日本ロレアル株式会社
“科学や研究は男性のもの?” 無意識の偏見に関する高校生とのパネルディスカッションも併催
世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)の日本法人である日本ロレアル株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン-ピエール・シャリトン)は、2022年度 第17回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞者4名の発表および授賞式を2022年9月7日(水)に国際連合大学 ウ・タント国際会議場にて実施しました。本年は、山形県立米沢興譲館高等学校の生徒をオンラインで招き、科学や教育分野の有識者とのパネルディスカッションも併催。OECD加盟国最低とされる日本の女性研究者の割合の大きな要因とされている「研究や科学は男性のもの」といったジェンダーによるアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を払拭するための最適解などについて対話を繰り広げました。
2022年度 第17回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」受賞者(4名)
2005年に創設された本賞は、日本国内で物質科学、生命科学の2分野における博士後期課程に在籍または同課程に進学予定の女性科学者を対象としており、各分野からそれぞれ2名(計4名)を毎年選出しています。受賞者には、奨学金100万円が贈られます。物質科学においては、研究テーマの多様化に伴い、数学や数理科学など、より幅広い内容に対応できるよう審査体制を強化しました。審査では純粋に科学的な成果、とりわけ応募者自身の貢献度が重要視され、自身の考えに基づいて現象を考え解釈したか、技術的な工夫が施されたかなどが評価されました。生命科学では、疾患患者さんの観察から新しい視点を発見する、独自の実験系を組み立てて研究を進めるなど、新たな視点や発想から優れた成果を得た研究者が特に評価されました。
「物質科学」分野 (年齢は2022年9月7日現在)
片山 春菜(25歳) 広島大学大学院先進理工系科学研究科 助教
受賞理由: 電気回路ブラックホールから放出される特異な量子相関を持ったホーキング輻射の研究で、量子コンピュータなど次世代情報処理・通信の実現に貢献
木幡 愛(28歳) 東京大学大学院工学系研究科 化学生命工学専攻 フッ素有機化学研究室 特任助教
受賞理由: 難治性疾患の治療に有効とされる核酸医薬の実用化・応用範囲の拡大に貢献
「生命科学」分野(年齢は2022年9月7日現在)
佐々木 晴香(28歳)東北大学大学院歯学研究科 歯科口腔麻酔学分野 水田研究室
受賞理由:喘息の病態におけるメラトニンの関与を明らかにし、新たな治療薬の創薬基盤の確立に貢献
野口 朝子(28歳) 東京大学大学院薬学系研究科 薬品作用学教室
受賞理由:神経活動の多様性を増幅する仕組みを解明し、限られた細胞で膨大な情報を処理する神経システムの理解に貢献
パネルディスカッション「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」
モデレーター:
浜田 敬子(ジャーナリスト)
パネリスト:
岡村 直子(文部科学省国際統括官/日本ユネスコ国内委員会事務総長)
川合 眞紀(自然科学研究機構 機構長)
佐々木 成江(お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所 特任教授)
小野寺 桃子(東京大学生産技術研究所基礎系部門 特任助教)
特別ゲスト:
山形県立米沢興譲館高等学校の生徒167名(予定)
経済協力開発機構(OECD)によると日本の女性研究者の割合は17.5%と加盟国中最下位であり、大学などの高等教育機関に入学した学生のうち、STEM(科学・技術・工学・数学)分野へ進んだ女性の割合は、自然科学(27%)と工学(16%)の2分野で、比較可能な36カ国中最低です。本セッションでは、高校生から寄せられた質問をもとに、科学分野におけるジェンダー平等や女性活躍、進路選択におけるアンコンシャスバイアス、ジェンダード・イノベーション(ジェンダー差のある科学)が社会全体にもたらすマイナスの影響などをテーマにディスカッションが繰り広げられました。日本においては、薬学や医学、歯学などにおける女性研究者は多いものの、工学や物理、数学などの分野は少ない、アンコンシャスバイアスは親世代やメディアからの影響によりもたらされるものが多いなど、日本の最新の状況と照らし合わせながら、多様で公正、包摂的な未来の実現のための最適解が模索されました。
「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」(主催:日本ロレアル)
https://www.loreal.com/ja-jp/japan/articles/commitments/fwis-japanfellow/
「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」の国内版として、日本ロレアルは2005年に日本ユネスコ国内委員会の協力のもと「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を創設。日本の若手女性科学者が研究活動を継続できるよう奨励することを目的とし、物質科学、生命科学の分野で、博士課後期課程に在籍または、博士後期課程に進学予定の女性科学者(40歳未満)を対象としています。毎年、物質科学・生命科学から原則、各2名(計4名)に奨学金100万円を贈呈しています。2022年度を含み67名の若手女性科学者が受賞しており、受賞後さらにキャリアを開花し、国内外で活躍しています。
「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」(主催:ロレアル本社)https://www.forwomeninscience.com/(英語のみ)
世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)はいち早く、1998年に世界の社会的課題である科学分野における女性研究者の割合を増やし、地位向上を目指すべく「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」を創設しました。これまでに世界110ヵ国から3,900名以上の女性科学者(ノーベル賞受賞者含む)を表彰してきました。「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」は、これまでに2021年の野崎京子氏(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻教授日本化学会理事)を含む7名が受賞しています。
ユネスコについて https://en.unesco.org/
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、諸国民の教育、科学及び文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の共通の 福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。本部はフランス・パリにあり、2022年9月現在の加盟国数は193ヵ国です。科学においては、技術、イノベーションや教育の発展に注力しているほか、海洋資源や生物多様性の保全、科学的知識に基づく気候変動や自然災害への対応策に取り組んでいます。とりわけ研究において、あらゆる人種差別の撤廃と男女共同参画を推進しています。
日本ユネスコ国内委員会について http://www.mext.go.jp/unesco/index.htm
日本では「ユネスコ活動に関する法律」に基づき、文部科学省に置かれる特別の機関として日本ユネスコ国内委員会が設置されています。日本ユネスコ国内委員会は、教育、科学、文化等の各分野を代表する60名以内の委員で構成され、我が国におけるユネスコ活動の基本方針の策定、ユネスコ活動に関する助言、企画、連絡及び調査等を行っています。日本ユネスコ国内委員会事務局は文部科学省に置かれ、文部科学省国際統括官が日本ユネスコ国内委員会事務総長を務めています。
ロレアルについて https://www.loreal.com/en/
ロレアルは、100 年以上にわたって美に専念してきました。35[1]の多様で補完的なブランドからなる独自の国際的なポートフォリ オにより、グループは 2020 年に 279 億 9000 万ユーロの売上高を達成し、世界中で 85,400 人の従業員を雇用しています。世界 有数のビューティーカンパニーで あるロレアルは、マス市場、百貨店、調剤薬局・ドラッグストア、ヘアサロン、トラベルリテール、ブランドリテール、E コマースなど、あらゆる流通ネットワークに展開しています。 研究とイノベーション、そして 4,000 人の研究専任チームは、ロレアルの戦略の中核であり、世界中の美への熱望を叶えるために活動していま す。ロレアルは、2030 年に向けてグループ全体で意欲的な持続可能な開発目標を掲げ、より包括的でサステナブルな社会に向けてエコシステム を強化 することを目指しています。
日本ロレアルについて https://www.loreal.com/ja-jp/japan/
ロレアルは 1963 年から日本で事業を開始し、1996 年に日本法人である日本ロレアル株式会社が設立されました。 2021 年末時点 での社員数は、2,270 人、2021 年 12月現在の取り扱いブランドは 18 です。化粧品の輸入、製造、販売、マーケティングを行っています。日本はロレアルグループのなかで戦略的拠点のひとつであり、マーケティングならびに営業拠点のほか、研究開発所(日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター)と製造工場(株式会社コスメロール)とシュウ ウエムラとタカミの2つのブランドの本社組織(商品企画やグローバル展開施策を策定する組織)を有しています。
[1] L’OREAL Annual Report 2020 に基づく