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Lifestyle特集

上野千鶴子さんに質問「女子校、男子校って必要ですか?」

現在は、だいぶジェンダー平等が進んできたと思います。それなのに、今あえて「セレブな専業主婦」に憧れる娘もいるとか……。これからの時代を生き抜いてもらうために、娘たちにはどう伝えていくべきか、「女性学」のパイオニア・上野千鶴子さんに教えてもらいました。

セレブな専業主婦になりたい娘になんと伝えたらいい?
女らしいというのは本当に誉め言葉ですか?

◯ 上野千鶴子さん

1948年富山県生まれ。社会学者。京都大学大学院修了、東京大学名誉教授。東大退職後、現在、NPOウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長として活動中。女性学、ジェンダー研究の第一人者。

2019年東大入学式での祝辞が大きな話題に。ベストセラー『おひとりさまの老後』や『在宅ひとり死のススメ』など著書多数。


<娘たちの言葉 >

「私は中学校で野球部に所属しています(女子マネではありません)。高校生になると男子は甲子園の大会があるのに女子にはありません。それに、男子校と女子校があることにも納得していません」―― 入江加奈さん(仮名)14歳・中学生

――男子に混ざって、中学校で野球部に所属している女の子は、男子と女子の待遇の違いに不満を持っているということです。

〔上野さん〕
野球は筋力の競争を競い合う競技。筋力は男性ホルモン、女性ホルモンは皮下脂肪をつけるほう。筋力を競い合う限りは、スポーツゲームで男子と女子を分離することを不公平だ、という人は誰もいないですよね。

彼女は野球の男女混合チームを要求してるわけではなく、男子野球チームにくらべて女子野球チームが冷遇されていることに不満を持っているんですね。女子サッカーチームもそうでしたが、世界で優勝したら注目を浴びましたね。

今でも海外遠征のときには男子選手はビジネスクラス、女子選手はエコノミーと格差があるようですが。おカネになるマーケットの規模が違うからですね。でもシンクロナイズドスイミングのように、女子にもっぱら脚光が集まるスポーツもあります。

――今年の夏、甲子園で初めて女子高校野球が開かれるそうです、スゴイことですよね。ところで、今このジェンダー社会に、男子校と女子校って必要なんですか?

〔上野さん〕
今の時代だからこそ、「女子高」はあったほうがいい。なぜなら、女子高はもう良妻賢母教育の時代じゃない、キャリア教育に熱心です。昔は親が〝女性らしさ〟を求めて送り込んだかもしれませんが、今は進学女子高やジェンダー教育に取り組む女子高などが、増えています。

男の子がいないところでは、性別役割分担がないので、リーダーシップも何もかも女の子が担うため、女の子たちのリーダーシップが育ちます。また中学時代に、男の子に恐怖心を覚えていた女の子たちが安心して過ごせる場でもあります。

女子高の評価はかつてないほど上がっています。一方、男子校の男子は保守的。自分の将来は父のようになれると考え、母のように自分に尽くしてくれる女性をゲットできると根拠もなく信じています。

――男の子の意識はまだ止まっている?

〔上野さん〕
そうですね、男子と女子の意識のギャップは大きくなっているのかもしれませんね。

『女の子はどう生きるか 教えて、上野先生!』 (著・上野千鶴子)
「生徒会長はなぜ男子が多いの?」「痴漢にあうのは私が悪いの?」など、女の子たちが日常抱いていたモヤモヤや疑問に、上野さんが全力で答える。これからの女の子が自分らしく生きていくためのアドバイス満載。

撮影/吉澤健太 取材/東 理恵 ※情報は2021年8月号掲載時のものです。

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