山梨県北杜市
山梨県北杜市(市長:上村英司)と一般社団法人北杜山守隊(所在地:山梨県北杜市 代表理事:花谷泰広)は、南アルプスユネスコエコパーク登録10周年を記念して、山岳保全に関する課題を多くの方と共有し、山岳資源を将来に引き継げる仕組みづくりを目指すため、令和6年8月24日(土)から8月26日(月)の3日間、「第2回日本山岳保全サミットin北杜」を開催しました。
サミットでは、1日目に全国で山岳保全活動を行う団体による活動発表、2日目に株式会社ヤマップ代表春山慶彦氏の特別講演、台湾千里歩道協会副執行長徐銘謙(シュ・ミンチェン)氏の基調講演、3日目には山岳保全団体向けに登山道保全ワークショップおよび一般向けに精進ヶ滝トレッキング&ジオツアーを開催し、延べ384人が参加しました。
北杜市は、南アルプス山脈、奥秩父山塊などの山々に囲まれ、その豊かな自然環境と受け継がれた文化により、平成26年6月12日に南アルプスを囲む自治体(3県10市町村)として「南アルプスユネスコエコパーク」に登録されました。登録を機に地元の住民や企業、団体とともに、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域として地域資源を未来へ引き継ぐため、近年は、一般社団法人北杜山守隊とともに、全国的に課題となりつつある登山道の保全に向けて取り組み、荒廃した北杜市の登山道をフィールドに、登山道保全ワークショップを開催するなど、山岳資源を守り活かす活動を進めてきました。南アルプスユネスコエコパーク登録10周年を迎えた今年、これまで実施してきた登山道保全、活用の取り組みの発表ややディスカッション、講演を通して、登山道保全への意識や技術の底上げと、自然保護と地域の人々の生活との両立による地域の持続可能な発展を目指すため、日本山岳保全サミットを開催しました。
1日目の活動発表会に150人、2日目のシンポジウムには186人、3日目の登山道保全ワークショップに33人、精進ヶ滝トレッキング&ジオツアーに15人と、延べ384人にご参加いただき、多くの方に登山道保全について考えていただく3日間となりました。
「第2回日本山岳保全サミットin北杜」
8月24日(土) 活動発表会 参加者:150人
会場:八ヶ岳やまびこホール(山梨県北杜市高根町村山北割3315)
全国で山岳保全活動を行う11団体が集結。各地の活動状況や課題を発表しました。
■参加団体
・阿蘇山道整備 代表 渡邊 裕介 (熊本県阿蘇市)
・蒜山自然再生協議会(MANIWA TRAIL CLUB) 千布 拓生 (岡山県真庭市)
・小笠原父島ガイドWanaka 佐藤 博志 (東京都小笠原村)
・屋久島山岳ガイド連盟 事務局長 渡邊 太郎 (鹿児島県屋久島町)
・環境省屋久島自然保護官事務所 自然保護官 岩下 美杜 (鹿児島県屋久島町)
・天城トレイルワーカーズ 代表 倉原 卓也 (静岡県河津町)
・乗鞍山守隊 齊藤 真弓 (長野県松本市)
・一般社団法人雲ノ平トレイルクラブ 代表理事 伊藤 二朗 (神奈川県三浦市)
・株式会社ヤマップ 代表 春山 慶彦 (福岡県福岡市)
・NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部 代表理事 三浦 務 (東京都大田区)
・一般社団法人北杜山守隊 代表理事 花谷 泰広 (山梨県北杜市)
山遊びを楽しみ、豊かな生態系を未来へつなぐための取り組みを発表する、蒜山自然再生協議会(MANIWA TRAIL CLUB)の千布(ちぶ)氏
メモを取りながら真剣に各団体の発表に耳を傾ける参加者のみなさん。会場からの多くの質問が挙がった
8月25日(日) シンポジウム 参加者:186人
会場:甲斐駒センターせせらぎ(山梨県北杜市武川町牧原1243)
基調講演、特別講演、パネルディスカッションを通して、南アルプスの価値や可能性、将来に向けた山岳資源の保全や活用について考えました。
台湾千里歩道協会副執行長、徐銘謙(シュ・ミンチェン)氏(写真右)が、台湾千里歩道協会のこれまでの取り組みや、体系化された技術者育成プログラムを発表
パネルディスカッションでは、登山道の保全活動を行う上での大きな課題となる「財源」と「人財育成」について議論を交わした
8月26日(月) 登山道保全ワークショップ参加者33人 精進ヶ滝トレッキング&ジオツアー15人
山岳保全団体向けイベントと、一般参加者向けイベントを開催。山岳保全団体向けは、登山道保全にかかる視察会、実作業を行いました。また一般参加者向けには、精進ヶ滝トレッキング&ジオツアーを開催し、北杜市をフィールドに、自然環境への意識を深める機会となりました。
日向山で、登山道の観察・修復作業を実施。全国各地で整備作業に携わる参加者が、意見を交わしながら生態系の復元を目指した施工を行なった
石空川の精進ヶ滝への道中にあるフォッサマグナの断層について地学の専門家から解説。 学びながら自然に触れる充実したツアーになった
日本山岳保全サミット開催経緯
2023年に北杜山守隊が各地で登山道の維持管理に関する活動に取り組む団体及びアウトドア関連企業とともに連携し、持続可能な環境保全のあり方を提案することを目的に「日本山岳歩道協会(Japan Trail Alliance)」を立ち上げました。同協会により、2023年8月に「第1回日本山岳保全サミットin大雪山」が北海道東川町および大雪山で3日間開催され、初開催でありながら、シンポジウムには100名以上、フィールドワークには全国の保全団体から約40名が参加し、話題となりました。
2回目の今回は、行政、地域住民、民間団体が連携し、一般参加者を巻き込んだ山岳保全活動を実施している山梨県北杜市を舞台に、より多くの方に山岳環境保全に関する現状を伝え、また全国に次々と発足している保全団体同士の活動状況や課題を共有し、保全意識や技術の底上げにつなげるべく、開催が決定しました。
主な登壇者 プロフィール
株式会社ヤマップ 代表 春山慶彦氏
1980年、福岡県春日市出身。同志社大学法学部卒業。アラスカ大学フェアバンクス校野生動物学部中退。
株式会社ユーラシア旅行社『風の旅人』編集部勤務後、独立。
ITやスマートフォンを活用して、自然や風土の豊かさを再発見する仕組みをつくりたいと思い、2013年3月にヤマップをサービスリリース。アプリのダウンロード数は2024年1月時点で410万ダウンロードを超え、国内最大の登山・アウトドアプラットフォームとなっている。
台湾千里歩道協会 副執行長 徐銘謙(シュ・ミンチェン)氏
国立清華大學通識中心兼任助教。2002年に台北の低山で行われた大規模な花崗岩の輸入によって山の生態が壊されたことを知って以降、台湾の山岳トレイルと自然環境に対する関心と保護の活動を開始し、現在に至る。トレイルボランティア、トレイル学カリキュラムの体系化およびトレイルマスター(歩道師)育成システムを確立。台湾千里歩道協会や各公的機関と協力し、これまでに170本を超えるトレイルで「エコクラフトトレイル」を実現している。
一般社団法人北杜山守隊 代表理事 花谷泰広氏(北杜市ふるさと親善大使)
1976年兵庫県生まれ。幼少から六甲山で登山に親しむ。
1996年にラトナチュリ峰(ネパール・7035m)に初登頂。以来、世界各地で登山を実践。2012年にキャシャール峰(ネパール・6770m)南ピラー初登攀で、ピオレドール賞を受賞。2015年より若手登山家養成プロジェクト「ヒマラヤキャンプ」を開始、2017年より甲斐駒ヶ岳黒戸尾根の七丈小屋の運営を開始するなど、国内外で幅広く活動中。(日本山岳ガイド協会認定・山岳ガイドステージII)
ユネスコエコパークとは
ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)は、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域であり、世界134か国、748地域(うち国内は10地域)がユネスコにより認定されています。(令和5年6月現在)
ユネスコの世界自然遺産が、手つかずの自然を厳格に保護することを目的とするのに対し、ユネスコエコパークは、自然保護と地域の人々の生活(人間の干渉を含む生態系の保全と、人々の経済・社会活動)とを両立させ、持続可能な発展を目指すものです。
「南アルプスユネスコエコパーク」は、平成26年6月に3県10市町村が登録され、南アルプスの自然環境と文化を共有の財産と位置づけるとともに、優れた自然環境の永続的な保全と持続可能な利活用に共同で取り組むことを通じて、地域間交流を拡大し、自然の恩恵を活かした魅力ある地域づくりを図ることを目指しています。
主催:北杜市、一般社団法人北杜山守隊
共催:日本山岳歩道協会
協力:北杜市南アルプスユネスコエコパーク地域連絡会
特別協賛:一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン
南アルプスユネスコエコパーク山梨県連絡協議会
後援:ザ・ノース・フェイス
【本件に関する一般からのお問合せ先】
・一般社団法人北杜山守隊 イベント運営事務局
メール:event.hokuto.yamamoritai@gmail.com
・北杜市役所産業観光部観光課
電 話:0551-42-1351 FAX:0551-42-5216
メール:kankou@city.hokuto.yamanashi.jp