不妊の検査や治療の経験がある夫婦は約4.4組に1組といわれるほど、多くの夫婦が不妊治療をしています。2022年4月から不妊治療の保険適用範囲が拡大され、経済的負担が少々減るものの、高度な不妊治療になるほどその額は高く、回数が増えることでさらに大きくなります。身体の負担が大きいのも事実で、たくさんの人が不妊治療をしているのに情報はまだまだクローズドで孤独な闘いと聞きます。
そんな中、リアルな発信が話題のバービーさん夫婦。結婚して3年間の不妊治療の末、2024年に第一子を出産されました。夫婦で協力が不可欠な妊活、今回は夫であるつーたんさんからもお話を伺い、夫婦二人三脚の妊活の話を聞いてきました。
★ 卵子凍結で「どうにかなる」と思っていた、理想と現実のギャップに驚愕
★ 妊活を終えた今思う、クリニック選びの基準とは?
★ 妊活と仕事の両立は想像以上に過酷でした
★ 妊活中。夫・つーたんさんの想いとは?
★ 妊活疲れが限界に達し、いったん休憩
★ 奇跡が!ついにご懐妊。今、バービーさん夫婦が思うこと
結婚してすぐに妊活スタート。生理の話も夫にオープンにしていました
バービーさん:30代前半の時点で、実は子宮にいろいろな疾患を抱えていました。生理が重くてクリニックは3つぐらい使い分けていてピルを飲んでいたんですが、クリニックの定期健診で疾患がいくつか見つかって治療していたんです。
30代の時に、卵子の質が40代ぐらいと言われ、今後のことを考えました。仕事もちょうど忙しく、もうひと踏ん張りしたいところでもあって、そんなときに卵子の凍結保存ができることを知り卵子凍結をしていました。不妊治療をした今となっては、若いときの卵子さえあれば妊娠できるというわけでもないことは痛感したのですが、妊活より前に自分の身体について検査して知ることができたのは、良かったと思っています。
夫・つーたんさん:お付き合いしていた頃から、バービーは割とオープンでした。人生で初めて生理用品を買いに行ったのも、バービーのおかげです(笑)。
時々する大きな喧嘩が月の同じような時期に起こることがわかり、それがバービーの生理前だと判明したんです。そこでバービーの生理をアプリで共有することにしたんですが、生理が近づくと僕だけに「彼女がもうすぐイライラ期に入ります」って通知が来るんです。何となく心の準備ができるのでありがたかったですし、喧嘩になるのは二人の関係というより、ホルモンのせいにできるのも良かったですね。
幸せなことに結婚することになり、結婚してすぐに妊活をスタートしました。
何より、母になった彼女を見てみたかったので妊活には賛成でしたし、子どもを授かれたらいいな…妊活をしたらすぐ授かれるのかな…と、まだ知識が浅かった僕は、ふわっとした気持ちで妊活を始めました。
卵子凍結で「どうにかなる」と思っていた、理想と現実のギャップに驚愕
バービーさん:妊活を始めてからは、もうとにかく大変なことばかりでした。妊活の前に卵子を凍結していましたが、卵子凍結を実際行うことになった時「未受精卵由来の出産率」を病院の先生から見せてもらい、その数値の低さに驚愕したんです。
卵子凍結を用いた出産率の低さ。それを知っていたら他の選択肢も考えたのに、なんて後悔もしました。
妊活を始めるまでは、次の生理が来るまでの1ヵ月がこんなにも貴重で長いものだということを知りませんでした。採卵するのか移植するのか、スキップして体を休めるのか、毎月が賭けのようでしたね。卵子凍結していれば年齢を重ねても「どうにかなるでしょう」と思っていたのですが、卵子保存は、妊娠をいくらでも先延ばしに出来る魔法の技ではなかったのだと知りました。
妊活を終えた今思う、クリニック選びの基準とは?
バービーさん:先生が優しくて話しやすいとか、クリニックのゆったりした雰囲気が良いとか、人によってクリニックの選び方は様々ですが、私はもうとにかく結果と効率重視です。妊活していた友人にオススメのクリニックを聞いて、私なりに検証して選びました。今から選ぶならば、私たち夫婦の場合は、PGT-A検査ができるクリニックを選ぶかなと思います。
卵の見た目だけで判断してお腹に戻していくのではなくて、染色体の情報を見て「これは大丈夫だろう」というものをお腹に戻していくことで、妊娠の可能性を上げるための検査。その検査をすることによって、流産するかもしれない卵を事前に少し知ることができると聞きました。染色体情報を受精卵の段階で調べることができるのはありがたいなと。お腹に戻してみてから「妊娠しない」という結果になったり、「残念ながら流産」はあまりにも辛いので。
妊活と仕事の両立は想像以上に過酷でした
バービーさん:妊活は女性側が孤独になりやすいと聞きますが、私たちはほぼ夫婦で情報を共有して一緒に二人三脚で頑張れました。元々、生理についてもオープンにしていたので妊活をスタートした時もクリニックには当たり前のように一緒に行き二人で話を聞いていました。妊活でサプリや薬を飲んでいるときは、夜寝る前につーたんがサプリと水を一緒に持ってきて、飲ませてくれたりしていました。私が薬を飲むのを忘れてしまいがちなので、薬の管理はつーたんがしてくれていました。
不妊治療にはさまざまな種類がありますが、顕微授精は、毎月毎月やっていられるわけじゃないんです。体に負担がものすごくかかってしまうので、とにかく具合が良くなくて「ちょっとこの1ヶ月休みましょうか」とか、「3ヶ月ぐらい体質改善に当てましょうか」とか、その間はもうタイミング法を取るしかありません。
ハッキリ言って、妊活と仕事の両立は、もう全然できていませんでした。
働きながら妊活するのは本当に大変です。ホルモンを人工的に補充しているからなのか、生理がめちゃめちゃ重いんです。汗がだらだら出たり、ニキビがたくさんできてしまったり。とにかく身体が辛いので仕事どころではなく、できればお休みしたかったのですが、治療の度にお金がもうじゃんじゃん飛んでいくんです。
良い結果が出なかったときの会計窓口で高額な請求金額を見る瞬間、やっぱり仕事を休むわけにはいかない、働かなきゃという気持ちになるんです。
最後の一年こそ仕事はだいぶセーブさせてもらいましたが、高額な請求を見るたびに心が苦しくなりました。
妊活中。夫・つーたんさんの想いとは?
つーたんさん:性別やジェンダーの壁がなくなったとしても、どれだけ医療が発展しても、妊娠・出産に至る男女の役割は性別を超えることはできないんです。男性である僕は、自分自身のお腹で子どもを育て、出産することはできないわけで。
僕が、「母になったバービーが見たい」という理由だけで子どもが欲しいなんて言って良いのだろうか、無責任にならないだろうか、それが男女の役割だからと割り切るしかないのだろうか、妻と妊活を始めてから数年はそんなことを何度も考えていました。
バービーさん:2年ぐらい結果が出ず、頑張る気持ちも一度切れました。不妊治療の辛さは人によって違うと思いますが、私の場合はホルモンを補充するための注射で毎日体調が悪くて仕事に全然集中できなくて。人を笑わせなきゃいけないのに、面白いことなんて考えられないし仕事モードに頭を切り替えられず、全然そんな気分になれないのが一番キツかったです。
治療を始めて2年くらい経過した時、私の身体とメンタルに限界がきました。つーたんに、「子どもが欲しかったら他の人と結婚して欲しい」と言ってわんわん泣きました。
妊活疲れが限界に達し、いったん休憩
このままでは夫婦の関係さえも壊れてしまいそうだったので、一旦仕事も治療もお休みすることにして、1年ぐらいゆっくりさせてもらうことにしました。旅行に行ったりハワイで結婚式を挙げさせてもらったり。その時間が本当にリラックスできて良かった。
つーたんさん:結婚式で行ったハワイが本当に良かったんです。ゆったりした空気、綺麗なビーチと虹、気持ちのいい気候に癒されてリラックスできて、ハワイの力をいっぱいもらって帰りました。
バービーさん:帰国してから、もうこれで最後にしようと思って挑んだ移植で妊娠に至り、無事出産することができたんです。
奇跡が!ついにご懐妊。今、バービーさん夫婦が思うこと
つーたんさん:妊活は、今振り返っても、もう本当に簡単には言い表せないくらい辛くて大変な時間でした。「妊活は夫婦二人三脚で」とか言いますが、身体の負担が大きいのは圧倒的に女性で、男の人は出来る事が限られています。言葉をかけるのも難しいじゃないですか、一緒に病院に行ったり、家事をしたり、ハーブティーを入れたり、薬を飲ませたり、どんなにしても妻の大変さと辛さには敵わないんですよ。
結果が出ないと、女性は自分を責めたりしちゃうじゃないですか、男性の僕が良かれと思って言葉で励ましてもプレッシャーにならないかなとか思ったら、声の掛け方が分からなくなったりもして。男性も何かしたいと思ってはいるんですが、どうしたらいいかわからない人もたくさんいるんだと思います。
男性があまり協力的じゃなくて、何かして欲しいと思っている人は、夫にも具体的なタスクを担ってもらうと良いと思います。データを調べるとか、そういうのを夫に任せたらいいんじゃないかな。この治療の成功率とか、セカンドオピニオンをもらうクリニックの候補出しとか。仕事のように調べものを任せたりすると、案外きちんとやってくれたりするかもしれません。
バービーさん:幸運なことに赤ちゃんを授かることができましたが、妊活は、出口のない迷路のトンネルに入るようなものです。不妊治療に関する情報はまだまだオープンになりきれていなくて、デリケートな問題だけに情報発信するにも迷う事もありますが、悩みを人に話すことなく苦しんでいる人もたくさんいます。色々な道はあるけれど、私たちはこうだったよ、ということを伝えることによって、誰かの励みになったらいいなと思っています。
バービーさん衣装
トップ¥4,900 付け襟¥3500/以上ヴィンテージ(リトル トリップ トゥ ヘブン 下北沢)パンツ ¥6,800/マニャーナ スエルテ(アンティローザ)
※すべて税抜価格
その他スタイリスト私物
【問い合わせ先】
・アンティローザ
☎︎080-3279-2151
・リトルトリップトゥヘブン下北沢
☎︎050-3385-7975
撮影/古水 良 スタイリスト/佐野友香 ヘアメイク/mayu.H 取材/片山あゆみ











