食後が眠くてたまらない、以前と変わらない生活をしているのに最近太ってきた、なんとなくイライラする…。40代女性にありがちなこちらの症状、年齢や更年期のせいだと思っていませんか?
もしかしたら【血糖値の上昇】が大きく関係しているかもしれません。なんと統計学的に、40歳を超えると4人に1人が糖尿病、もしくは糖尿病予備軍と言われているんです。今回は、SNSにて、血糖値とダイエット、糖尿病について詳しく説明している「血糖おじさん」こと、医師の薗田憲司先生に、血糖値のことを詳しくお伺いしました。
薗田憲司先生(血糖おじさん)
糖尿病内科医。32歳
年間糖尿病外来4000件
現在Instagram10.9万人、YouTube12.4万人のフォロワー(2023年1月時点)がいる。
★ 【血糖スパイク】とは
★ 【血糖スパイクが続くとどうなる?】
★ ライター沢が実践! 2週間血糖値を測ってみました
★ 【血糖スパイクを起こさないために気をつけること(食材、食べ方、運動)】
【血糖値って何?】
血液中のブドウ糖の濃度を表しているのが「血糖値」。このブドウ糖は、生きていくためのエネルギー源として欠かすことはできません。 私たちが主食として摂取しているご飯、パン、麺類といった炭水化物はブドウ糖を多く含んでいて、それらを摂取すると血糖値が上がります。健康な人は、食事で血糖値が上昇しても、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値が過剰に上がりすぎず、一日中緩やかに動いています。しかし、インスリンの分泌の量が少なかったり、インスリンの反応が悪いと、血糖値が急上昇する「血糖スパイク」が起こります。
【血糖スパイク】とは
一般的に、健康診断では空腹時の血糖値を測定しますが、その値が70〜99mg/dLであれば正常と判断されます。
一方、空腹時の血糖値は正常なのに、食後にだけとがった針のような血糖値の急上昇と急降下を起こす状態を【血糖スパイク】といい、これは健康診断では数値に表れないため、発見しにくいんです。 この【血糖スパイク】はブドウ糖を体内で処理しきれなくなっている状態で、「隠れ糖尿病」とも呼ばれています。これを放っておくと、健康や美容に様々な悪影響を及ぼします。
【血糖スパイクが続くとどうなる?】
1. 脳や血管を老化させる
血糖スパイクの繰り返しは、血管にダメージを与えます。血糖値が上がると、血液の粘度が上がって、血管内を流れる際に血管の壁に負担をかけます。これが動脈硬化を進行させて、血管の老化を招きます。当然脳の血管にも負担がかかるので、脳の老化にもつながり、認知症のリスクも上がると言われています。
2. 糖尿病に移行、重症化に
血糖スパイクが繰り返されると、だんだんと血糖値が下がりにくくなって、糖尿病に移行したり、症状の重症化につながっていきます。
3. 集中力が低下
血糖値の急上昇時に強い眠気が起こり、急降下時には強い空腹感、イライラ感、集中力・判断力の低下などを引き起こします。
4. 肌のくすみやたるみを引き起こす
血糖スパイクの繰り返しで、正常に処理しきれなかった糖により「糖化」が進みます。この「糖化」は、肌のくすみやたるみにつながります。甘いものや炭水化物が好きで、最近くすみやたるみが気になる、という方は糖化が進んでいるサインかも?
ライター沢が実践! 2週間血糖値を測ってみました
・空腹時の血糖値 86mg/dL(99mg/d L以下なので正常)
・HbA1c(過去1、2ヶ月の血糖の平均) 5.3(5.5以下なので正常)
親族では母親、叔父が糖尿病
運動嫌いで特にスポーツはやっていないが、歩くのは好き
結果はなんと。。。 ものすごい血糖スパイクを起こしていました。。。
1日中家にいた日
この日は1日家にいて、朝昼晩とおやつ付きで原稿を書いてました。
何か食べる度に血糖スパイクができてます。
座っている時間が長いと、血糖値だけでなく、コレステロールや中性脂肪なども上昇しやすくなります。 座ったまま過ごす時間が多い時は、時々立ち上がったり、食後に軽いスクワットなどをするだけでも血糖値の急上昇を抑えることができますよ。
魔の血糖スパイク
子供の高校の面談&保護者会に行った日。
お昼を食べる時間が面談前の10分しかなく、駅で買ったお弁当を急いで食べて面談と保護者会に参加。終わった後はまた何も食べずに家に帰宅。
お弁当は一応健康を意識して、おかずが沢山入ったものにしたのに、こんなにも血糖値が上昇して、その後低血糖になっていた事にびっくり…。
これは最悪のパターンですね 空腹状態でお弁当を早食いをし、その後運動せずにずっと座りっぱなしだったことによって血糖値が急上昇しています。沢さんの場合は、お母さまが2型糖尿病で、遺伝によるリスクも高い為、まさに糖尿病予備軍と言えるでしょう。 空腹の状態を消すために、少量のナッツなどを間食で食べるだけでも、急激に血糖値が上がるのを抑えられます。
【血糖スパイクを起こさないために気をつけること(食材、食べ方、運動)】
《食材》
1.タンパク質の摂取量を増やす
朝、プロテインや鶏胸肉、卵などのタンパク質を摂取することで、食後のインスリン分泌を増強して、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
また、牛豚肉のタンパク質よりも、魚や野菜からタンパク質を取ることをおすすめします。
2.食物繊維を取る
野菜、豆類、きのこ類、海藻類は、食物繊維が消化管からの糖質吸収を抑えて、食後の高血糖を抑制する作用があります。
「イヌリン」という水溶性食物繊維は、スプーン1杯でレタス5個分の食物繊維が摂取できるのでおすすめです。
3.血糖値を上げにくい「低GI食品」を選ぶ
玄米、そば、全粒粉パン、ナッツ、トマト、ごぼう、豆腐など、食後血糖値の上昇度が低いものを選ぶと良い。
4.家にある砂糖をラカントやステビアに替える
自然派素材の甘味料で、カロリーはほぼゼロ。血糖値も上がらないのでおすすめです。
《食べ方》
1.野菜、肉魚を先に食べる
急いで食べなければいけない時も、気をつけたいのは食べる順番。ご飯から最初に食べるのは禁物です。最初に野菜から食べ始め、次に肉や野菜などのメインディッシュ、最後にご飯などの炭水化物を食べることで、血糖値の上昇が緩やかに。糖質の少ない食べ物の後なら、少々の糖質を摂っても血糖値は上がりにくくなります。
2.早食い、ドカ食いをしないで、ゆっくりよく噛んで食べる。
糖質は口に入れた瞬間から消化が始まります。これは、速やかにエネルギー源になるというメリットがある一方、急いで食べれば食べるほど血糖値はどんどん上昇してしまいます。ゆっくりとよく噛んで食べることで、急激な上昇を防ぐことができます。
3.朝食を取る
朝食を抜いて食事と食事の間に時間が空くと、次に食べる食事の血糖値が上がりやすくなります。これをセカンドミール効果と言います。
《運動》
1.食後15分〜30分後くらいに軽い運動をする(筋肉をつける)
おすすめエクササイズは「スロースクワット」
4秒かけて膝を曲げ、4秒かけて元に戻る。初心者は5回✖️3セットくらい、慣れてきたら10回✖️3セット行いましょう!
筋肉には糖分を蓄えて取り込む力があるので、筋肉量が増えると、体内の糖分が減って血糖スパイクも起こりにくくなります。
特に食後15分〜30分後に軽い運動をすることで、血糖値の上昇を抑える効果があります。
2.座っている時間を少なくして、消費エネルギーを増やす。
座っている時に比べ、歩くことで消費エネルギーが2.4倍〜3倍になります。
さらに、犬の散歩やヨガ、家事をすることで、更に消費エネルギーが増え、血糖値も上がらずダイエット効果もあります。
こちらを踏まえて生活してみたら… 急激な血糖スパイクを抑えられました!
2週間の血糖値の計測を終えて
親が糖尿病2型だと、子供は30%〜60%の確率で糖尿病を発症すると言われていますが、今まで健康診断で数値が高かったことがないかったのでほとんど気にしていませんでした。
でも、今回2週間の血糖値を測ったことで、自分の血糖スパイクの酷さに驚きました。
元々私は運動嫌い、甘いもの好き、早食い傾向で、このままいくと糖尿病になりかねないことが目に見えて分かったので、ちょっと怖くなりました。それからは、なるべく食後は動くようにしています。スクワットなら立ったまま気軽にできるので、続けられそうですし、日々の家事も、血糖値が上がらない為と思うと、なんだか気合いも入ってはかどるようになりました(笑)
日々の生活を少しづつ見直して、いつまでも健康でいられたらと思います!
取材/沢亜希子