今月の『スタイリスト・大草直子さんの一押しアイテム』をご紹介します!
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HERMÈSのブーツ
このエルメスのブーツを見たとき、真っ先に思ったのは、「エイジングが美しいだろうな」ということ。たいていのアイテムが、新品の輝きを少しずつ失っていくのに対して、5年後はきっと、10年後はもっと美しい、そう確信しました。
上質なナッパレザーは艶を増し、色を深め、きっと肌のように柔らかく変化していく。フォルムは自分の形になるだろうし、もちろん履きやすさも重なっていくでしょう。大げさに言うと、自分の姿や形が変化していく様を肯定してくれるようで、一瞬で心を奪われたのでした。更に続けると、私もかくありたいなあ、と姿勢を正したりして。
そして、「超ベーシック」じゃないのがポイント。ソールはラバー。「ケリー」のバックルを模したチャームもアクセントに。太めの筒もトラッドだし、横から見るとつん、と上を向いた鼻先もチャーミングで好き! 脈々と受け継がれたブランドアイデンティティと、「今っぽさ」のハイブリッドが、もう最高です。
デニムをインにしても良いし、ふわっとしたワンピースからのぞかせても様になる。そうそう、ロングブーツは「全体像」を無理に見せなくても良いので、爪先、かかと、ふくらはぎを着こなしによって生かして。この連載の原稿を書いていると、そのうちに本当に欲しくなって、実際に買ってしまうことが多々あります。例にもれず、この1足もそうなりそうです……。
撮影/佐藤 彩 スタイリスト・取材/大草直子 ※情報は2022年10月号掲載時のものです。