シャネル合同会社
『ラーマーヤナ』の物語を現代に再解釈した写真展
現実とフィクションを行き来する叙事詩的な世界
シャネル・ネクサス・ホールでは、9月3日から9月29日までフランス人フォトグラファー、ヴァサンタ ヨガナンタンの日本初の個展「A Myth of Two Souls 二つの魂の神話」を開催いたします。2015年にマグナムフォトアワードを受賞し、2017年にはその年の期待される新進写真家としてICP(国際写真センター)インフィニティアワードに輝いた注目のフォトグラファーです。彼の作品は、ドキュメンタリーとフィクションの間にある世界を探求しています。
「A Myth of Two Souls」は、紀元前300年頃に詩人ヴァールミーキが編纂した『ラーマーヤナ』に着想を得て制作されました。『ラーマーヤナ』はヒンドゥー教の聖典の一つであり、『マハーバーラタ』と並ぶインド二大叙事詩。何世紀にも渡って幾度となく書き換えられ、再解釈され、現在もインド、東南アジアで書物だけでなく舞台、コミック、TVドラマなどさまざまなメディアを通して広く親しまれています。
物語の登場人物は王国から14年間追放されたアヨーディヤーの王子ラーマとその妃シータ。国を追われて暮らしているうちに、シータはスリランカの王ラーヴァナにさらわれてしまいます。これを機に、二つの王国は戦争に突入することになります。『ラーマーヤナ』は古典的な叙事詩、恋物語、誘拐、戦争であると同時に哲学的な物語でもあります。ヨガナンタンは、2013年からインドを北から南へ『ラーマーヤナ』の物語の道筋を辿り、現地の人々と生活を共にし、『ラーマーヤナ』からインスピレーションを受けて撮影を行いました。ヨガナンタンの一連の作品は時空の旅という概念を核として、この古典作品を現代的に読み直すことを提案しています。
「A Myth of Two Souls」のストーリーは、風景写真と『ラーマーヤナ』の役柄を演じる人物の写真によって展開されます。前者は、『ラーマーヤナ』の中で描写された、現代インド人にとっては伝説的な風景。後者は地元の人々に自分の心に刻まれたシーンを演じてもらっています。4×5インチ大判カメラでモノクロ撮影した作品には、伝統的な手彩色を学んだインド人画家が着色を施しました。現実とフィクションの境界線が曖昧になった、叙事詩的な旅へと見る者を誘います。
「A Myth of Two Souls」プロジェクトは現在進行中で、2016年から2020年にかけて、ラーマーヤナの全7巻に対応する7冊のフォトブック(「Early Times」、「The Promise」、「Exile」、「Dandaka」、「Howling Winds」、「Afterlife」、「Amma」)として出版されます。
■ヴァサンタ ヨガナンタン Vasantha Yogananthan
1985年生まれ、パリ在住。
ドキュメンタリーとフィクションの狭間を写し出す作品に取り組む。
長年にわたり、自然光に基づく特有のカラーパレットを展開し、「A Myth of Two Souls」(2013—2019)
プロジェクトでは、地元のインド人画家と協働して伝統的な手彩色を復活させた。
本プロジェクトは、ヨガナンタンが2014年に共同設立した出版社Chose Communeから、2016年から2020年の間に7冊の写真集として刊行予定。
主な受賞歴
「マグナム・フォト・アワード」(2015)
「ルヴァロワ賞」(2016)
「ICPインフィニティ・アワード新人賞」(2017)
「FOAM Talents」(2017)
「カメラ・クララ賞」(2018)
関連URL:https://www.a-myth-of-two-souls.com/
■INFORMATION
会期:2019年9月3日(火)~9月29日(日)(入場無料・会期中無休)
時間:12:00~19:30(9月3日(火)はトークイベント開催の為17:00にクローズ)
会場:シャネル・ネクサス・ホール
中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
https://chanelnexushall.jp/program/2019/vasantha/