海と日本プロジェクト広報事務局
2023年9月24日(日) 港の庵・緑の島(函館市)
一般社団法人Blue Commons Japanは、2023年9月24日(日)、小学生とその保護者を対象に、海での魚釣り体験と釣った魚の試食を行うイベント「親子de海釣り自然塾」を実施しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
「親子de海釣り自然塾」とは
「親子de海釣り自然塾」は、三方を海に囲まれていながら水族館や大きな海水浴場がなく、海に親しんだり海について学んだりする機会がごく限られている函館において、海との距離を身近に感じる子どもたちを育成するための取り組みです。
海釣りは単なるレジャーと思われがちですが、視点を変えて取り組むことで、海の中にいる魚たちと糸を介して向き合い、その生態に触れ、実際に食べて命の大切さや食材としての特徴を知ることができる多面的な海洋教育プログラムとすることを目指しました。
イベント概要
函館の海とそこで暮らす魚についてのミニ授業
すがすがしい秋晴れが広がったこの日、147組の応募から抽選で選ばれた13組26名の親子が参加しました。イベントの冒頭、一般社団法人Blue Commons Japanの國分晋吾から今回のイベント内容を説明。最近、イワシが大漁だと聞いた参加者は、ワクワクした表情に。
続いて、海や魚について深く知るために、北海道のおさかな先生でお魚専門シンガーソングライターとして活躍する齊藤いゆさんを講師に迎え、「潮と汐のちがいってなんだろう?」「どうして海は動くの?」など、7問のクイズで学びました。最初は表情が硬かった子どもたちも緊張がほぐれてきて、どんどん手があがるように。
イワシの危機検知能力が自動車の衝突回避システムの開発の参考になったことを知ると、参加者から驚きの声が。海が変わってきていることについて「変わった魚がとれても、それは私たちの住む『函館の魚』。どんな魚が来てもウェルカムようこそと受け入れてあげるように」といゆさんからのメッセージに、多くの参加者が共感していました。
函館湾に浮かぶ人工島「緑の島」でサビキ釣りにチャレンジ
釣り具のテスターも務めるいゆさんから釣りの心得を聞いた子どもたち。待ちきれない様子で、海釣りの会場「緑の島」へ移動しました。ここからは、函館のローカルテレビ番組「釣りバカZ」に開始当初から出演する釣り人コンビ「浜ちゃん&スーさん」が釣り講師として登場。サビキ釣りのしかけは針の数が多く、釣り針に「かえし」があるので気をつけるなど注意事項のほか、虫エサを使わないので初心者が釣りを始めやすいことなど、函館なまりで軽快に説明する浜ちゃん&スーさん。参加者の笑いが起こります。
今回の釣りのルールとして、限りある海の資源を無駄にしないために食べられる分だけ釣る「おかず釣り」を実践することが伝えられ、親子1組4匹までの釣り体験が始まりました。さっそく、海にサビキしかけを投入していく参加者たち。あれよあれよとイワシがあがり続け、開始から20分足らずで、全組が4匹を釣り終えました。
マイワシを使って家庭で簡単に作れる「ハコダテアンチョビ」実演
釣り体験があまりに早く終わってしまったため、このイベントに協力してくださっている一般社団法人ローカルレボリューション代表の岡本啓吾さんによる、とれたばかりのイワシを使ったアンチョビ作りを急きょ実演してもらうことに。岡本さんとこの日最初の講師を務めた斎藤いゆさん、このあと試食を提供してくれたシェフの斎藤亘胤(のぶつぐ)さんの3人で構成するローカルレボリューションは、未活用・低利用の地元資源に価値を見出す活動を展開する「地域課題解決型法人」。その一環として、近年大量に水揚げされるようになったものの値段がつきにくく、ほぼ未活用だった函館産マイワシを使った「ハコダテアンチョビ」を開発・販売しています。岡本さんは、「アンチョビはイタリアの家庭料理に欠かせない”出汁”。簡単に作れるので、函館でも各家庭でアンチョビを作るようになり、新しい食文化になってくれたら」と話し、家庭でできる作り方を説明しました。簡単すぎて、先ほどの釣り講師の浜ちゃんからは「まさがよ~!(まさかそうとは思わなかった)」の声が。
魚屋さん直伝、家庭で実践できる魚のさばき方実演
斎藤いゆさんが再び登場。普段魚屋さんで働くいゆさんは、1日に何百匹と魚をさばくこともあるそう。今回は、家庭でもさばきやすい「イナダ」のさばき方を教えてもらいました。地域によって魚の鮮度を保つために行う血抜きの方法が異なることや、胃袋を開いて見るとどんなものを食べていたかがわかるなど、魚が大好きないゆさんらしいさばき方講座となりました。興味津々に見つめる子どもたちの後ろには動画で記録するお父さんお母さんの姿も。食べられる部分を無駄しないいゆさんの手さばきに見入っていました。
シェフが腕を振るった南蛮揚げとタコスで、釣ったばかりの魚を試食
ここからはレストラン「pokkedish(ポッケディッシュ)」のシェフを務めるノブさんこと、斎藤亘胤さんの試食会タイム。さっき釣ったばかりのイワシは甘辛いタレにからめた南蛮揚げに、そして、10年前と比べて90倍も函館で水揚げされるようになったサバを使ったタコスを提供してくれました。
南蛮揚げはイワシのフィレに米粉をまぶしてから卵にくぐらせ二度揚げすることで、小骨が気にならずガリッと仕上がり、タレが絡みやすくなると調理のコツも伝授。美味しさに思わず参加者の笑顔がこぼれます。
親子で考える「#わが家の海宣言」
最後に、イベントに参加して感じたこと、海への思いやこれからの向き合い方を親子で相談してもらい、発表タイムを行いました。「海にごみを捨てない」「海が大切だということを友だちに広めたい」など、思い思いの宣言が出ました。
参加した子ども・保護者からの声
子どもからの声
「海の楽しさと危なさ、月と海面の関係や魚のさばき方など色々知ることができた。海に行ったら、まず釣りをしてみてほしい。」
「海は2050年にはごみのほうが多くなることを知った。」
「このイベントを通して、もっと海について知りたくなった。このイベントを友だちにすすめて、もっと海について学校で広めようと思いました。」
保護者からの声
「生態系の変化により、函館でとれる魚が変化していくということ。変化を悪いことと受け止めるのではなく、今とれるお魚を味わうことの大事さを学びました。」
「海のことを知っていたと思っていましたが、意外にもたくさん知らないことがあり、学べて楽しかったです。」
「いゆさんの講話がとてもおもしろくてわかりやすく、シリーズで定期開催してほしいです。」
<団体概要>
団体名称:一般社団法人 Blue Commons Japan(ブルー コモンズ ジャパン)
URL:https://www.hakodate-umi.com/
活動内容:函館朝市ミニ水族館の運営、海に関連した「子ども向け講座」を実施
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/