◯ 答えてくれたのは...
文教大学教育学部教授 成田奈緒子先生
早熟な今の子どものために
親が心がけること
親が心がけること
恋愛は、何歳からでもとても良いことです。憧れや妄想から人への共感につながれば素晴らしいこと。逆に恋愛に興味がないほうが問題かもしれません。
「あの人、カッコイイ」がきっかけで、その人の興味を持つ分野を勉強したり、演劇を見たり、いろんなことに興味を持つ。小さな頃からいろんな刺激を受けると、脳は入ってくる情報で発達する。 恋愛マンガや恋愛小説を読んだり、動画を見たり。「これはダメ」 と言って親がシャットアウトするものではありません。
子どもは小5〜小6の女子は、男子より平均身長体重が多く、昔より全体的に大きいです。ただ気をつけなければならないのは、体格がよくて初潮がくると、心も発達したかのように捉えてしまいがちですが、それは大間違い。見た目と心がアンバランスになっているのです。
子どもたちは、メディアからの知識でそれっぽい大人の発言をしますが、それは言ってるだけで理解していない場合も多い。
心の発達には脳の前頭葉が大事なのですが、前頭葉の発達はからだの成長とは別で、昔より早まっているわけではありません。 10〜13歳ぐらいから始まります。 小学生の発言は受け売りも多く、自分の言葉で発しているとは考えにくい。言動と行動には少し慎重になったほうがいいです。
極端に早い初潮の原因のひとつに睡眠時間の少なさが挙げられます。忙しくて、あまり寝ていない子は月経が早くなります。
日が落ちると脳の中にメラトニンが多く分泌され、眠くなりますが、実はメラトニンには性成熟を抑える効果があります。塾や習い事など、夜遅くまで光を浴びながら生活すると、メラトニン量が大人並みに少なくなり、からだの性成熟が勝手に始まります。早い子は7歳ぐらいから月経が始まってしまう子もいたり……。
小学生が恋愛モードになることはいいのですが、意図せぬ妊娠をはじめ、心の発達を伴わない行動には気をつけなければなりません。早寝早起き、食事をしっかり摂らせること。
からだの性成熟が発達したからといって、心の発達は早まらないんです。
男女交際に関する小学生たちへの
調査結果から
調査結果から
Q.男女交際をしたことがありますか?
全体の約4分の1、28.6%が交際経験あり。女子が多いのは恋愛に積極的だからかも。
Q.家で恋愛に関して家族と話をしますか?
「まったくしない」の中では男子が女子より3割多く、恋愛話に抵抗があるようです。
Q.その話の内容は?
自分の話より友達の話がしやすいよう。ちなみに女子は自分の恋バナをよくするそう。
Q.小学生の男女交際についてどうおもいますか?
全体的に、子どもたちは男女交際について良いと回答。親が思うより関心が高かった!
茨城大学教育学部教授の青栁直子先生などが、I県内の公立小学校4校の5年生、6年生の児童に聞いた「男女交際の実態と恋愛観」についてのデータをもとにグラフを作成しました。小学高学年の男女交際に関することは増加傾向のようで、抵抗が少ないこともわかります。
特に女子は積極的で意欲的なようです。調査では、学校内での関わりが主で、2人きりで何かをするというより、友人を交えてグループ交際や、イベントにプレゼントし合うということが多いとのこと。性的なことより、まだ健全なつき合い方が中心なので、親が心配するほどのことではなさそうですが、恋愛が原因で人間関係のもつれもあるようなので、今後の見守り体制が重要とされています。
※出典:『児童期における男女交際の実態と恋愛観』大澤愛海・青栁直子(2017年11月~12月)
I県内の公立小学校4校の5年生、6年生の児童117人(5年生31人、6年生86人)と同県内の公立小学校20校の養護教諭20人を対象とした無記名式の質問紙調査を実施。回収数は112人(小学5年生28人、小学6年生 84人。男子56人:女子56人)から。
撮影/西 あかり 取材/東 理恵 ※情報は2022年4月号掲載時のものです。
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