◯ 草刈民代さん(57歳・女優)
3年ほど前の検査で
女性ホルモンの補充が必要と判明
半年くらい続けただけで
体調が改善しました
女性ホルモンの補充が必要と判明
半年くらい続けただけで
体調が改善しました
3年前にドラマ「大恋愛」でウィメンズクリニックの院長役を演じる機会があり、銀座にある「女性ライフクリニック」の対馬ルリ子先生を紹介していただきました。リサーチを兼ねて診察を受けたら、ホルモンの数値が下がっていることが判明。最近ひどく寒気(*1)がするなと思っていたところでしたが、それが更年期症状だと知って驚きました。
先生いわく、体を酷使しているダンサーやアスリートなどは女性ホルモンの数値が下がりやすい傾向にあるそう。ホルモン補充療法(*2)を提案されて、トライしてみたら数回であっという間に寒気が改善されてまたビックリ。「更年期を穏やかに着地させるために5年ぐらいは続けたほうがいいですよ」と言われて塗り薬や飲み薬もいただきました。
でも実は忙しさにかまけてほとんど手をつけていなくて。でもおかげさまでそれ以来、寒気は感じず、ほかにも症状が出ることなく快適に過ごせています。
—— 映画やドラマで活躍されている草刈民代さん。STORYにも何度も登場していただき、その凜とした佇まい、芯が通ったエレガントな生き方に大きな反響がある女優さんです。そんな彼女が更年期症状に気づいたのが、ウィメンズクリニックの院長役がキッカケだというのはまさにドラマのように運命的。
ホルモン補充療法を始めるときに、ガンのリスクなどの説明を受けました。私みたいに数回で改善されてしまう人は特殊かもしれないけれど、とても理にかなっている方法だと思いました。食事の面では オリーブオイルやアマニオイルを使うようにしたり、またメンタルケアの一環としてはオーダーメイドの入浴剤を使ったりしています。
私のリフレッシュはファッションやヘアメークの更新を考えていくこと。お洋服でハマっているのはKEITA MARUYAMA。もともとデザイナーの敬太さんが作るお洋服が好きでしたが、特に昨年の1月に私が芸術監督を務めた『INFINITY DANCING TRANSFORMATION』の舞台美術と衣装を敬太さんにお願いして、さらに信頼が深まりました。敬太さんの世界観をダンス作品に盛り込みたいと考えお願いしましたが、ダンサーの個性、音楽、振付、が敬太さんのセンスによって一つになり、丸山敬太の世界観の大きさを打ち出した素晴らしいものとなりました。その発見が私にとってとても嬉しいことでした。
美容のアップデートにも興味津々。いろいろ研究を重ねて果敢にトライ&エラー、がモットーです。今美顔器でよく使っているのは「セルキュア4T++」と電気バリブラシ。メーク前にW使いすると効果が倍増し、コスメの入り方がスムーズになると感じています。特にセルキュアは使い始めてお肌が劇的に改善。首や肩の滞りも流せるので、肌のくすみがパッと晴れて明るいトーンに整います。と言っても仕事のときしか使わないので、撮影が続いたほうが肌の調子が良くなります(笑)。
メークも昔からのやり方に固執するのではなく、絶対に“今”のトレンドを意識。昨日もヘアメークアップアーティストの河北裕介さんのYouTubeチャンネル撮影があり、コンサバにならない50代メークを教えていただきました。今日のメークは昨日の勉強の成果をふんだんに駆使してます(笑)。マスカラ以外は黒 を使わず、ツヤと抜け感を意識したものに仕上げました。
—— 「40代はまだ新陳代謝も気持ちも活発。でも50代になると固まりがち。そうなるととんでもないことになっちゃう」と草刈さんは言います。この世代だからこそ新しいものに敏感に、常に自分の内外を循環させていたいとのこと。
私も50代後半に差し掛かってきました。今までの経験にとらわれずに、何でもやってみて、そこから取捨選択していきたい。
人は長く生きている分だけ、それまでの慣習や思い込みに流されがちです。その惰性の殻を破るのは大変だけど、貪欲に学んでいく姿勢がなければ錆びついてしまいます。過去の手法や安定を手放して新規のものに1歩踏み出すのは誰でも怖いし、最初はヨチヨチ歩きです。でも学ぶ姿勢でいれば人間いつでもヨチヨチしちゃうもの。プライドにとらわれていては前に進めない。潔く捨てて通過してこそ摑めるものがあると思います。こういう考えにたどり着いたこともあって、更年期もわりと軽く済んでいるのかもしれません。
それと、体の不調は精神と直結しているので、更年期の谷底を見ずに済んでいるのは毎日朝晩30分ずつの瞑想のおかげかもしれません。キッカケは日本初のヒマラヤ大聖者・ヨグマタ相川圭子さんの著書を読んだこと。ほんとにこんな人いるのかなと思いつつ、半信半疑で講演を聴きに行ったのが8年前。踊りをやめちゃった自分になにか1つ背骨、軸になるものがあるといいなと思って始めましたが、とても助けになっています。生きるうえでの哲学、人として本来どうあるべきなのかを考えるヒントをいただいています。
8年間、自分なりに生活に取り入れてみて少しずつ見えてくるものがありました。大人として何を考え、何を選択しなければならないか。例えば昨今のコロナ禍やウクライナ危機に関して、自分が何を感じ、どう行動するかという点においても然りです。
今私はキエフ・バレエの来日公演支援のためのチャリティ公演を企画しています。ロシアのウクライナ侵攻が始まってから、欧米のバレエのスターたち、振付家などがFace book上でメッセージを発していました。私はそれを読みながら自分はどんな言葉でこの状況に対する思いを表現できるのかと考えましたが、呆れるくらいに言葉が見つかりません。日本では政治の話は敬遠されがちですが、そういう風潮に流されて、実は「政治的」 とは何か? ということすら考えたことがなかったことにも気づきました。
そしてなによりも、躊躇せずに何かを発信していくことが大事なのだと思い至りました。日本にも国の立場があり、私たちはそのなかで生きていますが、ロシアのように強く管理されている環境にはありません。自分の思いや意見は発言できる自由があります。人の目や社会の風潮があったとしても、必要だと思うことはできる環境にあるわけです。だからこそ、それを考えていく必要があるのに、正直、今まではそれに気づいていなかった。
私は1965年生まれ。従来とは異なった感性や価値観、行動規範を持っているということで「新人類」と呼ばれた最後の世代です。人は自分を形にはめるのが窮屈と思いつつも、実は自分が気に入った形を常に見つけています。ですが60代にさしかかる「新人類」たちは、これからの未来を自分たの感性で切り開いていく気持ちも必要だと思っています。
私たちはバブル期も経験し、今の若者とは違う時代を生きてきました。そこでの体験から、自分の中で熟成してきたものは何なのか? 本当の意味でそれが問われていると思います。いつまでも柔軟に頭が使える人になっていたいですね。
年を重ねるごとに不満や不安が募っていくのは不幸です。そうならないためにも大人として、これまで学んできたものを今後社会に還元する責任を果たしつつ、ファッションや美容にも目を光らせて止まることなく進んでいきたいですね。
〈TOP写真〉すべて草刈さん私物(トップスはユニクロ、パンツはケイ タマルヤマ、スニーカーはコンバース)〈末尾写真〉ブラウス・草刈さん私物(ケイタマルヤマ)
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/齋藤美紀(SINCERELY) 取材/柏崎恵理 ※情報は2022年7月号掲載時のものです。
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