「目下の楽しみは、誰の目にもとらわれずに自由とオシャレを楽しめるひとり時間」――
コロナ禍でママ友ランチがすっかり減って、今、40代は、妻でも母でもなく、自分のための「ソロTIME」を満喫中。そして、そんなひとり時間に、興味があることにトライしたりと、様々に初体験をしている人も続々!
『STORY』1月号「ソロTIMEを味わい尽くす服」を担当したライター陣5人も、「私も!」とばかりに、ソロTIME初体験へ!そんな5人の体験記をリレー形式でお届けします!
<谷川ゆふき> ママOFF時間、美術館の静寂こそが一番の贅沢でした!
こんにちは。新人ライターの谷川ゆふきです。今回私は、本誌1月号「ソロTIMEを味わい尽くす服」という企画を担当し、美術館ページを担当。にもかかわらず、一人で美術館に行ったことなどなく……。
そこで、「ソロTIME」を体験すべく、アーティゾン美術館へ行ってきました。アーティゾン美術館は、ブリヂストン美術館から改称し、2020年1月にオープンした、いま話題の美術館です。
私が今回鑑賞したのは、「琳派と印象派」(2021年1月24日まで開催)の展示です。美術鑑賞なんて縁遠い私なので、ドキドキしながら鑑賞スタートです。
◯ 受付を済ませるとエスカレーターを上って、まずは琳派の作品が展示されたフロアへ
フロアは照明が落とされており、作品にライトがあたる展示になっています。
薄暗い館内に浮き上がる、金や銀のきらめきに思わず見入ってしまいました。大胆なデザインにも圧倒されます。琳派を代表する尾形光琳、俵屋宗達の作品が多数展示されており、じっくり見ていると結構な時間がかかります。
平日の昼間に行きましたが、さすが今話題の美術館とあって人が多かったです。一人で来ている方が想像以上に多く、話し声のない薄暗い空間で作品の存在だけを感じられる時間は不思議と居心地の良いものでした。
◯ 琳派の展示フロアを見終わると、次は印象派の作品が展示されたフロアへと移ります
こちらは琳派の展示フロアとは対照的に明るい照明で開放的な雰囲気です。
印象派として代表的なモネやルノワールの有名な作品が展示されており、見応えたっぷりです。
◯ その後は石橋財団コレクション選へ移動し、鑑賞
このフロアでは、ところどころに椅子が置かれており、座ってゆったりと絵画を鑑賞できるようになっています。気が付くと、ここにくるまでに1時間以上経過していたので、しばし座って目の前にある絵画をぼーっと眺めて休憩してしまいました。
休憩後元気になった足で、気になった絵画をもう一度じっくりと見て回っていると、あっという間に2時間が経過!子供のお迎えもあるので慌てて美術鑑賞を終えました。
館内にはお土産ショップやレストランが併設されているので、印象に残った作品にまつわる商品を購入し思い出を持ち帰るのも良し、レストランでしばし余韻に浸るのも良し、鑑賞後も充実した時間を過ごせます。
建物や人物を明るい色彩で写実、再現する印象派と、写実性を重視せずモチーフの印象や迫力を伝える琳派。
どちらも都市文化が生んだ美術でありながら、異なったアプローチで芸術を表現する二つの派を対比させることで、より面白い調和が生まれ、芸術への理解が深まるように思いました。
今回鑑賞して驚いたのは、美術オンチの私でも知っているような有名な作品が多数展示されていることでした。こんなに多数の有名作品をひとつの美術館で鑑賞できるなんて、中々ないのではないでしょうか。
言い方が悪いですが、お得感満載です!美術好きな方はもちろんのこと、私のように、美術に疎い人間でも楽しめる展示内容でした。
現在の株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏が、自身のコレクションを公開したのがブリヂストン美術館の始まりです。石橋正二郎氏の「世の人々の楽しみと幸福(しあわせ)の為に」を信念としました。アーティゾン美術館では、これを基本理念としながら、新たなコンセプト「創造の体感」を掲げています。
2021年1月24日までは、「琳派と印象派」と、「石橋財団コレクション選」も鑑賞できるのですが、こちらも素晴らしい展示が数多く飾られていたので、期間内に展覧会へ行かれる方はぜひ立ち寄ってみてほしいです!
芸術なんて遠い世界のものと思っていた私ですが、いざ勇気をだして一人で行ってみると、自然と鑑賞に没頭している自分がいました。
美術鑑賞というと難しく構えてしまいがちですが、新しい価値観に触れることは、何歳になっても人生の楽しみと幸福につながりますね。今後もソロTIME体験を重ねていこうと思いました。
取材/谷川ゆふき