がないの。自然でしょ?
大草さん
ものすごく自然! 病院やドクターはどう決められたのですか?
梅宮さん
大学病院でがんと告知された時、その最高峰である、がんの専門病院に行こうと決めました。幸い、素晴らしい先生と出会えたこともあり、標準治療と決めてからはブレませんでしたね。ネットは無法地帯ですから……。
先生からも「ネットは見ないでください。分からないことがあったら私に聞いてください」と。だから先生の言うことだけを聞いて治療していました。
大草さん
私も病院選びやドクターとの出会いって本当に大事だと思っていて。 特に更年期近くになると、体の小さな変化をすぐに相談できる先生が必要だとアドバイスしています。アンナさんは毎年、検診はされていたんですよね?
梅宮さん
そう、毎年欠かさずしていたんですよね……。でもがんって隠れるのが上手いんですよ。私みたいにきっちり検診していても1年後に見つかるケースもある。それを知っておいてほしいし、結果も疑ってかかるくらいの心構えでいてほしいなって。大草さんは?
大草さん
血液検査は毎年していて。でもマンモグラフィーは痛いし、忙しいのを理由にサボっていたんですね。でもアンナさんのSNSを見て、検診に行きました。大きな病気はありませんが、40代後半から更年期の症状は出ていて。もともとメンタルは高め安定であまり揺らがないタイプでしたが、気持ちが落ち込んだり、動悸や火照りがあったり……。
これはいよいよまずいなと思ったのは、周りの人達に対して疑心暗鬼になってしまったから。それが凄くきつくて、ホルモン治療を始めました。そんな自分の体験を友人と話すうちに、みんな同じ悩みを抱えていることに気づいて。実際、インスタライブで皆さんからのご質問を受けると、圧倒的に更年期の質問が多いです。そういった人たちの支えになれたらと思い、有志で〝ホルモンハグプロジェクト〟を立ち上げました。
大きなきっかけとなったのが5年前の大阪での出来事。百貨店のオープンスペースで更年期がテーマのイベントに登壇したんですが、最後の質疑応答の際、すごく素敵なマダムが手を挙げてくださったんです。そして「大草さん、あなたのようなファッションを語る人が更年期の話をしてくれて本当にありがとう。私は自分が更年期で一番辛かった時、義理母の介護で自分に全く手をかけられなかった。そういう女性が一人でも少なくなってほしい。どうぞ、これからもお続けになってね」と言われました。それをきっかけにたくさん勉強もし、情報も集めました。自分が大変な時「知識」が助けてくれたから、それを皆さんに共有していこうと思いました。
<梅宮さん>ジャケット¥145,200 パンツ¥196,900(ともにコー/イーストランド) ニット¥69,300(ヴィンス/コロネット) パンプス¥130,900(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ ジャパン カスタマーサービス) ネックレスはアンナさん私物 <大草さん>ジャケット¥36,300(HER.)パンツ(Ron Herman)シューズ(Sergio Rossi)ピアス(Tiffany&Co.)リング(HERMÈS)パームバングル(ISOLATION)バングル(BUCCELLATI)は大草さん私物
撮影/古水 良(cheek one) ヘア・メーク/森 ユキオ(ROI)スタイリスト/乾 千恵〈梅宮さん分〉取材/石川 恵 ※情報は2025年11月号掲載時のものです。




















