HACARUS
医療分野での人工知能(AI)ソリューションの開発を手掛ける株式会社HACARUS(以下「HACARUS」)は、国立大学法人京都大学大学院医学研究科 婦人科学・産科学 教室(以下「京都大学」)と「子宮頸がんの予防・早期診断AI支援システム」について共同研究契約を締結しましたので、お知らせいたします。
子宮頸がんは婦人科悪性腫瘍のなかでは最も多く、日本国内だけでも毎年約1万人以上が罹患し、約3千人が命を落としています。さらに、子宮頸がんに至る前の前がん状態である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)は、性生活の変化に伴い20代後半~30代と若い年代では爆発的に増加しています。
一方で、子宮頸がん検診(一次検診)の日本国内における受診率は、欧米諸国と比較しても明らかに低い状況です。また、一次検診で異常が指摘された場合に必要となる精密検査(二次検診)が可能な施設は婦人科医師の不足に伴い減少しており、専門的な知識を有する腫瘍専門医による診断は限られた高次医療機関のみで可能であるのが現状です。
このような背景を受け、HACARUSと京都大学は、以下を目的とした共同研究を実施します。
・高画質で診断精度の高いコルポスコピー動画を教師データとして用いたAIモデルを構築すること。
・日本国内の診断、治療基準に沿った診断支援AIシステムを開発すること。
・専門医の常駐しない施設において、AIによる精度の高い病変同定や組織採取の診断補助を可能とすること。
今回の共同研究の成果は、論文および関連学会や展示会を通じて啓蒙を行います。今後は本格的な製品開発に繋げ、国内外問わず販売チャネルの構築を目指します。
京都大学大学院医学研究科 婦人科学産科学教室について
1899年に京都帝国大学医科大学が開設され、婦人科学・産科学教室(当教室)が創設、2019年で120周年を迎えました。現在の第10代教授である万代昌紀教授にいたるまで、当教室は婦人科がんと深くかかわってきた歴史があります。特に子宮頸癌は第2代高山尚平教授が発表した高山術式は子宮頸癌に対する広汎子宮全摘術の基礎となり、第3代岡林秀一教授が改良した岡林術式は現在の子宮頸癌手術の標準術式となっています。第4代の三林隆吉教授は超広汎子宮全摘術を考案しました。第8代の藤井信吾教授は子宮頸癌に対して出血量の少ない膀胱神経温存術式を考案し、現教授の万代昌紀教授は本邦で先駆けて鏡視下広汎子宮全摘術を行っています。また、子宮頸癌以外にも免疫療法の基礎研究から卵巣癌に対する抗PD1抗体の医師主導治験、がんゲノム解析、婦人科がんの発生や抗がん剤耐性の解明など、時代のニーズとともに将来の展望を心掛けた研究をしています。
株式会社HACARUSについて
株式会社HACARUSは2014年1月に設立された京都のAIベンチャーです。現在主流のAI技術であるディープラーニングが抱える、大量の学習データが必要、AIの意思決定の過程がブラックボックス、学習フェーズでクラウドへの接続が必要といった課題に対して、独自のAI技術で解決を試みています。これにより、医療機関向けに少量データで、かつ解釈性の高い診断・治療支援AIを実現し、提供しています。また再生医療を含むライフサイエンス分野での幅広いAI開発を手掛けています。
【株式会社ハカルスの概要】
本社: 京都府京都市中京区橋弁慶町227 第12長谷ビル5階A室
設立: 2014年1月14日
資本金: 1億円
主要株主: みやこキャピタル株式会社、大阪ガス株式会社、イノベーション・エンジン株式会社、株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ、大原薬品工業株式会社、株式会社エッセンシャルファーマ、株式会社メディフューチャー、株式会社PALTEK、加賀電子株式会社、中信ベンチャーキャピタル株式会社、池田泉州キャピタル株式会社、京銀リース・キャピタル株式会社、DSファーマアニマルヘルス株式会社、経営陣ほか個人