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――公演初日に、桜木輝彦としてレコードデビューもされる中川さん。企画を聞いた時はどう思われましたか?
自分が演じる役として曲を歌う、役の言葉が音楽になるというのは、役者としてすごくチャレンジしがいのあることだなと思いました。『歌妖曲』は昭和の芸能界が舞台で、歌謡曲を多く扱った音楽劇。作品の世界と現実の世界の架け橋と言ったら、ちょっと大袈裟ですけど、楽曲がそこを繋ぐものになったらなと思います。この作品の世界観や熱量の片鱗を少しでも感じてもらえたら嬉しいですし、舞台を観劇した後に聴けば、また違った印象を感じてもらえるような気がしています。
――中川さんがお芝居をする時に、いちばん大切にしていることを教えてください。
事前にしっかり準備をすることです。自分とは違う人間を演じるので、役を作っていく作業は、役柄によって色々違ってきます。しっかり準備をした上で、最終的には「もうどうにでもなれ」ぐらいの気持ちで、カメラの前だったり、舞台の上に飛び込んでいく勇気も大事にしています。あまり、あれもやろう、これもやろうと考えていると、意外と戦えないんです。
――なるほど。さすがは、24歳にして明治座で座長を務める逸材。本当にしっかりされていますね。
そうやってプレッシャーを掛けて、ビビらせないでください(笑)。今は仕事だからしっかりしているように見えるかもしれませんけど、普段は全然そうではないんですから(笑)。
――デビューして13年の間に、どんな転機を経験されてきたのでしょう?
大きく言ったら、10代の時と20代になってからは変わっていると思います。そこが一つの大きな転機ですね。僕は小学校高学年の時にデビューをして、最初の頃は何もわかっていなかったので、かえって楽に芝居ができました。余計なことを知らない分、純粋に芝居のことだけを考えることができたので。