「私たちのCHALLENGE STORY」を担当しているライターの孫 理奈です。10月号「“子育て”というキャリアが女の人生を豊かにする」というテーマで取材させていただいた鈴木未夏子さんについて、今回は紹介させていただきます。
鈴木さんの肩書は何と発明家! 里帰り出産の際、実家でベッドにいることが多かったおばあさまが「リモコンがない」「ティッシュ箱がない」などいつも探しているのを見て、元々物を作ることが好きだったこともあり、ベッド回りの物をまとめて収納できるものを作ってあげたことがきっかけです。「枕元ポケット」という名前をつけ、一般社団法人発明学会が主催するアイデアコンクールに応募したところ努力賞を受賞し、それから発明家の道を進むことになったそう。「おばあさんが喜んでくれたことが心に残り、『ほかに何か作れる物はないかな?』と不便を便利に変えることを考え始めました」。実際、育児をしていると体力は使う一方、授乳中などは考えることができるためアイデアが生まれることが多いといいます。
以来、忙しい家事と育児の合間を縫って試作を繰り返し、一般社団法人発明学会が主催するコンクールで9年連続受賞を更新中と、目覚ましい記録を打ち立てています。鈴木さんの次女が4歳のとき、お弁当のランチクロスがうまく結べないのを見て作った「お弁当袋にもなっちゃう‼ランチクロス☆」はコンクールで2位を受賞。「直販イベントで販売したところ割と売れて、あるときテレビで取り上げていただいたら反響があったので『商品化しようかな』という気持ちが芽生え始めました」。今は東急ハンズやロフト等、小売りチェーンやHPでも販売されて人気商品となっています。
取材をして「パワーがある人はここからが違うんだな」と思ったのが、そこからの鈴木さんの行動です。39歳で出産した長男を連れて、品川区武蔵小山創業支援センター主催の女性支援のカリキュラムに参加。託児所付きで子どもを預けられることもポイントだったそう。「事業計画の作成なくしては事業は進められないので、学べたことは大きかったです」。「子育てに追われて時間がないからできない」「どうやっていいか方法がわからない」など言い訳しかしてなかった自分が恥ずかしいと思いました。
鈴木さんのモットーは、「子育て、家事、介護で感じるストレスを便利に楽しく」だそう。「皆さんの役に立つのが好きなんです」と言っていた鈴木さんは、現在は小商いの楽しさを発信したいとYouTubeも始められました。「作業量の多い主婦はネタが多くて困らない」とは鈴木さんの言。身の回りに困っているネタがある方は、発明家への道もアリかもしれませんね(笑)。
撮影/BOCO