白記澄子さん(48歳・大阪府在住) エビス株式会社 代表取締役
代々続く老舗の家業を立て直すことを
選択し、タイミングが合わなくなり
結婚しませんでした。
今は仕事に燃えています
選択し、タイミングが合わなくなり
結婚しませんでした。
今は仕事に燃えています
白記澄子さんは、161年の歴史がある老舗足袋商「ゑびす足袋本舗」6代目です。基本の白足袋を大切に受け継ぎながら、楽しい柄足袋やレース足袋、冬にはふわモコキャラコ足袋や様々な種類の足袋、新商品の開発にも積極的に取り組んでいます。
以前はマスコミ系の広告などを担当し、デザイナーとして働いていました。一生独身を通すとも思っていなかったそうですが、ものすごく結婚をしたいという欲求もなかったので、結婚を深くは意識したことがなかったそうです。「仕事も順調で、もともと私は会社を継ぐ予定ではなかったのですが、父が引退を考え始めて後継者がなく『このままではのれんが消える』と思い、会社を継ぐことを決めました。祖父が頑張って大きくしたこの会社をやるだけやってみて、ダメだったら綺麗に終わらせたいという思いでした」。
父親から引き継ぐために会社に入った8年前は、10年以上赤字でいよいよ廃業すると聞いたタイミングでした。「家業が廃業寸前でしたので、その当時付き合っていた彼と話し合う余裕なく、立て直すために会社に入りました。きものを着る人口は年々急激に減っているので、足袋を残すためにも、残せるようなものを開発しなければと思い新商品を開発しました」。
きものを着ない方に、健康で過ごせる商品をと作ったのが『こたび』。2019年はグッドデザイン賞を取り、大ヒット。今年4年目を迎えた商品ですが、症状改善の声がたくさん届き出し、今の人気に繫がっています。
白記さんには長いこと付き合っていた彼がいました。その方と結婚したら家庭に入ることが暗黙の了解だったので、仕事を続けていくことが難しいと思っていたそうです。「仕事を続けていたかった私は、結婚という選択をしませんでした。自分は家庭に入るタイプではなく、仕事が大好きでした。さらに、継いだ会社を続けていく思いが強かったから家庭に入ることはできませんでした」。
現在も国内外と飛び回る白記さん。「結婚を選ばず、仕事に燃えているというのは、時代的にもカッコよくないとは思うのですが、どうすれば屋号を守れるか毎日奔走しています。いろいろ改革もしました。後世にも優れた足袋を残すためには職人さんの技術が必要です。それを守るために、若い職人でも技術を守っていける商品開発が必要だと考えています。将来は、結婚してもこの仕事を続けていられて、一緒に過ごしていて楽な人がいれば、家庭を持つのもいいかなと思っています」。
撮影/BOCO 取材/加藤景子 ※情報は2022年6月号掲載時のものです。