公益財団法人東京都歴史文化財団
他者の存在を感じ、日常を新たな視点で捉えなおす、参加型の展覧会
デザイン:田部井美奈
東京都渋谷公園通りギャラリーは、夏の展覧会企画として、2024年6月15日(土)から9月1日(日)まで、「日常アップデート」を開催いたします。
【展覧会概要】
社会はコロナ禍以前と同じ毎日を取り戻したかのように、人と関わり、集い、再び動くまでにあゆみを進め始めています。しかし一筋の光が見えてきた矢先に新たな災害が起き、私たちの記憶に大きな出来事として刻まれました。私たちは、このような事象に遭遇するたびに、日常の尊さや儚さを感じ、過去に積まれた記憶が奥深くへと押し込まれ、代わりに新たな体験の記憶がその上に重ねられることに気づかされます。
本展では、見過ごされるような光景や体験、聞き慣れたことば、どこかの誰かとの共同作業、その日の大切な記憶や事柄の記録、安心できるいつもの風景などさまざまな観点で日常を思わせる6名の作家(飯川雄大、関口忠司、土谷紘加、原田 郁、宮田 篤、ユ・ソラ)の作品から繰り返される日々を考えます。
それぞれの作品から見えてくる他者の日常に触れることで、さっきまで見えていたいつもの風景が新たな価値を帯び、私たちの日々を豊かにしてくれることでしょう。何処かしらに他者の存在が感じられる作品を通して、日常における人と人、人と社会の在り方について考え、日常を新たな視点で捉えなおすことを試みます。
★鑑賞者が参加することで、展覧会も日々アップデート!
●飯川雄大「デコレータークラブ 新しい観客」(当ギャラリー貸出期間:6月15日~9月1日)
展示室にあるかばん《ベリーヘビーバッグ》を運び出し、鑑賞者の手で、飯川雄大の展覧会が開催されている別の4会場、鳥取県立博物館(鳥取県)・高松市美術館(香川県)・CUPSULE(東京都・三宿)・LAG[LIVE ART GALLERY](東京都・神宮前)の何れかの展示室に運んでいただく作品です。鑑賞者が作品を運ぶという非日常体験による気づき、またその行為を目撃した人たちは、図らずとも作品の鑑賞者になり得るという、それぞれの立ち位置からの視点が交差する作品です。
●原田 郁 ワークショップ「共感の窓際」 (受付期間:6月15日~7月28日)
「窓の絵」を描く参加型ワークショップです。ウェブサイトからも参加できます。
参加者が描いた「窓の絵」は、8月1日から原田郁の仮想世界内ギャラリーにて、展示・公開されます。
●宮田 篤「びぶんブックセンター」
ギャラリーの交流スペースに「びぶんブックセンター」が出現します。期間中にさまざまなゲストを迎え、ワークショップなどのイベントや、まいにちあそべる《微分帖》を準備しています。6月22日(土) 14:00~18:00は、「向坂くじら(詩人)1日研究員」を開催。その他に、遠方の方も参加できる文通での「はさもう!びぶんまんが」などを実施します。
※「びぶんブックセンター」は、おとなもこどももあそべるぶんがく《微分帖》のポップアップ文化センターです。
※《微分帖》はみんなでつくるおはなしの小さな本の名前で、 そのお話ができるちょっとかわった作文の仕方のことで、それが行われる場所の呼び方でもあります。
●土谷紘加とユ・ソラのさわれる作品
展示作品とは別に、土谷紘加とユ・ソラがさわれる作品を制作。それぞれの質感を感じてみてください。
●日常ラジオ(7月3日から随時公開予定)
アーティスト・トークをYouTubeポッドキャストでお届けします。「日常アップデート」出展作家と担当学芸員が、作家の日常から出展作品についておしゃべりをします。音声コンテンツとして、展示会場やご自宅でもお聴きいただけます。アーティスト・トークを聞きながらの作品鑑賞、鑑賞後の振り返りなどお楽しみください。また、ゲストを招いた回では、公開収録を予定しています。
そのほか、手話による作品解説動画や、担当学芸員や鑑賞サポーターによるギャラリートークも実施予定。
【作家プロフィール】
飯川 雄大(IIKAWA Takehiro)
言葉や映像、遊具のような装置を使い、鑑賞者が作品に触ったり、動かしたりすることで思いがけない場所で新たな体験を作るインスタレーション「デコレータークラブ」(2007-)を展開している。主な展覧会に、「飯川雄大展『デコレータークラブ:未来のための定規と縄』」(霧島アートの森[鹿児島]2023年)、「デコレータークラブ 同時に起きる、もしくは遅れて気づく」(彫刻の森美術館[神奈川]2022年)など。
関口 忠司(SEKIGUCHI Tadashi)
職員との会話の中でひらめいた言葉、テレビで耳にした言葉、普段の生活の中でパッと耳に残った言葉など、関口の中から湧き上がる言葉を日々書き連ねていく。温かみのあるやわらかな字には関口の人柄が表れている。主な展覧会に「いま、気になるあの人の表現展」(嬉々!!CREATIVE GALLERY&CAFE[神奈川]2023年)、「まにあうかも/まちがうかも~さすらう言葉~」(Goozen -art and event space-[神奈川]2022年)など。
土谷 紘加(TSUCHITANI Hiroka)
2015年よりアイロンビーズを使って製作を開始。毎日3枚ほどの作品を完成させ、総数は2500枚を超える。ビーズの配置・色の選択・熱の当て具合は全て異なり、土谷の感覚によって構成される。シリーズ名のCOLORNY(カラニー)はcolor(色彩)とcolony(群体)を合わせた造語。主な展覧会に「3331 ARTFAIR 2021」(3331 Arts Chiyoda[東京]2021年)、「HOME PARTY06-蝶や花や-」(みずのき美術館[京都]2020年)など。
原田 郁(HARADA Iku)
2008年頃よりコンピュータ内に仮想の理想郷を立ち上げ、その世界で目にする擬似体験の 風景を主に絵画として描いている。現実と仮想世界の融合が観客を新たな体験へと誘う。主な展覧会に「MOTアニュアル2023:シナジー、創造と生成のあいだ」(東京都現代美術館、2023年)、「多層世界の中のもうひとつのミュージアム」(ICC[東京]2021年) 、公開制作「もうひとつの世界 10年目の地図」(府中市美術館[東京]2019年)など。
宮田 篤(MIYATA Atsushi)
おとなもこどももあそべるぶんがく「微分帖」など、ワークショップやドローイングによって他者との関わりの中にある差異を見つめることを制作の契機にしている。主な活動に「わくわくなおもわく」(はじまりの美術館[福島]2019年)、「びぶんブックス ことばの店:微分帖」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2019年)、「ふしぎの森の美術館」(広島市現代美術館[広島]2010年)など。
ユ・ソラ(YU SORA)
刺繍の平面作品や立体作品のインスタレーションなど、白い布と黒い糸を使った作品を展開している。白と黒で表現された空間から日常とは何かを問いかけている。主な展覧会に「もずく、たまご」(資生堂ギャラリー[東京]2023年)、「BankART Under35 2022」(BankART KAIKO[神奈川])、「普通の日」(あまらぶアートラボ「A-lab」[兵庫]2021年)、「些細な記念日」(LOTTE GALLERY[ソウル]2018年)など。
【開催概要】
*開催内容は、都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。
夏休みの子どものプログラムとして、本展会期中に開催します。
■Kids meet 04 飯川雄大「デコレータークラブ ー 0人もしくは1人以上の観客に向けて」
2024年7月27日(土)、28日(日) 2日連続ワークショップ
各日10:00-16:00 会場:東京都渋谷公園通りギャラリー
本展出展作家の飯川雄大を講師に迎え、展覧会会期中に子どものプログラム「Kids meet 04」を実施します。渋谷の街中に、どこかの誰かに向けて、何かをする。もしかしたら見てもらえるかもしれないし、気がついてもらえないかもしれない、気がつきそうで気がつかない、けど気がついたら目が離せないような仕掛けをみんなで作ります。感覚の変化やものの見え方など、さまざま気づきを得られるワークショップです。今回は大人も参加可能です。
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