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ママ友の関係に潜む人間の悪の気質? “フレネミー”って知ってますか? ――STORYライター対談

仲良くしていると思っていたのに。その裏で彼女は私をコントロールしようとしていた!?

STORY本誌3月号では「いつも私をモヤモヤさせる……“フレネミー”からの逃れ方」(P.190~)について取り上げました。

フレンドとエネミーを合わせた造語、「フレネミー」。

たとえば、読者の中にはこんなエピソードが……

K.Aさん
K.Aさん
職場での話。同期の前ではめちゃくちゃ先輩の悪口を言うのに、先輩の前では“いい子”ぶって「同期の中では、私ばっかりが嫌なことや大変なことを押しつけられてるんです……」みたいな悲劇のヒロイン的なことを言う女がいた。その結果、同期の私が先輩から「〇〇ちゃん1人に押しつけたらかわいそうでしょ」と怒られた。――(49歳・インテリアコーディネーター)

このエピソードは、表向きはいい顔をして裏で誹謗中傷したり、被害者面をして自己正当化をするフレネミーの典型です。

そして、福岡のママ友による篠栗男児餓死事件の容疑者もまたフレネミー。

感情を揺さぶり、他社を自分の思うままに支配しようとするフレネミーは、度合いこそさまざまですがサイコパスに近いものがあると言われています。

広島大学准教授で異常心理学の研究をしている杉浦義典先生によると、フレネミーのように計算ずくで相手を利用しようとする性格のことを心理学ではマキャベリアニズムと言い、それはサイコパスやナルシシズムと合わせて、人間の悪の気質の「ダークトライアド」と呼ばれているのだとか。

本誌でこのページを担当したライター2名が、自分の体験談も含めながら取材を振り返ります。

ママ友の中にフレネミーがいる?

佐藤 今回の「フレネミー」のページは、私がライターとして初めて担当した企画でした。

竹永 そうだったね。実際に1から携わってみて、どうだった?

 佐藤 それまで出版業界とは無関係の業種しか経験がなくてゼロからのスタートだったので、最初から最後まで竹永さんには助けられっぱなしでしたが、何も形のないところから徐々にページを作り上げていく過程は勉強になりました。とても楽しかったです!

竹永 完成した誌面を見ると、うれしさもひとしおだよ! ところで今回の企画は、佐藤さんの発案です。どうしてこのテーマを取り上げようと思ったの?

佐藤 SNSで「フレネミー」という言葉を知ったのが最初でした。「フレネミー」って何? とその特徴や事例を見ていると、ひどい人もいるものだと思う反面、度合いの強弱はあれど、誰しもこういう人たちに多少は遭遇したことがあるのかも……、と思ったことがキッカケです。
私の場合、上の子が幼稚園に入った頃にはコロナ禍でした。世間的にしばらく自粛ムードだったので、園で行っているママサークルが中止になったり、園外での交流も控えるよう通達が出ていたました。だから必要以上に園のママたちと交流する機会がなくて、まだトラブルの経験がありません。
ママ友トラブルと聞いても正直実感がないのですが、でも世間ではよくあるテーマだと言いますよね。だからこそ、これからがちょっと不安で……。実際のところ、ママ友の関係ってどうなんでしょう?

竹永 ママ友関係で苦労しているという話はよく聞く。私自身もモヤっとした経験あるし……。
でも、子どもが関わっているぶん、どうしても慎重にならざるを得ないからまた大変。
陰口言うだけならいいけれど、それをわざわざ本人に告げ口する人もいたりね。

佐藤 わざわざ告げ口するんですか……。

竹永 そう。女性特有なのかな? わざとイザコザが起きそうなことを言ってくる人っているよね。グループで固まっている時には仲良く振る舞っているけど、相手がいない場所ではお互いそれぞれの悪口を言うような人たち。そんな様子を傍目から見ていると、子どもや受験が絡んだママ友関係は、まさにエネミー(敵)の集まりなのかもしれない。
でも今思えば、幼稚園のママ友関係がいちばん大変なんじゃないかな。距離が近いから。
小学生になると親同士が関わる機会も減ってくるから、精神的に疲れることも少なくなると思う。

佐藤 それは大変ですね。私が住んでいる地域は穏やかなママが多い印象なので、そうそうトラブルに巻き込まれないだろうとは思うのですが、いま1歳の下の子が入園する頃にはコロナ禍も終わり、もしかするとトラブルに遭遇してしまうかもしれませんね。
それに、ママ友に限らず、職場でも女性が多い環境になればフレネミーの出没率は高くなりそうです。
その意味でも、今回取材した内容は、これからトラブルに巻き込まれそうになった時のためにも勉強になりました。

追い込まれて正常な判断ができなくなる前に気をつけること

竹永 一見、人当たりが良くて仲良くなりたいと思わせるところが怖いよね。まさか自分を貶めようとしているなんて想像しないから、気づいた時には抜け出しにくい状況になっている……。
誰しも被害に遭う可能性はあるから、おかしいと感じたらすぐに対処する嗅覚を身につけておかないとね。

佐藤 こちらの行動に必要以上に口出しをしたり、制限させるような言動をしてくる人には要注意ですね。すぐに人を疑うのも疲れますが、そういう人たちが存在するということを知っておくべきですよね。
異常心理学の研究をしている杉浦先生もおっしゃっていたように、ひとつの環境にだけエネルギーを注いでいると、そこが壊れた時には全滅してしまう。
だから自分を守るためには、対人関係にしろ趣味や仕事にしろ、一カ所に固執せず、いろんな一面を持っておくことが重要なんだと思いました。

竹永 そうだね。「ここがダメでも、自分にはあっちがある」と思えるものが、ひとつでもあると安心だね。

右:ライター佐藤奈保子 左:ライター竹永久美子

フレネミーは誰かを傷つけているという自覚がない。静かに離れるか、周りに相談を!

竹永 でもね、今回の取材で読者さんのアンケートや先生方のお話を聞いていると、〈もしかして私もフレネミーなんじゃないか?〉と思う瞬間もあるわけですよ。
時には、妙に相手を傷つけてやりたいという黒い感情が沸くこともあって……。
いじめられている人を見たら可哀想だと思う共感能力は持ってる。
でも、〈事によっては自分もフレネミーになってしまうんじゃないか〉と、ふと心配になるの。

佐藤 確かに自分に余裕がなかったり、誰かに傷つけられた時には攻撃的な気持ちになりますよね。でも杉浦先生は、フレネミーは自覚がないとおっしゃってました。こういう話をした時に、自分を省みるどころか、バレないようにもっと気をつけて行動しようという考るのがフレネミーだって。
竹永さんも「私って、フレネミーでしょうか?」と先生に聞いていましたが、先生はハッキリ言っていましたよね。「そういう質問をする人はフレネミーじゃないんです」と。
だから大丈夫です(笑)!

竹永 はい。あのひと言には安心しました。こちらの親切心から、フレネミーに対して矯正させようとしたり、人間関係を円滑にするようなアドバイスをすると、逆にフレネミーはそのテクニックを悪用してしまうという話も興味深かったよね。〈先に自己開示すると相手も心を開いてくれるから仲良くなれる〉という心理テクニックを教えると、それを使ってターゲットの懐にスッと入って、最終的には支配に繋げていくというお話。
本当に自覚してないし、逆に悪用しちゃうなんて、驚いたよ。

佐藤 本当に怖いですよね。フレネミーは自覚がないから反省もない。
だから、こちらがいくら訴えかけても改善はしない、ということを肝に銘じておきます。

竹永 フレネミーは誰かに悪口を言ったりして周囲を巻き込む場合もあるけど、ターゲットの被害者は1人というケースが多いよね。周りにバレないよう孤立させて、陰湿に攻撃してくるから、もし今、悩んでいる人がいるなら、勇気を持って周りの誰かに頼ってほしい。
昔、身近でママ友同士のトラブルがあった時に、私もハラハラしながら見守っていた。トラブルが起きやすいママ友関係だからといっても、全員が意地悪な人なわけではないし、中には心配してくれる人も絶対にいるはず。
信頼できそうな人を見つけて相談してみると、案外早く解決するかもしれない。

佐藤 そうですね。フレネミーはターゲット以外には良い顔をするから、周りには気付いてもらえない。被害が大きくなる前に、しっかりと声を上げることが大事ですね。
それができない状況なら、戦おうとせず「静かに離れる」。これに尽きますね。 

竹永 一方で、備えのひとつとしては、フレネミー的なキャラが登場するドラマを観ることが知識と経験に役立つらしい。
次は韓国ドラマの話をしよう!

〈対談・後編〉韓国ドラマ『グリーン・マザーズ・クラブ』がママ友“フレネミー”対策につながる

STORY本誌3月号では「いつも私をモヤモヤさせる……“フレネミー”からの逃れ方」(P.190~)もぜひご覧ください。

STORYライター・佐藤奈保子 6歳と1歳の娘を持つ母。長女出産後5年間の専業主婦を経てライターに。だんだん口達者になってきた長女の言動に驚かされながらも、いずれ迎える思春期には安心して何でも相談できる親子関係を目指した育児を模索中。ジュエリーとクロワッサンが好き。
STORYライター・竹永久美子 中2女子と小4男子の母。スーツ一辺倒だった外資系医療営業から専業主婦時代を経てライターに。”いまを思いっきり楽しむ!”をモットーに、ファッション・美容・ヘルスケア、あらゆるジャンルの新しいものに挑戦する5年目ライター。ジュニアSTORYでは、思春期の子をもつ親としてなにが正解か?取り巻く社会が変わる中で親も変えるべきことを学び発信している。
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