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舘鼻則孝による茶室での個展「Distance」が山口県立萩美術館・浦上記念館にて開幕。屏風型の新作絵画《Descending Painting (Folding Screen)》が披露される。

NORITAKA TATEHANA K.K.

本展は、2023年4月8日(土)から2024年3月24日(日)までの約1年間、山口県立萩美術館・浦上記念館の茶室にて開催されています。

本展のために特別に制作された《Descending Painting (Folding Screen)》は、屏風型の新たな絵画作品シリーズとして初公開されました。また、山口県萩市の市花でもある「椿」をモチーフとした《Camellia Fields》や舘鼻則孝の代表作である《Heel-less Shoes》も展示されています。《Heel-less Shoes》は、期間中2ヶ月ごとに6回の展示替えを行い、全6種の作品をご覧いただけます。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

舘鼻則孝「Distance」
2023年4月8日(土) − 2024年3月24日(日)
山口県立萩美術館・浦上記念館 [本館茶室]

舘鼻則孝の個展「Distance」が山口県立萩美術館・浦上記念館 の茶室にて開催されています。
本展覧会では、屏風型の新作絵画《Descending Painting (Folding Screen)》を中心に、山口県萩市の市花でもある「椿」をモチーフとした《Camellia Fields》や、舘鼻則孝の代表作である《Heel-less Shoes》も展示されています。《Heel-less Shoes》は、期間中2ヶ月ごとに6回の展示替えを行い、全6種の作品をご覧いただけます。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

展覧会紹介
本展覧会で初公開される《Descending Painting (Folding Screen)》は、屏風型の支持体を5層重ねることで絵柄が完成するように描かれています。

本作は、室町時代後期から江戸時代にかけて描かれた「洛中洛外図」から着想を得て制作されており、絵画という平面的なフォーマットに対しての空間的な表現への探究から生まれた作品とも言えるでしょう。
アクリル製の透明な支持体を用いることで生まれる視差効果(パララックス)を生かした表現手法は、舘鼻則孝が2018年に発表した《Vanishing Point Series》に代表されるような「境界線」や「消失点」に焦点を当てた作品とも関連性を見て取ることができます。

本展覧会のタイトルとなっている「Distance」は、そのような要素を包括的に捉えた言葉として、舘鼻則孝によって選ばれました。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION
(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION
(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

雷雲が描かれる「ディセンディングペインティングシリーズ」について
《Descending Painting Series》は、仏教において、臨終を迎える際に、阿弥陀如来と菩薩が雲に乗り迎えに現れる場面を描いた「来迎図(らいごうず)」に着想を得て制作されたものです。舘鼻則孝の描く来迎図には、阿弥陀如来と菩薩が描かれる代わりに雷が描かれています。雷は、神道における依代(よりしろ)に「神のみたまが依り憑く」場面をモチーフとして表しているとも言えます。「生と死」や、その「境界線」という視点から日本独自の死生観を表現する舘鼻の作品上には、神道と仏教における双方の価値観が共存する「神仏習合」と呼ばれる習合思想が示されています。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

萩市の市花でもある「椿」をモチーフとした彫刻作品「カメリアフィールズ」について
《Camellia Fields》は、舘鼻則孝が幼少期から過ごしていた鎌倉の風景から着想を得て制作された彫刻作品です。現在は「武家の古都」と呼ばれる鎌倉のかつての武家屋敷では、椿が好んで植えられていました。それは、花弁が散らずに花ごと落ちる椿を「潔い死」に見立てた武士独特の死生観に由来するものです。

「椿」は山口県萩市の市花としても制定されており、同市に所在する笠山(かさやま)の虎ヶ崎(とらがさき)周辺に広がる椿の群生林には、60余種・約25,000本ものヤブツバキが自生しています。また、2月中旬~3月下旬頃には見ごろを迎え、《Camellia Fields》のモチーフともなった「落椿(おちつばき)」が地面を赤く彩る光景を見ることができます。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

舘鼻則孝の代表作「ヒールレスシューズ」について
《Heel-less Shoes Series》は、江戸時代の花魁が履く高下駄から着想を得て制作された舘鼻則孝の代表作です。東京藝術大学の卒業制作展のために初めて作られた本作は、米国歌手のレディー・ガガに愛用されたことでも世界的に知られています。舘鼻は、大学時代に日本の伝統工芸を専門的に学び、手仕事にこだわりを持って制作しています。現在でもその制作工程については、全て自身の工房の手仕事で行われています。《Heel-less Shoes Series》は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館のパブリックコレクションとして永久収蔵されています。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

「ヒールレスシューズ」は、展覧会期間中に6回の展示替えを実施
第2作品目として6月1日(木)より展示されるのは、写真の《Baby Heel-less Shoes》となります。
《Baby Heel-less Shoes》は、舘鼻則孝が友人から依頼されたファーストシューズの制作がきっかけとなり、後に作品化されました。「赤ちゃんがはじめて履く靴」であるファーストシューズに使用する11センチの木型が用いられており、工程数や素材はそのままに《Heel-less Shoes》がスケールダウンされて再現されています。本作は、履くことを目的としていないオブジェクトであり、コレクタブルな作品として様々なバリエーションが制作されています。

(C) NORITAKA TATEHANA K.K., Photo by GION

アーティストプロフィール
舘鼻則孝(たてはな のりたか)

1985年東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で、幼少期から手でものをつくることを覚える。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。遊女に関する文化研究とともに、友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT、2014)、「Future Beauty」(東京都現代美術館など国際巡回、2012)、個展「呪力の美学」(岡本太郎記念館、2016)、個展「It’s always the others who die」(POLA Museum Annex、2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド日本庭園、2019)、「和巧絶佳」(パナソニック汐留美術館など4会場を巡回、2020-22)等の他、ニューヨーク、パリ、ベルギーなど世界各地で作品を発表。2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催など、幅広い活動を展開している。作品はメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。また2021年より、東京都が主宰する「江戸東京きらりプロジェクト」の一環として企画され、東京の伝統産業に焦点を当てたオンライン展覧会「江戸東京リシンク展」(小石川後楽園、2023)の展覧会ディレクターを務めている。

舘鼻則孝 オフィシャルウェブサイト
https://www.noritakatatehana.com/

Instagram: Noritaka Tatehana
( @noritaka_tatehana )

https://www.instagram.com/noritaka_tatehana/

Instagram: NORITAKA TATEHANA STUDIO
( @tatehanastudio )
https://www.instagram.com/tatehanastudio/

展覧会概要
展覧会  舘鼻則孝「Distance」
会 期  2023年4月8日(土) − 2024年3月24日(日)
開 館  9:00~17:00(入場は16:30まで)
会 場  山口県立萩美術館・浦上記念館 [本館茶室]
住 所  山口県萩市平安古町586-1

観覧料について
普通展示:一般300(240)円、学生200(160)円
※70歳以上と18歳以下の方、および高等学校、中等教育学校、 特別支援学校に在学する生徒は無料です。
※( )内は20名以上の団体料金です。
※身体障害者手帳、戦傷病者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をご提示の方および、その介護者(1名)は無料です。

山口県立萩美術館・浦上記念館 オフィシャルウェブサイト
https://www.hum.pref.yamaguchi.lg.jp/

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