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【アートで共創教育 連載vol.8】親子で運動不足解消! 「暗闇で“けん・けん・ぱっ!”」のススメ!

行ったことはあるけれど、ただ「きれい!」で終わってませんか? チームラボボーダレス――この新感覚ミュージアムが目指す「共創社会」について、子どもたちと一緒に考えてみます。

【アートで共創教育 連載vol.7】昼の公園では気づかなかった子どもの感性がわかる”暗闇アスレチック”

知っていますか? 「けん・けん・ぱっ!」は親子ともに効くんです!

親は何もないところでつまづいたり(私だけ?)、片足を上げて靴を履くときにグラグラっとしたり、横の壁で体を支えないとブーツを履くのがしんどかったり……。
筋力の衰えや、体のゆがみに気がつくことがありませんか?
一方、特に思春期の子どもは、外遊びが減り、ゲームやYouTubeばかり……。
肥満気味の子どもも増加中だとか。
コロナ禍を経て、親子ともに運動不足。そんな人たちに私が勧めたいのが「暗闇で“けん・けん・ぱっ!”」。
それは東京・お台場の「チームラボボーダレス」内にある創造的運動空間「運動の森」内にある【弾む水の天才ケンケンパ】という作品です。
まず太陽が降り注ぐ屋外ではなく、照明のない暗い屋内で楽しむので、コロナ禍で太ってしまった“ぼよんぼよん”と弾む脂肪がバレないのはうれしい限りです。カラフルさも目くらましになり、顔のほうれい線やしわの老化もバレません。
そして大人も一緒に楽しみながら、身体バランス、リズム感、神経系、筋力、瞬発力などに効く総合的なトレーニングができます。
昔は、路上に赤・青・白のチョークで丸を書いたり、公園の砂場に棒で丸を描いて「けん・けん・ぱっ!」をしていたものですが、現在では道路を使って子ども達が遊ぶ機会も減ってしまいました。そんな昔懐かしい「ケンケンパ」にもデジタル化が……。
そう、現代の「けん・けん・ぱっ!」こと「水の天才ケンケンパ」は、水の上に浮かんだ飛び石を変化させていくので、飽きることがありません。時代の波を感じる昭和世代です。
そしてこの作品は、ただ飛んで楽しむだけではなく、いろいろ法則があり、子どもたちはそれを体験しながら感じ取ったみたいです。
私はといえば、<足元は低反発でクッション性抜群だわぁ>。そんなことしかわかりませんでした……。(この作品は床がトランポリンのような弾む素材になっています)

水に浮かぶ〇△□ 中には魚や鳥が……

何もないところに足を置くと、水の波紋が広がり「水に浮いているんだ」ということがわかります。そのところどころに、ピンク、紫、黄色などのカラフルな〇△□が描かれ、その上を「けん・けん・ぱっ!」。

息子が紫の〇を「ぱっ!」と両足で踏んだら、中から紫の魚が飛び出した!

体幹の弱い娘もいいトレーニングに!

「お~っ、とっ、とっ、と……」
一方で、娘はもともと体幹が弱く、運動療育にも通っていたほど運動が苦手なのですが、楽しそうに挑戦していました。
「けん・けん・ぱっ!」も、丸だけ踏む、あるいは三角しか踏んではならない、ピンク色だけを踏む、と自分でルールを決めて飛んでいくと、さらに変化が!同じピンク色を連続して跳んでいくと、ピンク色は床だけでなく作品の壁にも影響して、広がっていきました。自分でルールを決めて挑戦したら、作品もどんどんキレイに変化していったのです。

そもそも遊びとは、ルールを決めて、楽しみながら体を鍛えられるものなのに、今の思春期の子どもたちはホントに困るぐらい外へ遊びに行きません……。私たちの時代は「ゴム飛び」「長縄飛び」など、年下の子たちも一緒に混ざりながら日が暮れるまで遊んでいたのに、今は家の周りでも全くそんな光景を見ません。

ところがここ「チームラボボーダレス」の運動の森では、普段、ゲームばかりを楽しんでいるデジタルネイティブの娘も、外遊び感覚で遊んでいます。運動が苦手なのに、一生懸命考えて体をゆがませながらも遊びに挑戦する――そんな娘の様子を見ていると、思わず胸に熱いものが込みあがり、涙が溢れそうになりました。歳を取ると、涙もろくなりますね……。

親自身も<体のためのトレーニングをしに行く!>という場所より、子どもと遊びながら体幹が鍛えられる場所のほうがありがたや。
そもそも、体のために“やらされてる感”がある施設よりも、自発的に楽しめる環境のほうが自然なあり方ではないでしょうか。

今度は、息子がじっと立ち止まり、何かを見ています。

双子なのに息子は娘と正反対で、運動神経はいいのですが、細かいことをアタマで考え込み、一度「ダメだ」と思うとネガティブに引きずるタイプです。
親としては、何を思っているのか知りたいのですが、あまり話してくれない。
私もよく、どう対応して良いのか悩みます。思春期になると、ますます胸の内を話さなくなります。
ただ、息子とここに来て、彼が立ち止まって考えている風景を見ると、〈11歳という短い経験と小さな体でも、心の中ではいろんな葛藤や思いを秘めながら日々生活しているんだろうな……〉と改めて成長を感じました。これこそが思春期なのでしょうね。
家にいたのなら、こんなことを思うことはなかったかも知れません。環境を変え、一歩離れて子どもたちを見られることで、親も落ち着いて考えることができた。これも、“アートの力”なのでしょうか……。
以前、2021年6月号の誌面で「“子育てロス”がもしも私に訪れたら……」という特集をしました。その際、子育てがひと段落した先輩ライターから「子どもの行事を必死に手伝っていたけれど、それがなくなったら途端に自分の居場所がなくなった。存在意義もわからなくなった」という話を聞きました。また、「息子の反抗期が壮絶で毎日がケンカの日々だった」というSTORYモデルさんもいました(今では「こんな僕の母親は貴女しか務まりません」と言ってくれるような素敵な息子さん!)。
今、娘と息子は思春期に入り、私は更年期に入りました。
戸惑っている最中です。
〈子どものために〉と思い、仕事をしながら習い事の送り迎えや学校の保護者会、PTA活動であくせくする毎日。
とにかく頑張らなきゃ。
でも上手くいかない。
子どももわかってくれない。
私もいろいろと、もがいています。
でも、それはこの一時期だけなのですよね。後から振り返って〈大変だったけど充実していた〉と思えるようになる。
子育ての先輩の方々、そうなんですよね?
それを信じて、イライラが続かないようにしなくちゃ。
子どもに無理やり合わせないで、自分のマイペースも大事にしなくちゃ。
大好きなチョコでも食べて、毎日数分でものんびりと。
これからは自分の時間も大切にしようと思います。

【アートで共創教育 連載vol.3】子ども目線ってどういうこと? ここではそれがわかります

【アートで共創教育 連載vol.4】チームラボ・松本明耐さんに聞く「親子でどんな体験をしてほしいと思っていますか?」

【アートで共創教育 連載vol.5】チームラボ・松本明耐さんに聞く「ミュージアム内で個人的にお勧めの場所はどこですか?」

撮影/西 あかり 取材/東 理恵

森ビル デジタルアート ミュージアム : エプソン チームラボボーダレス 森ビル デジタルアート ミュージアム : エプソン チームラボボーダレス

森ビル株式会社とアート集団・チームラボが共同で2018年6月から東京・お台場のパレットタウンで展開する「地図のないミュージアム」。10,000平方メートルの中に520台のコンピューターと470台のプロジェクターを駆使して、圧倒的なデジタルアートを繰り広げる。
2023年に東京都心部において新たなチームラボボーダレスを開館する準備に入るため、2022年8月31日をもって閉館。

https://borderless.teamlab.art/jp/
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