STORYwebでは【40代からがんを考える】をテーマに、大腸がん・乳がんとお伝えしてきましたが、今回は女性特有の「子宮頸がん」「子宮体がん」「卵巣がん」について、東邦大学医療センター 大橋病院 産婦人科教授・田中京子先生にお話を伺いました。
同じ「子宮がん」といっても、「子宮頸がん」とは原因や罹患のリスクなどまったく異なる「子宮体がん」。近年、急増しているというこの「子宮体がん」について、本記事ではお伝えしていきます。
子宮体がんの「原因・症状・治療」について
◯「子宮体がん」ってこんな「がん」
子宮体がんとは、妊娠中に赤ちゃんが育つ子宮の袋状になった部分(子宮内膜)に発生する「がん」のこと。罹患する人が最も多いのは、閉経後の50~60代の女性です。以前は「子宮がん」といえばほとんどが「子宮頸がん」でしたが、最近では「子宮体がん」の方が増加傾向にあります。
――40代で「子宮体がん」に罹る方は、あまりいないのですか?
〇原因はエストロゲンという女性ホルモン
「子宮頸がん」の多くはウイルスが原因ですが、「子宮体がん」の多くはエストロゲンという女性ホルモンが深く関係していると考えられており、このエストロゲンが多く分泌される環境にあると罹患のリスクが高まると言われています。
――エストロゲンは、歳をとると減ってくる女性ホルモンと記憶していますが…(笑)多く分泌されると環境とはどういったものですか?
――「子宮頸がん」は妊娠・出産が多いとリスクが高いという話がありましたが、「子宮体がん」は逆なんですね。
〇一番多い症状は不正出血
「子宮体がん」において一番多い自覚症状は不正出血です。子宮体がんの90%以上に認められます。なかには茶色っぽいおりものから発覚することもありますので、おりものの異変にも注意が必要です。
――不正出血が本当に少量だった場合、気付くか心配です…
――「子宮頸がん」では病気が進行すると不正出血などの症状がみられるという話がありましたが、「子宮体がん」は不正出血に気付いたときには、結構進行しているのでしょうか?
〇症状がない場合にする定期検診はない
「子宮体がん」の検診は、子宮の出入り口から専用の器具を挿入し、子宮内膜の細胞をこすり取ってきます。「子宮頸がん」の細胞診と同じようなイメージですが、「子宮体がん」は奥まで器具を入れるため痛みや出血を伴い、「がん」がある部分の細胞を正確にこすり取れるかわからないため、発見できない可能性もあります。
――「子宮頸がん」のように2年に1回のような検診はないのですね?
〇治療・早期発見について
治療について…若い方であれば子宮を温存するためにホルモン療法で「がん」が消えないか経過を見ることがありますが、基本的には手術で子宮を摘出します。
早期発見ついて…症状がない方の検診がないため、早期発見についてはとにかく不正出血を見逃さないことが大事です。閉経前に罹患することもありますので、いつもとは違う心配なことがあれば、医師に相談してください。
――「子宮体がん」は定期的に行う検診がないということなので、予防する方法はないのでしょうか?
〇田中先生からSTORY世代に向けてのメッセージ
「40代では、必要以上に怖がる必要はありませんが、50代以降「子宮体がん」が増えてくること、不正出血を見逃さないことなどを覚えておき、気になる症状があればすぐに病院に行くようにしてください」
〇 お聞きしたのは… 田中京子先生
東邦大学医療センター 大橋病院 産婦人科教授
1994年慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院産婦人科、国立病院機構埼玉病院産婦人科医長を経て2020年より現職。日本産科婦人科学会専門医、産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編、子宮頸癌治療ガイドライン第4版作成委員。
取材/篠原亜由美