最近は美容効果を期待できるというイメージが先行していますが、“耳つぼ療法”は、東洋医学に基づく健康法です。東洋医学では、気（エネルギー）、血（栄養、血液）、水（血液以外の体液）が健康を支える3つの基本要素され、この３要素がバランスよく巡ることで健康が保たれるとされます。逆に病気は、気・血・水と自律神経の乱れからくる誤作動とされていて、耳を触ることで自律神経が整い、気血水の流れがスームーズになると考えられています。私たちの施術では、耳つぼに微弱電流が流れるシールを貼り、つぼを刺激、血流がよくなるように導きますが、中国では、２０００年以上の歴史があり、そういったシールが開発される前は、植物の種を耳つぼに貼っていたなんて話もあるぐらい。昔から中国では、お医者さんがまずは耳を見て、患者さんの悪いとこを見極めていたりもするほど、中国では知られている健康法です。その後、ヨーロッパでも広がり、ヨーロッパでは耳つぼは“胎児投影”と言われるように。耳を子宮として、胎児が収まっている位置が耳つぼに投影されているというものです。確かに、耳たぶには頭に関するつぼが集中し、耳の外側には頸椎のつぼがあります。ですので、胎児の子宮の中での体位を覚えておけば、耳つぼもマスターしやすいと言われています。

他にも、欧米では薬物依存やPTSDの治療としてもリハビリテーションで導入されていたり、アメリカ軍でも「戦場鍼」と呼ばれ正式に耳つぼ療法が採用されています。耳つぼってどこでも、簡単に、道具を使わずできるので、たくさんのものを持って行けない戦場で施術しやすいんですよね。体へのケアと同時に心のケアもできるので、戦場でPTSDを抱えた軍人の心のケアにも役立っているようです。

日本では、１０年程前に「耳つぼダイエット」として流行したことがあります。それからしばらく下火になっていましたが、コロナ渦で免疫力を注目され、改めて耳つぼに注目が集まっているのだと思います。

プレ更年期世代にさしかかった４４歳の時、すごく重く辛い更年期障害に悩まされるようになったんです。鬱っぽい症状から始まって、関節痛にホットフラッシュとひどい状態。その時に、私を心配した友人に「耳つぼを試してみたら？」とお勧めされたことが耳つぼとの出会いです。そこから、耳と耳つぼにすごく興味を惹かれて、そこから猛勉強、“耳”の面白さにどんどんはまっていき今に至ります。その時に、ピンポイントのつぼ押しではなくマッサージでも効果は感じられるのでは？ と考えて、毎日自分なりに耳のマッサージをするという生活をしていたら、気がついたら不調に悩まなくなっていたんです。この耳のマッサージに感激して、同じような悩みをもつ人の力になれたらとオリジナルメソッドを構築し、広げる活動を始めました。

もちろん小顔になりたい、リフトアップしたい、くすみをとりたいなんていう美容目的で耳つぼに興味をもっていただくのも嬉しいのですが、その先の体の土台を整えて、未病を防ぐ効果を意識した耳つぼというところも、もっと注目してもらえたら嬉しいです。体に症状がでて悪化してからケアする方が多いのですが、これからは不調がでる前に耳つぼで未病を防ぐケアがおすすめです！

耳つぼっていつでもどこでもすぐアプローチできる、簡単手軽な施術であることが最大の魅力だと思っています。例えば、足つぼだと外出中マッサージできないですよね？ ですが、耳つぼなら仕事中、電車の中でも気がついた時にケアできるわけです。更に、つぼが体の表面より奥にある足つぼに比べて、耳つぼは表面にあり簡単に力を加えず、誰でもケアできるのです。また、耳は体と脳の中間地点であり、普段刺激を受けてきていないため、少しのアプローチで効果を期待しやすいつぼでもあります。簡単、手軽、誰でも、どこでもできる。その４拍子で未病を意識した健康法なんです！

次の記事では、耳つぼセルフ療法の注意点や朝夜におすすめのマッサージを紹介します！
▼頭の疲れも“刺激”で癒す！スタッフもハマった朝夕の【耳つぼルーティーン】

取材／味澤彩子
※耳つぼ療法は個人差があり、医療行為ではありません。心地よさを感じる健康法です。