ジーネックス株式会社
ジーネックス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:八木研・飯田敦、以下「ジーネックス」)は、2022年12月から提供する『ジーネックスの全ゲノム検査』をリブランドするとともに、遺伝子の重要領域に絞って同様の解析を行う新製品『ジーネックスのゲノム検査 エントリー』の販売を開始しました。
『ジーネックスのゲノム検査』ご紹介ページ
https://genex.co.jp/lp/
サービスの特長
1. 圧倒的なデータ量で、約2万ある遺伝子すべてを一度に検査。技術の恩恵をより多くの方へ。
2. 遺伝性がんや難病・希少疾患の素因があるか-知りたい情報をあなたが選べる。あなたが決める。
3. ゲノムは生涯変わらずとも、紐づく知識は日々更新。資産としてのゲノムデータを手軽に、安全に。
遺伝子検査は、遺伝要因が絡む病気の発症リスク評価や細かな分類、予後予測に効果的な検査です。いまでは複数の遺伝子をまとめて調べる「遺伝子パネル検査」や、すべて一気に調べてしまう「エクソーム検査」「全ゲノム検査」も技術的に可能です(※解説1)。ただ、遺伝子の違いを不用意に知ってしまうと、差別や偏見にさいなまれたり、本人以外の家族も巻き込まれたりするのでは、との懸念が根強く残っていました。また、検査前後の相談窓口となれる医師・医療機関も限られていました。さらに、得られる情報が膨大で専門性が高いこと、情報を科学的に正しく解釈するのが難しいこと、検査コストが高額なこと、そして機微情報の管理を伴うことも、非医療の民間企業による社会実装への高いハードルでした。
ジーネックスは、ゲノム医療推進法の成立を機に差別防止や相談支援の環境整備が進むことを見据え(※解説2)、前記の特長あるサービスを通じて、ゲノム解析技術の恩恵をより多くの方へお届けします。『ジーネックスのゲノム検査 エントリー』(税別29,800円、税込32,780円)は、従来の遺伝子検査の10~100倍に当たる6,000万塩基対を調べることで人間が持つ全遺伝子の重要領域をカバーし、『同 スタンダード』(税別59,800円、税込65,780円)は、そのさらに50倍の30億塩基対を調べることで全ゲノムをカバーします(図)。『エントリー』で用いるエクソーム解析を医療機関や大学等研究機関でない本邦の民間企業が採用した例はこれまでありませんでした(当社調べ:2024年3月29日現在)。
本サービスはジーネックスの「個人が自らのデータを持ち、考え、行動する」というビジョンの下、より多くの情報を得たい層のニーズを満たすべく設計されています。検査後に届くのは、一人ひとり違う遺伝子の個性を反映した専用のレポートです。予防・診断・治療の観点から特に精査すべきと考えられる遺伝子の変化については、個別に用意された特別な解説がデータとともに示されます。世界中の医学研究者がお互いに登録し参照し合う信頼性の高いデータベースから、病気とどう関連し得るか、家族への影響はどうか、などの大切な情報を分かりやすく伝える工夫をして、医療へ橋渡ししやすくなるよう試みています。一方で、遺伝性がんや難病・希少疾患の素因があるかもわかるため、利用者の「知らないでいる権利」にも配慮し、申し込みの際に受け取る結果を限定する希望も受け付けています。
検査で得られたゲノムデータは、あなたの大切な資産です。「生命の設計図」ともたとえられるゲノム上の個性は、その人の生涯を通じて基本的に変わりません。しかし、その意義や紐づく知識は日々更新されています。検査で見つかった「A>T」という変化が今日は意義不明でも、来年は何か報告があるかもしれません。その報告から、その「A>T」が数万人に一人の珍しい変化で、それを持つあなたの研究参加が望まれるかもしれません。ジーネックスのゲノム検査は、こうした価値を見出し得る知識基盤を育てるための投資と資産管理の入り口でもあるのです。
『ジーネックスのゲノム検査』ご紹介ページ: https://genex.co.jp/lp/
ジーネックスは2022年12月に『ジーネックスの全ゲノム検査~難病・希少疾患に不安を抱えるあなたとあなたの大切な人へ~』を販売開始(※過去のプレスリリース1)して以来、難病の遺伝子パネル検査での解析を支援(※過去のプレスリリース2)するなど、信頼に足る情報を誠実にお届けすることを旨として製品開発に取り組んできました(※解説3)。本サービスの提供は、積み上げた技術・ノウハウをより広く社会還元しようとするジーネックスの新たな挑戦です。
用語解説と補足説明
(*1)エクソームと全ゲノム
人間の遺伝子領域のDNAからタンパク質がつくられる過程では、DNAはまずRNAに転写されて一次転写産物(mRNA前駆体)ができ、スプライシングなどの加工を経て成熟mRNAとなった後、タンパク質に翻訳されます。スプライシングで取り除かれる部分をイントロン(intron)、残る部分をエクソン(exon)と呼びます。
エクソーム(exome)は、数十万あるエクソンの総体を指す概念で、DNAに含まれる約30億の「A、G、T、C」塩基すべての配列(全ゲノム)の約2%に相当するとされています。タンパク質に翻訳されないエクソンも多数ありますが、ゲノム解析の文脈ではしばしば慣例的に「タンパク質に翻訳されるすべての領域」「遺伝子コード領域」とほぼ同義で用いられます。タンパク質に翻訳されるエクソン領域は概して重要な機能を持つため、ここが変化すると病気を引き起こすことが多いと考えられています。
(*2)ゲノム医療推進法
2023年6月に超党派議員連盟による議員立法として成立した「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」の通称です。いわゆる理念法で、現在はこれに基づく国の基本計画の策定に向けた検討が行われています。ジーネックスは、本法を背景に遺伝に関する教育の普及と病院の遺伝外来の充実がさらに進み、多様性を受け入れる社会の機運がいっそう高まっていくと考えています。
(*3)ジーネックスのゲノム検査サービスの経緯
これまでジーネックスが提供してきた『全ゲノム検査』は、DNAに含まれる約30億の「A、G、T、C」塩基すべての配列を調べ、誰もが持つ数百万箇所の遺伝的な個性を検出する検査です。いつどこでも身体に負担なく唾液で検査でき、個人に手の届く価格設定でありながら、遺伝的な個性の中に、専門家が「病的」と評価する特徴的な塩基配列があるかを詳細に報告します。
『ジーネックスのゲノム検査 スタンダード』は、この『全ゲノム検査』と同水準のサービスに、独自の最新版解析アルゴリズムとデータベースの更新を適用したものです。『ジーネックスのゲノム検査 エントリー』は、解析対象をエクソーム(全ゲノムの2%)に限定した以外は『スタンダード』と同様です。いずれのゲノム検査も、血液検査や画像検査などとは異なり、いまの身体の状態を調べて病気の兆候を見つける検査ではありません。また、消費者向け遺伝子検査であり、診療の用に供する検査ではありません。
『エントリー』よりも『スタンダード』の方が遺伝子の変化を多く検出できますが、ジーネックスの経験上、特に精査すべきと考えられる重要なものに限れば『エントリー』でも8割程度は検出されると期待されます。ただし、人によるばらつきが大きいことと、将来、イントロン領域や非遺伝子領域に関する報告が増えてくれば数字は変わり得ると考えられることには注意が必要です。
ジーネックス株式会社について
ジーネックスは、ゲノムおよびヘルスケアに関するデータプラットフォームの企画・運営を事業内容として2019年8月に設立された、マネックスグループ株式会社、株式会社タウンズ、株式会社スギ薬局、科研製薬株式会社、TIS株式会社、他を株主とするスタートアップです。
過去のプレスリリース
1. 『ジーネックスの全ゲノム検査』、難病を疑う個人へのサービスを開始 https://genex.co.jp/pdf/press20221222.pdf
2. 順天堂大学に難病の遺伝子パネル検査の解析ソフトウエアを提供開始https://genex.co.jp/pdf/press20231211.pdf
以上