40代になって、今までのおしゃれがなんかしっくりこない…なんて感じたら、髪に注目。白髪、薄毛、抜け毛、うねりなど、加齢とともに出てくるさまざまな髪悩みは、STORY世代をどんどん老け込んで見せてしまうマイナス要素。しかし、いつものブラッシングをちょっと意識して、ケアの時間にするだけで、大人の髪も全体的な見た目も、まだまだキレイを更新できるそう。毛髪診断士で美容エディターの伊熊奈美さんに、その方法を詳しく伺いました。
美容エディター、毛髪診断士 認定指導講師。20年以上に渡り女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。特にヘアケア・毛髪科学関連分野を得意とし、講演活動でも活躍する美髪のスペシャリスト。
著書に『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)など。
Instagram @namiikuma_hairista
★ 髪の毛の絡まりをとくのではなく、頭皮の筋肉を動かす「スカルプ・ブラッシング」が肝心
★ いつものブラッシングがスペシャルな頭皮ケアの時間になる「スカルプ・ブラッシング」
★ 伊熊さん愛用!スカルプブラッシングに最適なブラシ
若見えポイントはしなやかで豊かな健やか美髪。毎日続けられるブラッシングで頭皮ケアをスタート
髪の毛の絡まりをとくのではなく、頭皮の筋肉を動かす「スカルプ・ブラッシング」が肝心
ブラッシングなんて、毎日欠かさずやってますよね。でも、ただ髪の絡まりをとくだけではないんです。
今回おすすめするブラッシングは、「スカルプ・ブラッシング」。
イラストのように、頭皮の内側には筋肉(前頭筋、側頭筋、後頭筋)が集まっていて、これら筋肉の上には大きな血管が通っています。一方、さまざまなお悩み多発地帯は、かっぱのお皿の部分(帽状腱膜)。この部分には筋肉がなく、毛細血管が張り巡らされているものの、太い血管が走っていないため、周囲の筋肉を動かして血流を促進し、頭皮全体の毛細血管のすみずみまで血液を届けてあげるようなイメージで行う「頭皮のためのブラッシング=スカルプ・ブラッシング」が効果的なのです。
「東洋医学では『髪は血余(けつよ)』といわれており、よい髪を作るにはあり余るほどの栄養と酸素を含んだ血液を毛細血管の隅々にまで行き渡らせることが必要なんです。体の内側から栄養を補い、運動やマッサージなどで巡りをよくすることで、髪だけでなく、頭皮と一枚皮でつながっている顔の皮膚にも、リフトアップなどのよい効果が期待できます!」(伊熊さん)。
頭皮のマッサージは、両手10本の指でするイメージが強いと思いますが、「頭皮のために行うスカルプ・ブラッシング」は、頭皮用のブラシを使うのがコツ。より広範囲に、繊細に、効率的に、ブラッシングなので毎日続けやすいのが特徴です。頭皮のこわばりをほぐし、血流アップにつながります。
ほぼ同じ面積のブラシと手を比較すると、指5本に対しブラシは約200本以上ものピンが頭皮にあたることになり、いかにブラシのほうが効率的に、力を込めることなくラクに、指先が疲れるようなこともなく、マッサージできることがわかりますよね。さらに、お好みの頭皮用美容液をつけて行えば、無理なく毎日でも続けられて、ヘッドスパを受けたような効果が自宅でも期待できます。
いつものブラッシングがスペシャルな頭皮ケアの時間になる「スカルプ・ブラッシング」
★伊熊さん推薦、最適なブラッシングタイムは1日2回★
【シャンプー直前、汚れを浮かせて絡まり予防】
頭皮や髪の汚れを浮かせ、頭皮の筋肉下の自律神経を緩ませてリラックスモードに。さらに、その後のシャンプー時、洗髪時のからまりや摩擦を防ぐのにも適しています。
【朝起きてすぐに行う、目覚めのブラッシング】
朝起きてすぐ、頭皮用美容液を頭皮につけてから、ブラッシングするのが伊熊さんのルーティン。頭がシャキッとして、脳がスタートし始めるような感覚が気持ちいい。
では、いよいよスカルプ・ブラッシングのやり方を紹介します。頭皮用ブラシで頭皮の筋肉をリリース&血流アップ! 上のイラストの頭皮の筋肉を意識して行うと、コツがつかめてすぐにマスターできます!
①側頭筋をブラッシング
側頭筋は耳を起点に頭蓋骨に扇状に広がっている筋肉。ここから後頭部方向に向かって、地肌に心地いい刺激を感じながらとかします。くるくる、くるくる、と側頭筋の上で小さな円を描くのもおすすめ。右側、左側、と行います。耳の周囲はリンパ節のある部分なので、とかすだけでめぐりもよくなり、顔の血色もアップ。
②後頭筋をブラッシング
襟足から、頭頂に向かってとかし上げましょう。血流が逆流して頭頂部に送れるように、お辞儀をしながら下向きでとかすのも◎。襟足(ぼんのくぼの下あたり)から小さな円を描きつつ、かっぱのお皿部分・上方向へ向かって移動させていっても。目が疲れているときや仕事の合間に、ググっととかせば、緊張も程よくほどけて、とてもリラックス。
③前頭筋をブラッシング
額から頭頂部にかけての前頭筋は、とかすというより、ブラシのクッションを利用しながらマッサージを。写真のように、頭頂部~生え際~額にかけての部分を、小さな円を描きながら押し当て、くるくる、くるくるとこめかみからこめかみまで額全体を行なったら頭頂方向に移動していくのもOK。
④帽状腱膜(かっぱのお皿)を全方向からとかす
最後に、頭頂部全体、かっぱのお皿部分に血液を行き渡らせるようにイメージしながら、頭頂にバッテンを描くように、左右の側頭筋から矢印のようにまんべんなくとかし上げます。さらに、後ろから前へ、前から後ろへ、斜め後ろから反対側へと全方向からとかして。頭全体がポカポカになり血流が上がることが実感できますよ。
ブラッシングの後は、頭もスッキリして頭皮がポカポカ、血行が良くなったのを実感できるはず。顔周りの血色もよくなるだけでなく、続ければ、フェイスラインのすっきり感や頭皮のハリなども感じられるかも。また、パソコンやスマホで駆使した目の疲れや緊張感にも効果てきめん。
「顔のお肌と地肌・頭皮は、同様に考えればいいんです。同じ皮膚でつながってますから」と伊熊さん。顔が乾燥したら保湿するし、むくみやたるみにはマッサージやめぐりをよくするケアをするのと同様、頭皮ならば、スカルプエッセンスで保湿したり、血行をよくするブラッシングをしたり。STORY世代のさまざまな髪悩みの予防策として、ぜひ生活の中にスカルプ・ブラッシングを取り入れてみてくださいね。
伊熊さん愛用!スカルプブラッシングに最適なブラシ
摩擦を起こしにくく、ツヤを出したりまとまりがよくなる、髪の絡まりをとくための「髪用ブラシ」でなく、「頭皮用のブラシ」を用意して。地肌に当たったときにソフトにしなったり、ブラシの毛先が心地良かったり、パドルブラシのようにクッション部分から程よく力が抜ける、肌当たりの良いものを選んで。
(左から反時計周りに)
アヴェダ パドル ブラシ ¥4,290
ブラシ部分が頭皮に刺激を与え、心地よいブラッシングを可能にするヘアブラシ。髪や頭皮への負担を緩和する空気穴つき。自分の名前など刻印が入れられる。ブラシ面の幅、柄の厚みなど、バランスがよいので、伊熊さんは数年おきに買い換えて使っているそう。
NuWay4Hair(ニューウェイフォーヘア) DoubleC ブルー ¥4,290
濡れ髪用ブラシですが、伊熊さんはタオルドライした髪をとかしながら頭皮もこれで軽くブラッシング。細く柔らかな先玉付きピンが、からんだ髪を無理なくスルっととかせるだけでなく、ブロードライ、スタイリング、スカルプケアまで行える。濡れた手でもすべらないグリップが握りやすい。
タングルティーザー ザ・オリジナル ソフト&ダメージ ¥ 2,585
ヘアカラーやドライヤーの熱を繰り返し受けたダメージヘアや、細くて繊細な髪の毛もやさしくときほぐし、ブラッシングによる髪の摩擦やダメージを最小限に。頭皮へのあたりも最高によいので、ポーチに入れて持ち運び、煮詰まったときに頭皮ブラッシングですっきり。
モロッカンオイル セラミック パドル ブラシ ¥3,080
クッション部が究極にやわらかいパドルブラシ。今日はブラッシング面倒…というときも、これを手にとるとやっぱりやってしまう、と伊熊さん。心地よい刺激のスカルプブラッシングができるほか、ブローやブラッシングなど、髪のスタイリングにも活躍。セラミックとイオンで熱が均等に伝わり髪が短時間で乾くため、ツヤ感のある仕上がりに。
エス・ハート・エス スカルプブラシ ワールドモデルショート ¥6,600
376個の先玉ピンと段差植毛、頭皮密着設計で、アウトバスでの頭皮ブラッシングはもちろん、シャンプー&トリートメント時にはインバスで、と水陸両用・複数シーンで使えるスカルプブラシです。水抜き用の穴が開いたブラシスタンドに立てて洗面所やバスルームに置いておけば、忘れずに朝晩ブラッシングをルーティンに組み込めそう。
撮影/杉本大希 モデル/北山朝美(STORYデジタリスト) 取材/羽生田由香