40歳を過ぎたあたりから、何となく感じ始めた心や体の変化や揺らぎに、戸惑いを覚えてしまう人も少なくないはず。一般的にはおよそ45~55歳の10年間が更年期とされていますが、今そのちょうど真ん中・50歳の小島慶子さんにインタビュー。この時期の心や体の向き合い方、付き合い方など、多忙なスケジュールをこなす彼女の今を伺います。
●【前編】更年期といえばホットフラッシュ、だけじゃないなんて!→
●【中編】好奇心旺盛でなんでも試してみたい!小島さんのメノテック事情→
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員、昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員。1972年、オーストラリア生まれ。日本、シンガポール、香港で幼少期を過ごし、学習院大学法学部政治学科卒業、TBSアナウンサーを経て、現在は各種メディア出演、執筆・講演活動と精力的に活動中。新著に『おっさん社会が生きづらい』 (PHP新書)など。
Twitter: @account_kkojima
Instagram: keiko_kojima_
息子や夫にも更年期をアピール、理解を得る
「息子や夫は今、オーストラリアにいます。これまで息子たちには、性教育も含めて、人体の仕組みについて折に触れて話してきました。現在進行中の私の更年期に伴う不調についても、率直に話しています。偏見を持たずに、ちゃんと知ってほしいからです。夫も、『そういえば僕も40代後半から50代前半にかけて、更年期だったのかも……』と打ち明けてくれました。体の話を安心してできる場所があるって大事ですよね。
長男は『バイトの上司の女性も、更年期だから調子が悪い時があると言ってるよ』と話していました。オーストラリアでは性教育が日本より浸透していますし(ちなみに来年からは、幼稚園~高校で、性的同意の授業が必修化されます)、息子たちは更年期についても『そういうことがあるんだな』とフラットに捉えている感じです。女性の健康の課題として捉えると、オープンに語れますよね」。
更年期世代の働く女性の退職は社会的損失!柔軟な働き方を目指して
「中年女性は、笑いのネタにされてきました。誰にでも来る更年期なのに、知識がない人たちが、テレビなどで安易に更年期という言葉を使って『おばさんいじり』をしたり。でもここ数年でずいぶん変わってきましたよね。今はそういう笑いを面白いと思う人たちは、時代について行けていない人、まともな人権感覚のない人として淘汰されつつあるのではないでしょうか。生きていれば、誰でも体は変化します。日本は世界有数の超高齢社会。年齢に伴う変化を、真面目に、気さくに話せるようになればいいですね。
女性は結婚したら“寿退社”が当たり前だった時代には、働きながら更年期を迎える人はほとんどいませんでした。でも今の更年期世代は、役員昇進、子どもの進学、親の介護など、さまざまな人生の課題を抱えています。更年期障害(更年期症状が重く、生活に支障が出る状態)で、通院や休養が必要になる人も。でも、会社の制度や職場の理解がないために、退職に追い込まれてしまうこともあるのです。こうした事態は、<個人の人生に深刻な打撃を与えるだけでなく、企業や日本の経済界にとっても莫大な損失になっています。企業や社会が働く人の健康を重視し、柔軟な働き方を可能にすることが喫緊の課題です。更年期は女性にも男性にもありますから、働き盛りに誰もが経験することとして理解が深まるといいですよね。更年期問題への取り組みは、ジェンダー格差の解消や人間らしく働ける環境の整備など、SDGsの理念にも適うアクションです。
ここでは私の更年期の実感についてお話ししましたが、まだまだ更年期の悩みを周囲に打ち明けるのが不安な方もいるかと思います。もちろん、無理して告白する必要はありません。ただ、相談できる専門家は必要です。まだ症状はないけど更年期が怖い…というあなたは、今のうちに信頼できる婦人科を見つけておきましょう。今、辛い人にとっても、専門家は心強い存在です。更年期は、いつか必ず終わります。そして、仲間はいっぱいいる。体験をシェアし、お互いをケアして、一緒に乗り切りましょう」。
ニットベスト¥31,900シャツ¥29,700<アパルトモン>スカート¥61,600<カルメイヤー>ブーツ¥185,900<マノロ ブラニク>(すべてアパルトモン 青山店)ピアス¥22,000<リプサリス>リング¥25,850<ドーラ>(ともにロードス)
●【前編】更年期といえばホットフラッシュ、だけじゃないなんて!→
●【中編】好奇心旺盛でなんでも試してみたい!小島さんのメノテック事情→
撮影/河内彩 スタイリスト/小川真央 ヘア・メーク/中台朱美 取材/羽生田由香
■ショップリスト
アパルトモン 青山店 03-5778-4919
ロードス 03-6416-1995