皇室ファッションといえば、“お帽子”を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。これは、貴婦人の昼間の正装であるローブ・モンタントにはお帽子を着用するという装いのマナーに由来するもの。そうした伝統を受け継ぎ、女性皇族方も公務の場ではお帽子を合わせた装いで臨まれることが多いのです。ご公務の度に、その品格あふれるファッションが話題となる雅子さまも、セットアップなどスカートスタイルの際は必ずと言っていいほど、お帽子を合わせられています。上皇后である美智子さまのお帽子は、オートクチュール帽子の日本の第一人者、平田暁夫さん(亡くなった後は、後継となった娘の平田欧子さんがご担当)がデザインを担当され、皇太子妃から皇后、上皇后になられた経緯の中で、愛用されるデザインが変化していったことは有名です。雅子さまもこれまで、平田暁夫さんの娘である平田欧子さんがデザインされたお帽子を着用されることが多いご様子で、皇室入りされてから皇后になられた今に至るまで、愛用のデザインに変化が見られます。今回は、雅子さまの知的でエレガントなファッションスタイルを支える“お帽子ルック”を振り返ります。
ボブヘアがトレードマークだった頃は、ヘッドドレスを着用されることも
1993年4月。納采の儀を終え2週間後。
ご成婚当時は、ワンレンのボブヘアがトレードマークだった雅子さま。頭に着用される小物とバランスのとりやすいダウンスタイルのヘアだったためか、今よりも様々なデザインのお帽子やフレッシュな印象が強いヘッドドレスを着用されていました。ご成婚される前、納采の儀を終えたばかりの頃に着用されて話題となったのは、白いフェザーがあしらわれたヘッドドレス。純白のワンピースに純白のヘッドドレスは、ご婚約中らしく花嫁を彷彿させる装い。シルエットで魅せるシンプルデザインのワンピースを、フェザーの飾りがついたロマンティックなテイストのヘッドドレスで華やげる、今よりも可憐な装いが多かった雅子さまらしいスタイルです。
皇太子妃時代は、ベレー帽やトーク帽など様々なお帽子のスタイルを披露
2002年3月。愛子さまと、一般のお宮参りにあたる賢所皇霊殿神殿に謁するの儀へ。
生まれて間もない愛子さまとともに、お宮参りにあたる儀式に臨まれた雅子さまは、勝負カラーと言われるイエローのセットアップをお召しに。お帽子は、お召し物と同素材のトーク帽を。ブリムがない分、額を出して被るトーク帽は、華やかなお顔立ちの雅子さまにぴったりのデザイン。トーク帽は格式高いイメージとともに、皇后になられてから愛用されているキャノチェ帽よりも、フェミニンな雰囲気もプラスされるためか、今よりも皇太子妃時代によく着用されていました。愛子さまをお抱きになり、優しく幸せそうな笑顔がより強調され印象的です。
2015年12月。天皇陛下(現上皇陛下)82歳の誕生日一般参賀にて。
2015年の天皇誕生日の一般参賀では、1999年の天皇誕生日の一般参賀でも着用されていたボルドーのローブ・モンタントにリンクしたデザインの、トーク帽とベレー帽の中間のようなモダンなお帽子をお召しに。物を大切にされ、長きにわたり着回される雅子さまのお人柄が表れています。お帽子は、1999年と2015年で被る角度に変化をつけ見せ方を工夫されているご様子から、高度な着こなしのテクニックを感じます。
皇后になられご公務が増えた昨今はキャノチェ帽を愛用
2026年4月。春の園遊会にて。
令和になり皇后となられてからは、トップが平らで、水平なブリムが特徴のキャノチェ帽を愛用されている雅子さま。一般的にはクラシカルな雰囲気を引き出すといわれるデザインで、後ろに傾けずに水平にやや深めに被られるのが雅子さま流。先日の春の園遊会では、ジャケットにあしらわれたレースをお帽子にもデザインし、全身での統一感を強調されていました。お帽子のリボンは愛らしい蝶々結びではなく、リボンをひねった、モダンなリボン風デザイン。華やかさはありながら甘すぎず、凜とした雅子さまの雰囲気にマッチされていました。
2025年7月。国際親善のためのモンゴル公式訪問にて。
モンゴルを公式訪問される際の空港ファッションでは、岩塩や湖など「ピンク」のものが多いイメージもあるモンゴルを意識されたのか、ピンクにホワイトのパイピングのセットアップに、お召し物とおそろいのリボンをあしらったキャノチェ帽を。スクエアでマニッシュな雰囲気もあるお帽子に、結び目のない太めのピンクのリボン。セットアップも、ピンクでありながら直線が強調されたノーカラージャケットという、どちらも甘さと辛さが絶妙にミックスされた洗練デザイン。常に全体のバランスに配慮された装いをされる、雅子さまの磨かれたセンスが際立った着こなしです。
取材/味澤彩子













