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【ライブレポート】PERSONZ、結成40周年ライブツアーファイナル Zepp Haneda2024.07.21

株式会社バップ

結成40周年を迎え、目下勢いに乗っているPERSONZ。アニバーサリーイヤーとなる2024年は、1~3月に3ヶ月連続でシングルを配信リリースしたのを皮切りに、3~4月には全7本の<HAPPY BLOOMING TOUR PERSONZ neo ACOUSTIC SESSION>を開催し、6月19日には待望のアルバム『40th FLOWERS』をリリース。6月21日からは全9本の<「40th FLOWERS」 PERSONZ 40th Anniversary Tour 2024>を開催と、息つく暇もなく精力的な活動を展開している。振り返れば、2020年4月に5年ぶりの新作となるミニ・アルバム『I AM THE BEST !』をリリースし、さぁ動きだそうとした矢先、コロナ禍によってツアーは中止を余儀なくされ、エンタメ業界全体も活動を制限される状況が続いていた。それから4年を経た今年、PERSONZは『夢の凱旋』から9年ぶりとなるフル・アルバム『40th FLOWERS』を完成させ、それを引っさげてのネオアコースティック・ツアーと本来のスタイルであるエレクトリック・ツアーを敢行。40周年という記念のタイミングに照準を合わせたかのように、世の中の状況も落ち着きを取り戻し、バンドがフルパワーで活動できるシチュエーションも整った。神様もPERSONZのアニバーサリー・イヤーを祝福してくれていたのかもしれない。全公演がソールドアウト、4年越しの思いとエネルギーに満ちた<「40th FLOWERS」 PERSONZ 40th Anniversary Tour 2024>から、ファイナル公演の模様をレポートする。

映画音楽のような壮大かつ優美なSE、虹色のライトが輝く中メンバーが登場し、観客は大きな拍手で出迎えた。Halo Crown(ヘイロークラウン)を着けたJILLが現れると、ひときわ大きな歓声があがる。Haloとは後光という意味で、聖人たちの後ろにある光輪のこと。西洋の宗教画などで見たことのある人も多いと思うが、アルバム『40th FLOWERS』のジャケット写真でもJILLはこの冠を着けている。観客に向かって大きく手を広げるJILL。まるで女神のような神々しさだ。オープニング・チューンは、アルバムの1曲目でもある「FLOWER OF LOVE」。ライブでは初めて聴く人も多いはずだが、2番では自然に手拍子が起こり、早くも一体感が広がっていく。続いて2曲目はライブの定番曲「7COLORS」。クイーンのブライアン・メイを思わせるギターの重厚なフレーズに導かれてJILLが曲名を叫ぶと、会場には“オイ!オイ!”という掛け声が。観客もこの日を待っていたのだろう、カラフルなサイリウムを手に全身で歓迎の気持ちを表現している。サビの♪クルクル廻る子猫の瞳のように~という部分では、JILLと本田がクルッと回ってみせたり、視覚的にもライブの楽しさがいっぱいだ。

前日が高知公演で、今日東京に戻ってきたという彼ら。家にも帰らずにZepp Haneda入りしたのだそうだ。MCでJILLは「ファイナルの9本目、今日のライブは最高にしましょう。40周年です! 初めてのZepp Haneda最高です!」と挨拶。

3曲目は少ししっとりめのミディアム「sayonaraは言わない」を。ボーカルはフェイクを多用し、細やかな表情を織り込んでいく。包み込むようなベースの響きも、歌と息がぴったり合ったフレーズでメリハリをつけるドラムも流石の表現力。

メンバーからのご挨拶コーナーでは、4人が一言ずつメッセージを。
「あっという間の千秋楽。充実した良いツアーでしたね。PERSONZの最高の音楽を楽しんでください」(G・本田毅)
「“40歳おめでとうライブ”にお集まりの皆さん、ありがとうございます。アルバムのインタビューで“必ず良いライブになります”って宣言しちゃったんですけど、有言実行できてるんじゃないかな」(D・藤田勉)
「あっという間のツアーでね…(と言葉に詰まると、観客から声援が)。…60過ぎたオヤジに頑張れーとか言わないで(照れ笑)。最後まで楽しみましょう」(B・渡邉貢)
「久々に渡邉さんのウルウルを見てしまいました(笑)。40年やってきてこんなに素晴らしいアルバムを作れるなんて、私たちまだまだやれるんだわと胸を張れました」(vo・JILL)

目潰し的なストロボ照明が明滅し、転がるタム回しフレーズでスタートしたのは、新作から「EVERY DAY IS A NEW DAY」。“これから始まるストーリー”、“世界を今 変えて行こう”といったワードが耳に飛び込んでくる、フレッシュな予感に満ちた曲。そのエンディングから、今度はギターのファンキーなカッティングが始まり、ベースのスラップ、ドラムへと楽器チーム3人がソロ回しを披露。ハンドクラップのリズムで観客が手拍子していると、そこへJILLが“オー、ハッピーデイズ”と唄いはじめ、観客とのコール&レスポンスに突入。映画「天使にラブソングを」でも有名なゴスペル曲「oh happy day」のフレーズをフィーチャーした、ハッピーな掛け合いタイム。その楽しい雰囲気のまま「BE HAPPY」がスタートした。この日のライブ中、JILLは何度も「一緒に唄おう!」と呼びかけていたが、まさに一緒に唄える楽曲が多いのもPERSONZの魅力のひとつ。とはいえ、キャリアに比例して300曲以上の作品がある彼らだけに、人気曲を全部やるわけにはいかない。「全部やってると明日の朝になるから、ギュッとやりましょう。いくよ、皆んなついてこれるかな!」というJILLの言葉で始まったのは「PERSONZ 40THメドレー」。「CAN’T STOP THE LOVE」~「MARQUEE MOONを聞きながら」~「Lucky Star」~「MAYBE CRAZEE -I Love You-」~「Fallin’ Angel-嘆きの天使-」~「PRECIOUS LOVE」と、デビューから1990年くらいまでの人気曲を6曲、メドレー仕立てで贅沢に聴かせてくれた。

中盤のMCでJILLはコロナ禍の時期を振り返り、「あんなことが起きた時に何を感じるか。私は皆さんがいないのが寂しかった。でも、昨年の<I AM THE BEST TOUR>でまた皆さんが戻ってきてくれて、ほぼソールド。またこんなに人が集まってくれた」とファンへの感謝を述べた。そして、今年の2月に大切な人を亡くしたと語り、「でも、悲しんでばかりいられない。そんな事は誰にでもあるし、これからも起こる。ただ、その人が確かにいた、戦ってきたという事。その人たちは心の中にいます。目を瞑って聴いてくれてもいい。皆さんの頭にも誰かが浮かぶと思います」と真摯な思いを伝え、新作から「DEAR YOU」を。力強いベースのリズムにエモーショナルなギターが絡み、徐々に熱量を増していく切ないミディアムバラード。JILLの振り絞るように力のこもったハイトーンが胸にしみる。
「こんな歌を聴かずに旅立つなんてね…。“歌”って、人に入っていく。何かがあった時に入ってくると人生も変わってしまう。PERSONZも皆んなの中にいたいと思います」というJILLの言葉を挟み、じっくり聴かせる曲をもう一曲。アルバムの流れと同じく「SING ALONG FOREVER~そばにいるよ」だ。ただ、切ない中にも温かみや優しさが寄り添っているのがPERSONZらしさ。ステージの照明も、緑の背景にスポットで濃いピンクやオレンジ色がポッと光っていて、まるで草原に小さな花が咲いたような可憐さだ。後半でJILLが「ここからは皆さんが歌う番。歌うのは“今夜はずっと”だけです」とリード。ギターのアルペジオをバックに、楽器チーム3人が観客と一緒にサビのフレーズ“今夜はずっと”と歌うと、そこに絡むようにJILLがフェイクで歌い、語りかける。観客のコーラスが入って完成するタイプの楽曲なのだが、リリースしたばかりの新曲とは思えないほどバンドとファンとの気持ちが一つとなった歌がこの日は響いていた。

「Magic Moments」からは空気が一変。グラムロックmeets 80’sディスコといった風のビートに乗って、キラキラ黒いトンガリ帽と杖を手に魔法使い仕様になったJILLが登場、ワクワク感あふれる歌を唄いはじめる。リズムに合わせてステージを歩くJILLの後ろを本田が演奏しながらついて行ったかと思うと、渡邉もそこに混ざってステップしながら弾いたり。間奏では、JILLが杖でメンバーを指すとそのメンバーがひと回しソロを弾くなど、演奏も遊び心たっぷりだ。そして間奏が終わる瞬間、JILLの杖がパッと花束に変わるマジックまで披露し、会場を沸かせた。
「きれいな花が咲きました! 魔法にかかったかな? 一緒に歌うよ、ウィ アー ドリーマーズ!」とJILLが叫び、「DREAMERS」がスタート。ズンズン力強くうねるベースと、華やかなギター、シンバルの効いたシャープなドラム。オーディエンスが唄うサビのメロディーに乗って、JILLは水を得た魚のように観客を煽る。つくづくライブで本領を発揮する曲だ。続いてこれまたライブで強い曲、「FUTURE STAR」。観客は拳を突き上げてリズムを取り、サビの“一度しかない 時を 駆けて”のフレーズでは人差し指で宙を指す。曲の終盤、ギターをかき鳴らす本田と膝をついたJILLが向かい合うシーンでは、これぞロックバンド!という王道のカッコ良さを見せつけた。

本編ラストは「I AM THE BEST !」。JILLが「I AM THE BEST!」と叫ぶのと同時に、あのキラーフレーズ、“B,B,B,EST, B,EST,GO!”というイントロが響き渡る。メンバー4人もオーディエンスも、そこにいる全員が手拍子をしながらテンションを上げていく感じが実に楽しい。膝でリズムを取りながら演奏する渡邉、ジャンプしたり回ったりと少年のような本田。この曲は2020年発表なので結成36年にして作られた楽曲なわけで、オリジナルメンバーで36年やっているバンドがこれほど自分たちが楽しめる曲を作れるというのも本当に希有なこと。“まだまだやれる”どころか、脂がのりまくっているのを音で証明してみせた。

アンコールでは、JILLが「ヒルナンデス」に出演した時のエピソードを話し、コジル(JILLに似せたハンドメイド人形)も紹介。そして「次の曲はジャンプします。皆さんも自由に飛んでください」とのMCでスタートしたのは「MIGHTY BOYS-MIGHTY GIRLS」。この曲では歌メロを気分にまかせて引っ張ったり矯めたり、生の演奏ならではの歌唱が特に光る。「TOKIO’S GLORIOUS」のイントロでは、JILLが“ハネダ! ト、ト、ト、ト…、トキオズ グローリアス!”と叫び、テンションはさらに急上昇。ギターソロ後の掛け合いタイムでは、JILL vs 観客のフェイクバトルも。スーパーソニック・ハイトーンを交えたJILLのボーカルに負けじと唄った観客チームも、なかなかのガッツを見せたのだった。

二度目のアンコールでは、PERSONZの40周年を祝い、♪ハッピーバースデー パーソンズと会場全員が合唱。JILLはファンへの感謝を述べ「また40本とか50本のツアーをやりたいねってメンバーで話したりしてます。たくさんの曲を作ってきたけど、まだまだ作れると思う。やっぱり新しい曲をみんなに届けないと」と今後の抱負も。
オルガンのようなリフで始まった「Singin’ In The Rain」では、スポットライトに照らされたJILLが圧倒的な歌を聴かせた。艶があって伸びやかで、鋭さも失わない素晴らしい歌。特に後半の英語詞部分はセリフ語りのような自在さも相まって、舞台女優の独壇場かと思うほどの迫力だった。
オーラス曲は「DEAR FRIENDS」。本田が弾く優しげなアルペジオに導かれて唄いはじめるJILLのエモーショナルな歌声。サビ前のパートも大サビもオーディエンスの大合唱となる文句なしの名曲だが、その名曲を今なおエンパワーしているのがPERSONZの凄さだとライブを観るたびに痛感する。ギターソロ前半のロングトーン部分でJILLが本田のギターの弦を弾いて音を出すというのは以前にも観たことがあったが、この日はフレーズ終わりのピックスクラッチまでJILLがしっかりキメてみせた。ロックバンドとしてカッコ良くあり続けたいという美意識が体現された名場面だったように思う。

「PERSONZは日本一のバンドです。こんなメンバーいません。日本一のギタリスト、本田毅! こんなすごいソングライターいません、日本一のベーシスト渡邉貢! ドラムを叩いてプログラミングもする、日本一のドラマー藤田勉! そして、宇宙一のJILLです!」と大歓声の中、改めてメンバー紹介。観客から飛んだ「50周年!」という言葉に応えて、「50周年までやるぞー!」と頼もしい発言があったことも記しておきたい。

「素晴らしいファイナルでした。でも終わりじゃない」と最後にJILLが言った通り、PERSONZの40周年はまだまだ継続中。8月17日~31日の15日間には東京タワーにて「PERSONZ 東京タワー EXHIBITION」を開催、メンバーが在廊して新曲を公開作曲するという試みを行うのだとか。また9月・10月には今年も横浜と大阪でビルボードライブを。さらに9月にはJILLのソロプロジェクト“三味線JILL屋”のライブも控えていて、目が離せない状況が続く。彼らについて行けるように、こちらも体力を蓄えておきたいところだ。

取材・文:舟見佳子
写真:アンザイミキ
【ライブ・イベント情報】
PERSONZ 40th FLOWERS at Billboard Live 2024

9月27日(金)ビルボードライブ横浜(1日2回公演)
1stステージ 開場16:30 開演17:30
2ndステージ 開場19:30 開演20:30
お問合せ:ビルボードライブ横浜(0570-05-6565)
公演詳細こちら

10月3日(木)ビルボードライブ大阪(1日2回公演)
日時:10月3日(木)
1stステージ 開場16:30 開演17:30
2ndステージ 開場19:30 開演20:30
お問合せ:ビルボードライブ大阪(06-6342-7722)
公演詳細こちら

一般受付:7/29(土)12:00~
PERSONZオフィシャルサイト

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