バイエル薬品株式会社
現代病である子宮内膜症:正しい理解による早期発見・早期介入が重症化の予防につながる
一般女性の約9割が普段から月経に関連した症状を感じている。最も頻度の高いものは月経痛であり、子宮内膜症を疑う症状(月経痛、慢性骨盤痛、性交痛、排便痛など)もあがる。
子宮内膜症の認知:病気の原因や症状など、どのようなものか知っている女性は約2割。現代女性の月経回数の増加による発症・進行リスク増大について十分に知られていない。
薬剤服用による月経コントロール:月経痛の症状緩和などを希望する女性は約6割。月経コントロールを希望しない女性では、その理由に「体に悪影響があると思う」「自然なものをコントロールしてはいけないと思う」などを理由にあげる。
大阪、2018年6月1日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:ハイケ・プリンツ、以下バイエル薬品)は、2018年2月、子宮内膜症の好発年代である20~39歳の月経がある女性1,035名を対象とし、子宮内膜症およびと月経マネジメントに関する意識・実態調査を実施しました。本調査はバイエル薬品が婦人科疾患領域における患者さんの生活の質の向上に貢献すべく行っている情報提供活動の一環として実施するものです。
子宮内膜症では本来子宮内にあるべき子宮内膜に似た組織が子宮の内側内膜以外の場所に発生するもので、月経が起こるたびに体内で炎症が起こり、増殖・悪化していく慢性進行性疾患です。周辺組織と癒着して痛みや不妊の原因となり、妊娠した際には早産や流産のリスク因子となります。また卵巣に発生すると加齢とともにがん化のリスクが増加するといわれています。現代女性のライフスタイルの変化により、子宮内膜症の罹患率は上昇し、治療を受ける年代も拡大しています。日本における患者数は約260万人と推計され、早期発見・早期介入による重症化の予防が重要視されています。
今回の調査結果からは子宮内膜症を「どのようなものか知っている(21.9%)」と答えた女性は全体の約2割にとどまりました。さらに「どのようなものか知っている/具体的には知らないが聞いたことがある」と回答した方(n=907)を対象として子宮内膜症に関する記述について正しいかどうかを尋ねたところ、「子宮内膜が子宮外部にできる病気である(19.4%)」「月経によって進行する疾患である(20.6%)」など、病気について正しく理解している方は約2割にとどまりました。子宮内膜症は月経がある限り、発症・増悪のリスクを伴いますが、今回の調査結果から月経との関連性について女性の間で十分な認知がされていない現状が浮き彫りとなりました。また薬剤服用による月経コントロールについて希望するかを尋ねたところ、「月経に関連する症状(月経痛、月経前のイライラなど)を緩和すること(56.6%)」「月経が原因となる疾患(子宮内膜症、卵巣がんなど)を予防すること(55.1%)」と約6割の女性が希望し、また「一時的に月経をなくして、妊娠したいときだけ月経がくるように調整すること(24.5%)」、「月経の頻度を減らすこと(2カ月に1回など)(24.9%)」については44人に11人が希望する結果となりました。
本調査結果について、聖路加国際病院 女性総合診療部 部長 百枝 幹雄先生は次のように述べています。
「現代女性は初経が早く、また晩産化・少産化傾向にあり、閉経も遅くなったことから、生涯に経験する月経回数が著しく増加しています。このことは子宮内膜症が増加した最も大きな理由のひとつであると考えられており、また月経を繰り返すことにより病状は進行していきます。子宮内膜症は20代後半から発症することが多いと言われていますが、最近の報告では、10代後半から20代前半に初期の子宮内膜症を発症している場合もあることがわかっています。現代女性にとって大切なのは、こうしたリスクがあることを知った上で、健康管理を行い適切に対処していくことです。自覚症状がないまま進行する病気があるなかで、子宮内膜症は月経痛が病気を知らせる貴重なサインです。婦人科受診・診断の遅れは病気を進行させ、重症化させる原因となります。異常を感じたらすみやかに婦人科受診していただきたいと思います。」
主な調査結果は次のとおりです。
日常生活で月経の影響を受けている女性は約7割
イライラ感、やる気が起きない、集中できない、効率性の低下など、社会生活に大きく影響
20~39歳の月経がある女性1,035名に対し、日常生活において月経開始前や月経期間中に何らかの影響を受けることがあるか質問したところ、「仕事・勉強・家事に若干の支障がある(46.8%)」「横になって休息したくなるほど、仕事・勉強・家事に支障をきたす(17.5%)」「一日中寝込み、通常の日常生活が送れない(2.0%)」という回答が合わせて66.3%と約7割にものぼりました。さらに日常生活に何らかの影響があると回答したこれらの女性(n=686) (※専業主婦を除く設問n=488)に具体的な内容についてあてはまるものを尋ねたところ、「月経前後・期間中はイライラして、コミュニケーションに支障がある気がする(51.0%)」「月経期間中は仕事や勉強、家事、趣味など何をするにもやる気がおきない(49.3%)」「ファッションを選ぶ上で制限される(47.1%)」「月経期間外と比べて、仕事や勉強の効率性が落ちている気がする(44.5%)※」「月経期間外と比べて、仕事や勉強に集中できない(44.5%)※」などが上位にあがり、社会生活に大きな影響を及ぼしていることがわかりました。【別添資料:P7, P8参照】
月経に関連した症状における医療機関 受診経験は約3割
日常生活への影響度が重度であっても受診経験は約半数にとどまる
月経に関連した症状のため、医療機関を受診したことがあるかを尋ねたところ、「過去1年より前に受診したことがある(19.2%)」「過去3か月より前~1年以内に受診した(5.9%)」「過去3か月以内に受診した(5.3%)」という回答を合わせて30.4%と全体の約3割にとどまりました。日常生活への影響度が重度、中度と回答した女性においても、医療機関の受診経験はそれぞれ52.4%、44.2%にとどまり、多くの女性が日常生活に大きく影響する月経に関連した症状を我慢して放置している可能性が示唆される結果となりました。【別添資料:P13参照】
月経に関して普段何らかの症状を感じている女性は全体の約9割
子宮内膜症を疑う症状(月経痛、慢性骨盤痛、性交痛、排便痛など)もあがる
月経に関して普段何らかの症状を感じている女性は全体の約9割にのぼり、「月経痛(下腹部痛や腰痛など)がある(64.6%)」「月経開始前にイライラしたり、怒りっぽくなる(59.4%)」「経血に大きなレバー状のかたまりが混じる(34.4%)」が上位を占めました。【別添資料:P9-10参照】
上記の設問のうち子宮内膜症を疑う症状である「月経痛(下腹部痛や腰痛など)がある」「月経時に限らず下腹部痛がある」「肛門の奥の方が痛い」「月経時に限らず性交痛がある」「月経時に限らず排便痛がある」について、月経に関連した症状で医療機関を受診したことがある回答した女性(n=315)では、受診経験がないと回答した女性(n=720)と比較して、より多くの女性が普段感じている症状として回答していました。しかしながら医療機関の受診経験がない女性においても子宮内膜症を疑う症状について、普段感じている症状にあげていることが懸念されます。【別添資料:P11参照】
重い月経痛のある方では、子宮内膜症のリスクが2.6倍高まると報告されています(1)。NPO法人日本子宮内膜症啓発会議 が提供する子宮内膜症チェックリスト(2)などを参考に、異常なサインを見逃さず婦人科を受診することが大切です。
(1)Treloar SA et al. Am J Obstet Gynecol 2010
(2) NPO法人日本子宮内膜症啓発会議「子宮内膜症情報ステーション」子宮内膜症チェックリスト
http://www.jecie.jp/selfcheck/
子宮内膜症の認知度 原因・症状まで知っている女性は約2割
20代では病気自体を「知らない/聞いたことがない」女性が約2割存在する
子宮内膜症について知っているかどうかを尋ねたところ、原因・症状などどのようなものか知っていると回答した女性は21.9%と、全体の約2割にとどまりました。また子宮内膜症の認知を年代別にみたところ、
20代では「知らない/聞いたことがない(19.7%)」と回答した女性が2割を占め、女性の間で十分に認知されていないことが懸念される結果となりました。【別添資料:P16参照】
子宮内膜症の理解度 病気について
「月経によって進行する」「子宮内膜が子宮外部にできる病気」などの認知は約2割
子宮内膜症について「どのようなものか知っている(原因、症状など)」「具体的な内容は知らないが、聞いたことがある」と回答した女性(n=907)を対象として、子宮内膜症に関する記述について正しいかどうかを尋ねたところ、正答率の低かったものは「子宮内膜が子宮外部にできる病気である(19.4%)」「月経によって進行する病気である(20.6%)」「卵巣がんのリスクになる(40.8%)」などでした。子宮内膜症の原因や進行のリスクについて、正しく理解されていないことがわかりました。【別添資料:P17参照】
子宮内膜症の理解度 発症リスクについて
「一生を通して月経回数が著しく増えた」ことによる子宮内膜症のリスク増加の認知は低い
現代女性が子宮内膜症を発症するリスクについて質問したところ、「過去と比べて上がっている」と正しく答えた女性は56.5%、全体の約6割でした。さらに発症リスクが上がっていると回答したこれらの女性(n=585)に、理由として最も適切と思うものを尋ねたところ、「一生を通して月経の回数が著しく増えたため」と正しく答えた女性は15%にとどまりました。【別添資料:P18参照】
現代女性は生涯に経験する月経回数が著しく増加し月経血が逆流する機会やエストロゲンにさらされる機会が増えたことに伴い、子宮内腔以外で内膜症組織が増殖する機会も増え、子宮内膜症を発症しやすい環境にあるといえます。現代女性にとって大切なことはこうしたリスクがあることを知った上で、自身の健康管理を行い正しい対処につなげていくことです。
薬剤服用による月経コントロール:月経痛の緩和、病気の予防について約6割が希望
一方で希望しない女性では「薬を飲むことに抵抗感がある」ことを多く理由にあげる
自身の月経に対する希望について尋ねたところ、「強く希望する」「希望する」と回答した割合は、「月経に関連する症状(月経痛、月経前のイライラなど)を緩和すること(56.6%)」「月経が原因となる疾患(子宮内膜症、卵巣がんなど)を予防すること(55.1%)」と約6割の女性が希望し、また「一時的に月経をなくして、妊娠したいときだけ月経がくるように調整すること(24.5%)」、「月経の頻度を減らすこと(2カ月に1回など)(24.9%)」については、4人に1人が希望する結果となりました。【別添資料:P22参照】
それぞれの項目において「希望しない/絶対に希望しない」と回答した女性にその理由を尋ねたところ、主に「体への悪影響があると思うから」「月経は自然なものなのでコントロールしてはいけないと思うから」「副作用がありそうだから」が上位にあがりました。今回の調査結果からは“毎月月経があることが大切である”といった認識を持つ女性が少なからず存在することが示唆される結果となりました。【別添資料:P23参照】
現代女性では生涯に経験する月経回数が増加し、月経のある期間も長くなっています。月経回数が増えたことは、月経困難症や子宮内膜症などの病気の増加に深く関連しています。月経が順調に来ていても、月経痛などのトラブルがある場合には、毎月の排卵を抑えたり月経回数を減らすなどの治療検討も現代女性にとっては必要なことです。
現在行っている月経トラブルの対処法
「鎮痛剤を飲む」「なるべく安静にする」「温かい飲み物を飲む」など、対症療法が主。
月経トラブルへの対処を目的として行っていることを尋ねたところ、「鎮痛剤を飲む(61.8%)」「なるべく安静でいるようにしている(横になる時間を増やすなど)(58.4%)」「温かい飲み物を飲む(56.9%)」「ゆたんぽ、カイロで腰を暖める(50.0%)」の順に高いことがわかりました。女性ホルモン剤(ピル)を服用していると回答した女性は7.5%にとどまりました。【別添資料:P24参照】
女性ホルモン剤の認知
具体的な効果まで理解している女性は約半数
女性ホルモン剤(ピル)を知っているかどうか尋ねたところ、「どのような効果があるか知っている」と47.4%、全体の約半数の女性が回答しました。さらに「効果について知っている」と回答した女性(n=491)を対象として、女性ホルモン剤の効果に関する記述について質問したところ、「婦人科疾患(子宮体がん/卵巣がん/卵巣のう胞など)を予防できる(22.8%)」「婦人科疾患(子宮筋腫/子宮内膜症など)の痛みが和らぐ(40.5%)」にとどまりました。前問の薬剤使用による月経コントロールについて希望の高かった項目での認知が低く、薬剤使用の目的について理解が不十分である可能性が示唆されました。【別添資料:P25参照】
【調査概要】
対象: 現在月経のある20~39歳の女性
地域: 全国
方法: インターネットによるアンケート調査
時期: 2018年2月9日から2月16日
有効サンプル数:1,035名(実際の市場の縮図となるよう、人口×対象者出現率で按分)
調査委託先:株式会社マクロミル
注) 本調査レポートの百分率表示は小数点第2 位で四捨五入の丸め計算を行っているため、合計しても100%とならない場合があります。
調査結果の詳細は以下をご参照ください。
【別添資料】:https://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2016/news2018-06-01b.pdf
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと農業関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。バイエルはその製品とサービスを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に貢献すると同時に、技術革新、成長、およびより高い収益力を通して企業価値を創造することも目指しています。また、バイエルは、持続可能な発展に対して、そして良き企業市民として社会と倫理の双方で責任を果たすために、これからも努力を続けます。グループ全体の売上高は350億ユーロ、従業員数は99,800名(2017年)。設備投資額は24億ユーロ、研究開発費は45億ユーロです。詳細は www.bayer.com をご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
バイエル薬品株式会社は本社を大阪に置き、医療用医薬品、コンシューマーヘルス、動物用薬品の各事業からなるヘルスケア企業です。医療用医薬品部門では、循環器領域、腫瘍・血液領域、ウィメンズヘルスケア領域、眼科領域、画像診断領域に注力しています。コンシューマーヘルス部門では解熱鎮痛薬「バイエルアスピリン」をはじめ、アレルギー性疾患治療剤や皮膚科領域に注力しています。動物用薬品事業部は、動物用医薬品の提供を中心にコンパニオンアニマルおよび畜産動物のヘルスケアに貢献しています。同社は、技術革新と革新的な製品によって、日本の患者さんの「満たされない願い」に応える先進医薬品企業を目指しています。詳細は www.byl.bayer.co.jp/ をご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2018年6月1日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。