40代になって急にあちこちに現れ始めるエイジングサイン。実はその原因は肌の中で密かにくすぶる炎症にありました。目に見えないからこそ要注意!最近肌がゆらぐようになった気がする……それは老化の始まりかもしれません。エイジングと炎症の関係、そして今すぐに始めたい対処法について松倉クリニック代官山院長の貴子先生にお話を伺いました。
肌で起きている炎症ってどんな状態?
肌炎症が老化の原因になるって本当ですか?
貴子先生answer
炎症と聞いてぱっとイメージするのは発熱や腫れ、痛み、ニキビなど。むずむずしたり、赤くなったりといった自覚症状がないと、皆さん炎症が起きてないと思われるんですが、目には見えないけれど肌の深部でくすぶっている「慢性炎症」と呼ばれる状態が、実は肌あれやくすみを長引かせたり、老化を促進させてしまうんです。このとき肌の中では炎症性のサイトカイン(炎症反応を促進する働きを持つたんぱく質)が放出されていたり、活性酸素が産生されています。年齢を重ねるにつれて、外的・内的ストレスに対して、炎症を抑えることが難しくなっていくのです。
慢性的な肌炎症を引き起こす原因は何ですか?
貴子先生answer
紫外線やストレス、摩擦、乾燥、アレルギー、洗顔不足、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、あわないコスメを使い続けること、栄養素不足などが考えられます。たとえばまつげエクステを付けている人が気付かないうちにまぶたに慢性微細炎症を起こし、コラーゲンが破壊され目元のたるみを引き起こしてしまうこともあります。このように、自覚のない静的で慢性的な炎症が続くことが真皮のコラーゲン破壊や表皮のキメの乱れ、色素沈着などの原因となり、肌の老化が加速したり、慢性的な肌不調やインナードライの原因になったりすると言われています。数日で収まる急性炎症に比べ慢性炎症は期間が長く、通常は一ヶ月以上、長いと数年続く人もいます。間違ったスキンケアの習慣が肌の炎症を引き起こすことも。肌の摩擦を極力減らすため、クレンジングなど落とすケアはたっぷり使い、保湿するときも絶対に肌をこすらず、垂直に指を動かしてなじませる動作を意識するといいですね。
肌の炎症を鎮めるためにできることを教えてください。
貴子先生answer
大切なのは、肌の免疫力、抗酸化力、バリア機能を高めること。これらを正常に保てれば、炎症を最大限抑え込み、肌本来の健康的なターンオーバーを維持して肌の美しさを保つことができます。まずは年間を通してUVケアを徹底すること。先程お話したようにスキンケアをするときもこすらず摩擦を避けること、睡眠の質を高めることも大事ですね。そして何よりバランスのよい食事が基本。40代になったらインナーケアがとても重要です。ただ、年齢とともに胃腸から栄養が吸収されにくい状態になる人もいます。特に痩せている人に多いのですが、40代になったらサプリメントで栄養を補うことも必要になってきます。また微細な炎症を抑え、自分の肌にあうコスメを選ぶことも大切です。
肌の免疫力、抗酸化力、バリア機能を高めるために必要な栄養素は何ですか?
貴子先生answer
ビタミンC、グリチルリチン、トラネキサム酸などが挙げられます。インナーケアとしては、ビタミンCの他、体全体の免疫を高めるビタミンD、皮膚粘膜の免疫を高めるビタミンA、バリア機能を強化する亜鉛、グルタミン、抗酸化作用のあるクルクミン、それらの吸収を高め免疫力を上げるオメガ3などがおすすめです。オメガ3はご存じのとおり魚やナッツに多く含まれていますし、鮭、サンマ、ブリなどはビタミンDが豊富。グルタミンは肉、魚から摂取できます。貝類は亜鉛を多く含みますし、海藻もミネラル、亜鉛、鉄分が豊富。老化につながる肌炎症を抑えるためにも、海の恵みは40代にぜひ積極的に摂ってほしい食材です。様々な悩みが出てくる40代だからこそ効果を実感できるものってあると思うんです。ただ、インナーケアにしても、始めてすぐに改善するものではないので、自分に合うものを見つけて毎日継続することが大事。最低でも一週間、できれば肌のターンオーバーのサイクルを考えて1ヶ月は続けてほしい。それが長期的に見て根本的なエイジングケアにつながりますよ。
松倉クリニック代官山 院長
貴子先生
大学病院を経て都内美容外科クリニック院長など歴任。豊富な知識を活かした正しい美容医療を提唱し、美容業界からも絶大な信頼を寄せられている。
貴子先生
大学病院を経て都内美容外科クリニック院長など歴任。豊富な知識を活かした正しい美容医療を提唱し、美容業界からも絶大な信頼を寄せられている。
ラ・メールが長年研究している“抗炎症”の中で、いま、注目されている「海洋シーケルプファーメント」。ある海藻に注目してから半世紀以上の研究を進め、発酵の技術を駆使して「海藻シーケルプファーメント」を開発。この「海藻シーケルプファーメント」が肌内の炎症を鎮め、収束を促進させることを明らかにしました。この研究は、世界最大規模の皮膚科学会でも発表されています。
取材/稲益智恵子 イラスト/いいあい
-Keywords