◯ 映画『はい、泳げません』に出演した 長谷川博己さん(45歳)
水着だけの裸に近い
無防備な状態だったからこそ
自身をさらけ出せました
無防備な状態だったからこそ
自身をさらけ出せました
「今回演じた泳ぐことができない大学の教授という役柄をどのように捉えていくか。その中で、カラダ作りをどうしていくかも考えました。筋肉がつきすぎていても、たるんでいたり、痩せすぎたりしているのも違うなと感じたので、そのバランスは心掛けたつもりです」
長谷川さんが演じた小鳥遊雄司は、学生にも慕われる大学教授ながら、全く〝泳げない〟。もう、水に顔をつけるのも怖いというレベル。しかし、頭でっかちに屁理屈ばかりこねて水を避けてきたカタブツの雄司が、ひょんなことから水泳教室に通い始める。水泳教室の賑やかな主婦の中で、ひとり水の恐怖で体をこわばらせる長谷川さんの姿が、どこか滑稽にしてキュートで印象的だ。
「小鳥遊が泳ぐときに、綾瀬さん演じられる静香コーチから言われたことを頭で整理しながら泳ぐのですが、ブツブツ言いながら泳ぐと逆に息苦しくなり難しさがありました(笑)。ですが、そのモノローグの中に、彼のキャラクターがあると思ったので、監督と話し合いながら丁寧に演じるようにしました」
それにしても、物語の半分はプールが舞台。水際で、そして水中でと、これまでに見たことのない長谷川さんの表情や演技がこの映画の見どころの一つ。
「水中でのシーンは、カメラマンの笠松さんが細かい表情を上手く捉えてくださったこともあり、この作品ならではの画になっていると思います。水中メガネの中に水が入ることで、目の見え方に変化が出たことも面白い発見でした。それに、水着だけの裸に近い無防備な状態だったからこそ、自身をさらけ出せた感じもします」
そんな演じることに真っ直ぐな長谷川さんの根底には、どこか雄司にも通ずるところがあるよう。
「泳ぐことを通して記憶を遡っていくという過程が、役を演じるうえで自分の過去と向き合っていく俳優の仕事と通じるところがあるなと感じていました。そうやって過去を振り返っていくことは、自分の辛かったことと対面することにもなると思うのですが、それから逃げる訳ではなく、無理に打開するのでもなく、自然と受け入れた先に見えるものがあるのだと感じます。小鳥遊にとってそれは泳ぐことであり、生きることだったのかもしれません。僕自身にとっては、それが何かと考えると、やはり演じることなのだと思っていて、小鳥遊との大きな繫がりにもなっている気がします」
◯ 『はい、泳げません』
大ヒット映画『花束みたいな恋をした』の制作プロダクションによる注目作。髙橋秀実氏の同名エッセーを、映画『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した渡辺謙作氏がアレンジを加え脚本化し、監督も務めた。水への恐怖で大騒ぎしながらも泳ぎ続ける雄司と、陸よりも水中のほうが生きやすいという水泳コーチ静香の心のキャッチボールが見もの。
監督:渡辺謙作 出演:長谷川博己、綾瀬はるか
公開中 https://hai-oyogemasen.jp/
ジャケット¥55,000 シャツ¥30,800 パンツ¥37,400(すべてオーラリー)
撮影/嶋野 旭 スタイリスト/白山春久 ヘア・メーク/宮田靖士(THYMON Inc.) 取材/河合由樹 ※情報は2022年7月号掲載時のものです。
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