「中学受験は人生で一度きり」――。心と体が揺らぐ思春期に、数年間勉強に励み挑む中学受験は、それを見守る親も子どもも共に大きな試練。残りわずか、運命の日を乗り切るための〝親の心得〟に迫ります。今回は「中学受験ママ力開花アカデミー」主宰 井上晴美さんに伺いました。
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「中学受験ママ力開花アカデミー」主宰 井上晴美さん(中央)
長女の偏差値を3カ月で20上げ、2人の娘を桜蔭合格へ。個性タイプを使用したメソッドは受験ママのストレスを解放すると評判!
<残り1カ月は女優になって笑顔でご機嫌に>
加藤
去年の今頃、受験の1カ月前は壮絶で、もう、死んでいましたね。
望月
私も! 今は仕事をしていますが、当時はそんなことしてられないくらい精神的にも大変でした。
奥村
うちの小6の娘は、受験直前だというのに未だ本気モードになってくれなくて……。それに私が毎度イライラ!女同士の言い合いバトルが家庭内で頻繁に勃発してます。
井上
皆さんのお家でのピリピリ感が伝わってきますね。受験ママの心掛けで一番大事なのは、まず表情。笑顔なんですよ。お子さんは敏感に表情からママの心を読み取ります。あと1カ月は女優になって笑顔で!
加藤
笑顔どころか眉を吊り上げる毎日でした(笑)。息子は最後まで成績のアップダウンが激しくて、良い時にも「ウキウキするな!」と怒ってしまったことも……。
井上
言葉の暗示はものすごい力。いくら成績が良い子でも本番直前にママがあれこれ口うるさく言うと、失敗してしまうことが少なくないんです。逆に最後まで偏差値が届かなかったとしても、「あなたこれだけ頑張ってきたこと見てきたよ、きっと受かるよ!」とポジティブな声かけをすることで、子どもは最後に「自分はできる」という気持ちを持って、本番に頑張れるんですよ。
<声かけひとつで偏差値が20伸びる可能性も!>
堀田
うちの息子も未だエンジンがかからずにいます。最近では、私の言葉は彼にとって効力がないので、意味がないと思い、もう私は何も声かけしなくなってたんです。
井上
子どもの潜在能力はすごいから、やる気になれば、驚くほどグンと伸びますよ。うちの子は、残り3カ月の声かけで偏差値が20伸びました。
堀田
えっ、20! やってみる価値大ですね!
奥村
それでも、低学年の頃から塾に通わせてきたのに、まだ本気を出さない娘に腹が立って……。
井上
いいんです、大丈夫。きっと外では、頑張って戦っているのですから。家はホッと安心する環境を作ってあげて。
堀田
1月は学校を休ませる予定ですが、どう過ごすべきでしょうか。
井上
普段どおりに1日の起床・勉強・食事、就寝時間のリズムを崩さないように。そして、たまにはママだって外に出て息抜きをね!
望月
そうやって、少し距離を置くことも大切ですよね。
井上
そして、最後に大事なのは、子どもを信じること。それが、子どもにとっては大きなパワーとなるから。
(敬省略)
ママの心得、5か条
- 常に笑顔で
- ポジティブワードの声かけを
- ホッとする環境づくり
- 1日のリズムを守る(起床、勉強、食事、就寝)
- 子供の力を信じ抜く
先輩ママ達のアンケートの後悔談
- 「なんでこんなバカなの?」と何度も言ってしまった(原田 千恵子さん 45歳 事務)
- 「勉強した?塾代いくらかかってると思うの?」の攻撃ばかりしていた(A.Tさん 43歳 主婦)
- 「過去問の点数これしか取れないの?」と何も考えずに口走り泣かせてしまった(M.Uさん 38歳 主婦)
- 隠れてゲームをしたり、テレビを見たりしているのを見て激怒した(北川香代さん 40歳 アパレル営業)
- テストの後「どうだった?」と質問攻めにしてしまった(増田陽子さん 42歳 看護婦)
編集後記
撮影/田頭拓人 取材/奥村千草、松葉恵里 ※情報は2023年2月号掲載時のものです。