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芸能界から大企業・不二家の取締役へ。酒井美紀さん(47歳)女優と取締役の仕事の“共通点”とは?

近年、企業のガバナンス改革が進み、取締役会における多様な視点を経営に活かす動きも相まって、女性社外取締役の登用が急増しています。今回、STORY世代が〝社外取締役〟という未知の領域に挑む姿をクローズアップ。まさに挑戦の真っ只中にいる彼女たちは今、どんな景色を見ているのでしょうか。

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酒井美紀さん 47歳・東京都在住
(株)不二家 社外取締役

未知の領域と断らず飛び込んで見えた
新しい世界。持ち前の探究心で挑む

不二家から社外取締役就任の打診を受けたのは、’21年のこと。想像の上の上からのオファーに「まさか」とただ驚いた酒井美紀さん。10代から女優一筋で歩んできた彼女にとって、企業経営は未知の世界。会社勤めをする友人らに、役員という仕事について広く情報収集した結果、「社外だからこそ自分の視点を活かせるのでは」と思い直したのだとか。

というのも’07年から続けてきた国際NGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」の親善大使として活動するうち、現場体験を通して感じた社会が抱える多くの課題への疑問を、学術的な学びとして深めたいと進学。当時は国際協力研究科修士課程の大学院生と女優、そして子育てと多忙を極めていました。

「大量の論文や資料を読み研究を進めた経験、大学の経営学部で学んだ会社法や財務の基礎知識も総動員できるのかな、と。家族にも『チャレンジしてみたら』と背中を押され、『できないではなく、まずはやってみよう』と引き受けました」。

取締役会は月に1度、多いときは2度開かれ、会議室だけでなく工場視察に行くことも。「女優の仕事と取締役の仕事には共通点があるな、と感じています。私は台本を徹底的に読み込み、役の背景を調べ、周囲の登場人物との関係性を探ったり、役の分析を考え抜いてどう演じるかを固めてから現場入りします。取締役会も、事前に配布された会議資料で、数字をただ見るのではなく、その裏にある背景を見抜き、問いを立て、未来につなげていく。それは芝居や院での研究と同じプロセスだなと。さらに、撮影現場の前室で交わす雑談が作品の空気感やチームワークを形作るように、取締役会の待合室や工場視察の移動や会食中に交わす何気ない会話を大切にしています。会議での発言時間は限られているので、会議外のフランクな会話のやりとりで社外取締役間でお互いの考えを聞き、補い合っています。その貴重な待合室でのおしゃべりのために、取締役会の日の集合には一番に入りますね(笑)」。

役作りで培った探究心や、大学院での論文執筆で磨いたデータの読み解き方は、経営の場でそのまま活かしながら、自分なりの社外取締役像も確立してきたのでしょう。不二家の強みは、洋菓子に特化し、ペコちゃんという誰もが知るキャラクターや、認知度の高いロングセラー商品を持っていること。一方で人口減少や少子化は如実にデータに出ており、さらには原材料価格の高騰というここ数年の大きな課題も抱え、特に小麦や卵以上に急騰するカカオの価格には、大人気「カントリーマアム」から誕生した近年大ヒットの「チョコまみれ」も、「チョコまみれられないかもしれない」との危機感を覚えるそう。

「それでも大事なものを守りつつ、社会の変化に合わせて知恵を絞り、柔軟に挑んでいく必要があると思っています。子どものころから慣れ親しんできた味が世代を超えて残ってほしい。今後はベトナム新工場の稼働をきっかけにアジア市場などグローバル展開を見据え、冷凍ケーキの輸出など会社としての新たな挑戦も進み、ワクワクしています。インバウンド客にも人気な日本のお菓子ですが、品質やおいしさをもっと世界の人に届けたいです」。

取締役会には必ずジャケットを着て気持ちを引き締める武装をし、入室の際は笑顔で大声で挨拶。不二家の取締役は12名、うち5名が社外で2名が女性ですが、女性だからと意識したことはないそう。女優として、研究者として積み重ねてきた探究心と分析力を総動員し、未来を見据えて挑み続けています。

<編集後記>スーパーのお菓子の陳列棚チェックは欠かさないそう 取材で伺った不二家さんの応接室には人気商品がズラリと並べられていて、撮影スタッフ皆大盛り上がり。酒井さんは「ペコちゃんのほっぺ」「ミルキーロール」「ハートチョコ」が特にお好きで、スタッフたちも自分の推しお菓子を語る楽しい現場でした。社内ですれ違う方々と気軽にお話をされる酒井さん、とても存在感がありました。(ライター 羽生田由香)

ジャケット¥50,600(セオリー/リンク・セオリー・ジャパン)ピアス¥61,600(カミーユスロ/オブリオ)ブラウス/スタイリスト私物
撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/遠藤一明 スタイリスト/服部裕子 取材/羽生田由香 ※情報は2025年12月号掲載時のものです。

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