防災・減災の使命感にあふれる女性たちを取材してきました。
澁川真希さん(51歳・東京都在住)整理収納コンサルタント
災害時の唯一の楽しみは食事だけだから
非常食だけでなく、普段から
食べ慣れているものも備蓄して
非常食だけでなく、普段から
食べ慣れているものも備蓄して
澁川真希さんは、整理収納コンサルタントの活動の一環として、家の中で手軽にできる減災を伝えています。
澁川さんは宮城県に住んでいた当時、3度の大地震を体験しました。’03年宮城県北部地震、’08年岩手・宮城内陸地震(共に震度6)に遭い、備えることの大切さを痛感したそう。そこで家具の転倒防止、非常用持ち出し袋や非常食の準備など、一般的な防災に取り組みました。
そして3度目の大地震。’11年東日本大震災では澁川さん自身も被災したことで、これまでの防災の取り組みが足りていなかったことに気づいたそうです。
第一に家具を固定するだけでは不十分だということです。「震災時、家の中は足の踏み場もないほど、モノが飛び、食器が割れて床に散乱している状態でした。飛散させないことが大切だとわかり、その後は転倒防止用のジェルで小物を固定したり、滑り止めマットで食器を割れにくくするといった工夫をするようになりました」。
第二に震災後の生活までイメージする必要があったということです。震災後、全てのインフラが止まり、復旧までに電気3日、水道5日、ガス20日かかったそう。この間を生き延びるためには、食料品の備蓄が大切ですが、全部を非常食にする必要はないと澁川さんは話します。「非常食はあっても食べたくなかったり、賞味期限が切れてしまったりして、いざというときに使えないことも多いんです。そうではなく普段からよく食べているものを備蓄し、使いながら補充する方法をおすすめしています。被災してわかったのですが、非常時の食事は唯一の楽しみです。普段食べ慣れているもので作った食事だから、疲れきった心と体を癒してくれるのだと思っています」。
震災後ほどなくして、澁川さんは自身の体験を小冊子にまとめました。「被災をしたとき、在宅避難する方が実は一番多いんです。ですが震災時に報道されるのは、避難所で生活をされる方々ばかり。ほとんどの方が在宅避難の実情を知らないのです。そこで在宅避難に役立つ情報をまとめることにしたのです」。
さらに澁川さんは、日々の生活の中で簡単にできる減災のコツを発信し、講演やセミナーを行うようになりました。「防災というと、身構えてしまうものですが、無理は続きません。そうではなくて“日々の生活を快適にするちょっとした工夫が、実は災害時にも役に立つ”ということを伝えていきたいと思っています。皆さんには取り入れやすいところから、取り組んでほしいですね」。
撮影/BOCO 取材/髙谷麻夕 ※情報は2022年4月号掲載時のものです。
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