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小栗旬さん「5年ぶりの演劇なので、どんな感じになるのか想像がつきません」【インタビュー前編】

――近年は上演機会が少ないといわれる作品ですが、今回あらためて戯曲を読んで、どう思われましたか?

久しぶりに読んだけど、やっぱりなかなかの駄作じゃないかなって思いました(笑)。これ、どうしたらいいだろう? って。ただ、この2年の間に世界情勢が変わって、今は戦争というものが目の前に現れてきている状況。その辺のことに関しては、今の世の中と通ずるものがあるだろうなと感じています。ニュースを見ていれば、一度抜いた矛を収めることがいかに難しいかということも、よくわかりますしね。個人的には、全体を通して愛すべきキャラクターがいないように思えるのですが、 (上演台本・演出の吉田)鋼太郎さんに秘策があるようなので、そこに期待したいですね。

――小栗さんが演じるのは、先王リチャード1世(ジョン王の兄)の私生児だと名乗り、ジョン王の前に現れるフィリップ・ザ・バスタード。ジョンの母エリナー皇太后から、親族として認められます。現時点で、どんな印象がありますか?

何かこうシニカルで、口が達者な男という印象です。権力とか名誉とか地位を突然手に入れた自分への対応を、周りの人間はどう変えてくるのか? それを楽しんでやるぞ、みたいなオープニングから始まって、中盤までは面白いですよ。長いものに巻かれたふりをしながら、巻かれないようにしていたりして。でも後半、一体どういう心変わりがあったのかが、よくわからない。途中、同じセリフを三回ぐらい言うところがあるんですが、そこも正直、今は意味がわからないです。シェイクスピアの作品には、その時代の世間に対するちょっとした皮肉とか、当時流行っていたことが入れられていたりするので、当時はそこで笑いが起きたのかもしれないけど、今の自分にはなかなか理解できないものもあって。

――それは仕方がないところですよね。16世紀終盤に書かれたと言われる『ジョン王』は、19世紀半ばくらいまでは人気があったようです。

いくつか読んだ戯曲のあとがきや資料によると、誰を主役に据えるか? みたいなことも議論になった作品みたいです。その時々で、コンスタンス(アーサーの母)が主役になっていたり、ジョン王を主役として見せる形で上演されていたり。ここ数年は、フィリップが一応真ん中なんじゃないか、ということになっているらしいですけど、なかなか主役にはなり難いキャラクターではあるんですよね。お客さんも、誰を主軸に観ていけばいいのか、難しいだろうなという気がしています。

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