子育てや仕事に忙しく、自分のカラダのことは後回しにしてしまいがちな40代……。毎日なんだか心身の不調を感じる私たちに、自身もアネフォー世代の産婦人科医、高尾美穂先生が乗り越え方を教えてくださいました。
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元宝塚・真琴つばささん「若年性更年期がずっと続いているのかもしれない」
◯ 高尾美穂先生
Q.突然の体の変化に 対応しきれません……
A.尿もれや子宮脱なども 基本的には【簡単な運動習慣】をつけることで緩和しますよ
まずお伝えしたいのは、出産経験のある方、特に2人以上出産された方は、より尿もれや子宮脱のリスクが上がるということ。今自覚がない方でも、エストロゲン低下による筋肉量が減る将来に備え、骨盤底筋のエクササイズは習慣化するほうがいいでしょう。続けることで、確実に効果は出ます。
そして、単独で鍛えるより、骨盤底筋につながるお尻や太ももの筋肉も一緒に鍛えると一石二鳥。おすすめは、ヒップリフト! 仰向けに寝て脚を閉じ膝を立て、おへそからお尻まで一直線になる程度までお尻を上げて5秒間キープします。まずは、これを寝る前に10回やってみてください。これに加えて、お風呂上がりに腟から水分が溢れることを気にされる方は、腟を絞める力がある証拠なので、特に問題ないと思われます。
骨盤底筋ストレッチの延長で、これまた継続習慣をつけていただきたいのが、簡単なトレーニング。よく、「私、疲れやすいんです……」とご相談いただくのですが、これは運動習慣がないのが原因。定期的に体をほぐしていれば、疲労感は軽減されます。
では、どんな運動がいいのか? イチオシは、YouTubeでも紹介している「ぐるぐる体操」。肩甲骨や股関節まわりを、その名の通り、ぐるぐると回すだけのシンプルな運動です。周辺のたくさんの筋肉を一緒に動かすことで、運動効果が格段にアップ! 座ったままできるので、気づいたときにでもやってみてください。
そして、もうひとつおすすめしたいのが、早歩きウォーキング。目に映る景色が変わるし、フレッシュな空気でココロも安定します。自分が気持ちいいと思えること、無理なく続けられることを最優先にしてみてくださいね。(高尾先生)
(上から)撥水や速乾など機能性の優れたアイテムで快適ウォーキングを。ハット¥5,720(THIRD MAGAZINE × NEW ERA※ライター私物)トップス¥17,600(HeRIN.CYE/eee)サンダル¥7,480(HEREIAM)
・ゆるストレッチでもいい
・できることから始める
Q.忍び寄る更年期が怖い! 事前に対策はできますか?
A.更年期は生理周期が乱れてから! ゆらぎ始めた体には【エストロゲンを補充】して対策を
そもそも更年期とは、閉経する前後5年間のゆらぎの時期のこと。みずみずしい肌や髪、強い骨などを保ち、メンタルを安定させる女性ホルモン=エストロゲンの分泌がなくなる状態に体を慣れさせる準備期間を指し、特有の不調が出ることも。
クリニックにも、「私は更年期ではないでしょうか」といらっしゃる方が多いのですが、実はその何割かの方は、生理周期の乱れが顕著に出ていないため、更年期と考えなくてよいのです。
ただ、その段階でも、今からできる準備をしておくことは大切。シンプルに、足りないものは補充すればいいんです。そこでおすすめなのが、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをしてくれる「エクオール」という成分の摂取。サプリメントで摂れるので、私も43歳から毎日飲んでいます。
というのも、エクオールは腸内細菌によって代謝され、産生される成分なのですが、日本人女性の50%が自分では作れないと言われており、PMS(生理前症候群)が重い人は、産生できない人が多いです。そして、更年期症状も、エクオールを産生できない人のほうが症状が重いことが報告されています。自分でできることのひとつとして、エクオールのサプリメントについて知っておいていただきたいです。
加えて覚えておいていただきたいのが、閉経後のための事前ケア。例えばビタミンDサプリメントの摂取は、閉経後の骨粗鬆症対策にも。更年期は複数の症状を抱えることが多いので、広く効果を期待できる漢方もおすすめです。
いろいろ不安になるとは思いますが、更年期はまだ人生の折り返し! 残り40年は、女性ホルモンに振り回されない楽しい時期ともいえます。より良いものにするためにも、今の自分のカラダの状態を知り、対策していくことが大切ですよ。(高尾先生)
(上から)信頼性のあるエクオールサプリ。エクエル 112粒入り¥4,320(大塚製薬)PMS症状に。命の母ホワイト 180錠入り¥2,640(小林製薬)ビタミンDは近年注目のサプリ。ディアナチュラ ビタミンD 60粒入り¥637(アサヒグループ食品)
・30代後半から減退する傾向
・結果的に自律神経が乱れ、更年期症状に
撮影/河内 彩(人物)、坂根綾子(静物) 取材/竹永久美子 ※情報は2022年8月号掲載時のものです。