第2回目は、「スマホやSNSの悩み」の後半です。4つのカテゴリーの残り2つのカテゴリーについて、尾木ママのアドバイスをいただきました。
③「You Tubeの情報を全て正しいと思っている問題」
尾木ママ’sAnswer
YouTubeはその特性を存分に活かして、実験を交えたり、動画や文字、音声を工夫して視聴者の興味を引くようにおもしろく作られているから、とても魅力的。子どもたちが釘付けになるのも当然よ。でも、その道の専門家が作っているものもあれば、素人が趣味の延長で楽しんで作っているものまであって、玉石混交。つまり情報が事実かどうかは全く保証されていないの。でも、それを子どもに見極めさせるのは難しいわ。
大人でさえ、デマやフェイクニュースを本当だと信じてしまうこともあるんだから。
地上波テレビ、新聞や書籍、雑誌などのメディアは一定のファクトチェック(事実確認)の仕組みやコンプライアンスを遵守させて誤った情報を流すことのないようにしているけれど、YouTubeなどにはその仕組みはありません。それがYouTubeの良さでもあるのだけどね。まずはファクトチェックの仕組みのないメディアや発信元からの情報は真偽不明だということを親子で共有したいですね。
次に、お子さんがよく見ているYouTubeチャンネルやコンテンツを一緒に見て、それが本当に正しいのか批評的に考えながら見てみましょう。YouTubeは関連する動画がどんどん出てきたり、子どもの好きな人気You Tuberが親しみやすく話しかけてきたりしたら、大人だってつい鵜呑みにしたくなると思うけど(笑)、根気よく、「それは本当に正しいのかな?」と話し合ってみて。
日本は欧米などと比べるとメディアリテラシー教育(情報の読み取り教育)がとても遅れていて、それに対する危機感も低いんです。欧米では物事や情報を「本当にそうなのか?」と疑問を持って考える「クリティカルシンキング」の研究や教育が進んでいて、メディアリテラシーが公教育で教科になっていたり必須だったりする国もあります。一方で、日本では必修ではないし、学校での取り組みはまだ充分とは言えませんね。
メディアを視聴する時は、「事実かな?」と批評的に見ること。そんなリテラシー教育を親子で一緒にできるといいですね。
④「スマホのルールが守れていない問題」
尾木ママ'sAnswer
この親御さんはきちんと注意できていて素晴らしいわ。お子さんのツッコミもなかなか手厳しいわね(笑)でもここで引いたらダメよ。
そもそも「親の仕事」と「子どもの付き合い」とは意味も性質も全く違います。それは決して子どもの付き合いを軽く見ているわけではなく、親の仕事は自分たちの生活のためのものであるということを毅然と伝えてくださいね。
そして大前提として、親には子を守る責任があります。だからスマホの使い方を親が管理するのは当然のこと。子ども自身で月々の料金をはらえるわけでもないし、何かあった時、責任も取れませんよね。
スマホは犯罪に巻き込まれるだけではなく、知らない間に犯罪に加担してしまう可能性だってあるから、親は「あなたを守る責任があるから、必要な時にはチェックするよ。」という態度を示しましょう。
これからスマホを持たせようと考えている親御さんに強くおすすめしたいのは、スマホを親が子どもに「貸与する」という与え方にすること。クリスマスや誕生日のプレゼントにするとあげたことになってしまい、子どもも自分の所有物だと思ってしまいます。使い始めてから子どもにプライバシーだとか主張されたら、親は管理しにくくなってしまいますよ。
そして貸与する上ではルールを決めましょう。何を決めたらいいかわからないなら、「尾木式スマホルール7か条」を参考に、それぞれの家庭用にアレンジして親子のルールを作ってみてね。リビングや冷蔵庫など、みんなが目につくところに貼って、「可視化」しておくのも効果的よ。
ルール1:スマホは「親が買って契約し子どもに貸している物」ということを忘れません。
ルール2:スマホの使用は、夜〇時までとします。
ルール3:スマホを使用・充電する場所は、リビング・ダイニングに限ります。
ルール4:食事中にスマホは使用しません。
ルール5:スマホをいじらない時間に、家庭で楽しく過ごせることを考えましょう。
ルール6:スマホによるトラブルが生じたら、すぐに親に相談します。
ルール7:守れなかったときには、〇日間、親にスマホを返します。
最初が肝心よ。ルール決めと管理。しっかり守らせる。必要があればその都度、ルールの見直しをすることも忘れずにね。
すでにスマホを持たせている家庭では、最初の時点でのルールをお子さんと再確認してね。そのルールに改変が必要なら、話し合って、現時点でのルールを決めたいですね。
取材/小仲志帆