障がいのある子どもの介護を辛いものとして訴えるのではなく、むしろ「一緒に生きてゆく楽しさ」として伝えている女性たちを取材してきました。
奥山佳恵さん(48歳) 俳優・タレント
奥山佳恵さん
1992年に映画『喜多郎の十五少女漂流記』でデビュー。以降、ドラマ・バラエティ番組などで活躍。ブログや連載も好評。
“ダウン症候群の子育ては
思っていたより普通でした”
それを伝えることで
生きやすい未来が作れたら
思っていたより普通でした”
それを伝えることで
生きやすい未来が作れたら
次男がダウン症候群であることを公表した奥山佳恵さん。ダウン症を受け入れるまでに葛藤があったといいます。
「低体重のため検査をすると、心臓に穴が空いていることが分かりました。染色体異常の可能性もあると言われ、さらに検査をした結果、ダウン症と診断されたのです」。命が尽きてしまうのでは、障がいのある子を育てられるのかという不安で目の前が真っ暗に。
「赤ちゃんに触れているときは可愛くて幸せなのですが、離れると不安で。ダウン症という言葉が、家の中をめちゃめちゃにするモンスターだと思い込んでしまって……」。障がいを受け入れたいという気持ちから、自ら次男のことを周りに話すことにしました。「最後まで母親には言えなくて」。今日こそはと電話をし、ダウン症であることを告げた奥山さん。母親からは「一緒に育てていこうね」と。「それがきっかけで吹っ切れ、子育てがスタートしたような気がします」。
ダウン症の子育ては思ってたより普通、むしろ育てやすかったと話す奥山さん。「長男のときは慣れない育児や睡眠不足で苦労したのですが、次男はよく寝る子でした。生活するうえでできないこともありますが、できないことは悪いことではない。子どものいいところを見つけて伸ばしてあげたいと思う気持ちは、障がいの有無にかかわらず同じですよね」。
現在は講演会で発信することも増えた奥山さん。「どれだけダウン症の子が可愛いか、息子自慢のような講演になっています(笑)。次男は起きてから寝るまでずっと幸せそうに笑っています。よく寝て、よく食べて、よく笑う、一番人間的な生き方をしています。モンスターの正体は、“ダウン症ってよく分からない”という気持ちでした。世の中の“よく分からない不安”を少しでも小さくして、ダウン症の人たちがもっと生きやすい世の中になればと願っています」。
撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/稲葉功次郎 撮影協力/Hobie 取材/星 花絵 ※情報は2022年11月号掲載時のものです。