近年、SNSを通じてインフルエンサーの方の整形報告や手順の動画などを身近に見ることができるようになり、10代で整形をしたいと言いはじめる子も増えています。そこでSTORY 世代に多い10代のお子様にスポットをあて、我が子が整形したいと言った時、ママはどのように対応すべきか、10代の整形について東京イセアクリニックの先生に取材をしてみました。
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教えてくれたのは
東京イセアクリニック・鈴木知佳先生
日本形成外科学会認定 専門医・医学博士。平成26年に東京医科大学卒業・東京医科大学初期研修。平成26年東京医科大学形成外科入局。東京医科大学、大学関連病院にて形成外科助教などを経て令和元年に東京イセアクリニック入職。昨今、多くの情報が飛び交う中で、「患者様が納得いくまでとことん向き合うこと。」「患者様に最高の治療を届けること。」で「正しい美容整形」の知識や情報を伝えることを大切にしている。また、プライベートでは一児の母。
★ STEP1「子どもに整形したいと言われたら」
★ STEP2「子どもの整形の基礎知識を知る」
★ STEP3「クリニックの見極め方を知る」
10~19歳の娘&息子を持つSTORY世代ママにアンケート!
テレビ番組やCMで整形を知ったという意見が多数。「普段の会話の中で ママも整形しようかなと言うから 」「テレビを見てて、この人顔変わったよね!整形だよね!と親が話してるのを聞いて」「テレビのCMを見ていつの間にか」というお子さんもいたり、「友達と韓国アイドルの話をしていて、整形したらその子みたいに可愛くなれると聞いた」など友達からやSNSから整形を知ったという声も。
あると答えた方の中には 「目をぱっちり二重にしたい」という声が多く、その他には 「鼻を小鼻にし鼻筋高くしたい」 「えらが張ってるのが気になるのでエラボトックスをしたい」など。
賛成と答えた方も、子どもの意見を聞いて必要であれば賛成するという声が多く上がりました。「程度によるが、それで明るくなるのらいいかなと思う。ただ、一度手を入れたら、元には戻らない。その事を後悔しても、直すことはできない事を分かっているのか話したい。」とリスクも話しておきたいという意見も。
話し合ってから決めるという方からは「これからの未来や自分の人生に本当に必要なものかどうかを話します。」「かっこよさ、美しさには定義があると思うので、子どもが理解出来る年齢であれば、そちらの方面で話をしてみるかもしれません。」「まず娘となぜ整形したいのか?安易な気持ちで言ってるのか。娘の考えや気持ちを第一にいつものように会話するようなスタイルで話しをすると思います。」という意見が。
反対するという方からは「難しいですが、キリがないことやリスクなどを伝えます。」「なぜ整形したいのか話を聞いてあげ今のままの子供で充分大好きであり、整形した姿ではなく生まれた時からの自然な姿の成長をこれからも見ていきたいと思っていると伝える。」「賛成はしないので反対です。整形後、いいことばかりではない事、自分が思ってる顔にならない事、例えその顔で納得したとしても歪んできたりと顔も元に戻れない事を話します。費用もかかることを話します。」という意見が出ました。
STEP1「子どもに整形したいと言われたら」
Q1.「整形したい」と子どもに言われたとき、親としてどういうことを話し合い、子どもに伝えるべきなのか教えてください。
鈴木先生:まずお子さんが勇気を出して親に「整形したい」と言ったものを全否定しないでほしいです。まずは話を聞きましょう。お子さんの気持ちを第一に親が一緒になって悩んであげることが非常に大切なことです。
親御さんには「どうして整形したいと思ったのか」「周りに流されて(SNSなどでインフルエンサーが行っているから)整形したいのか」「どういう整形をしようと思っているのか」など整形をしようと思った経緯を確認していただきたいです。そして、その理由や経緯に対して親御さんが納得できるものであれば、お子さんも後々後悔することもないでしょう。
整形を何のためにするか、ここを治したいというコンプレックスの解消だけですと、それだけで完結することができます。しかし、明確な理由なく「ただ可愛くなりたい」「顔を変えたい」だとなにを目的にやるかわからなくなり、いつまでも満足せず沼にハマってしまうのです。
そして親御さんにはそれぞれの考えがあると思いますので「成人するまで待ってみよう」や「高校入学前に整形しよう」など家庭によって考えが違ってもよいと思います。お子さんのコンプレックスが整形以外のもので解消できないかどうか、内面性の問題ではないのかなど見極めていただき、どうしても整形でないとコンプレックスが解消できない場合は一つの選択肢として整形を考えていただいてもよいのかと思います。
STEP2「子どもの整形の基礎知識を知る」
Q2. SNSでは加工が当たり前の時代。子どもの整形は、増えていますか?
鈴木先生:はい、やはり10代のお子さんの整形は近年増えています。特に二重整形が多いかと思います。性別は関係なく女の子も男の子もいて、男の子は彼女の影響もあって一緒にいらっしゃることもあります。私が施術した最少のお子さんは11歳の女の子で埋没を行いました。理由としては「普段からアイプチをやっているけれど、修学旅行で友達にばれちゃうのがいや」というものでした。
Q3.クリニックの情報はどこで得ているのでしょうか?
鈴木先生:インターネット、SNS、口コミなどでクリニックへたどり着くという方が多いです。中には友達の紹介でという方もいらっしゃいます。
やり取りや意思決定権は勿論お子さんにあります。親が主導な場合も稀にありますが、そのようなケースの場合はお子さんが緊張して話せていなくて親御さんの主張が強くみえるだけなのか、親御さんの主張に流されてお子さんの気持ちが変化しているのかを見極める必要があると思っています。私の場合は、お子さんと2人きりになるタイミングで再度「どうしていきたいのか」を確認する場合があります。親御さんがいらっしゃる時と違う気持ちである場合は、そこに寄り添って、またお子さんと親御さんとの関係性にも配慮しながら対応する必要があります。
しかし、まだ若い方の価値観は不安定であること、変化する可能性があることを親御さんは理解していく必要があります。「いじめ」により本当に悩んでいる場合の意思決定、「〇〇ちゃんがしているからやろう」と流される場合の意思決定、それぞれ親御さんは感じとって、知っていく、寄り添っていく必要があります。
以前は顔にコンプレックスがあっても決して他言することなく、自分の中の悩みとして抱え込む人が多かったと思います。現在は「整形します」と公表して、自ら整形する様子を写真や動画にアップする「コンプレックスを共有」することが増え、そのようなアイコンになる方々に影響されることが多いと思います。
Q4. 子どもが主導、親が主導…親子でくる人はどんな方が多いですか?
鈴木先生:クリニックにたどりつく経緯はお子さんが調べて親御さんを説得する場合もあれば、親御さんが調べてお子さんに勧める場合もあります。8割くらいはお子さん主導で残りの2割は親御さんの勧めでという割合かと思います。中には親御さんが美容整形経験者で、自分も若い時に悩んでいた事があるので子供にも勧めたいと、一緒に来院される方もいらっしゃいます。
Q5.小学生~高校生の子どもの整形のリスクとメリットは?
鈴木先生:メリットはコンプレックスを解消し自分らしさを取り戻せることです。
デメリットは未成年の場合、まだ自分の意思が定まっていないケースもあることです。そのため、カウンセリングでしっかりとお話をした上で、医師として適応があるかどうか、きちんと見極め判断することが大切だと思っています。自分の意思が定まっていない中でむやみに整形する事は避け、自分自身でどこをどうしたいなど具体的な考えを持っていただきたいです。また、一度カウンセリングに親御さんも一緒に来ていただけるとよいかと思います。
Q6.ここはやめておいた方がいいという部位はありますか?
鈴木先生:10代という多感な時期には、大きな変化を得られる手術は避けたほうが良いと思います。
- 二重整形であれば、やり直し(元に戻せる)が可能な埋没法
- 鼻整形であれば、ヒアルロン酸などの注射系
- 小顔整形であれば、エラボトックスや脂肪溶解注射などの注射系
- にきび治療、ほくろの美容医療
など、将来的に後悔のないプチ整形がよいのではないかと思います。10代では傷が残る手術はよく考えて決定していただきたいです。たとえば、鼻などの複合手術や骨切りはリスクもあり、元に戻せないのでおすすめはしておりません。
Q7.ほくろ取りやお肌を綺麗にする施術はどうでしょうか?
鈴木先生:ほくろ取りは、炭酸ガスレーザーや電気焼灼で表面を削る治療と切除する手術で完治させる治療の大きく二つあります。ほくろで悩む思春期のお子さんも多いと思いますので、ほくろ取りに関しては年齢制限なく可能なのではないかと思います。
お肌を綺麗にする美容皮膚科の治療は小学生~高校生にはまだ早いと思われるかもしれませんが、それがニキビで悩んでいる思春期のお子さんであれば早いと感じないのではないでしょうか。ニキビは繰り返す、跡にも残る可能性があるため悩まれている方で治療が可能な方であればぜひ行っていただきたいです。皮脂分泌が活発な10代は、皮脂線の根本治療も将来的には良いので、やりすぎることはないと考えます。
STEP3「クリニックの見極め方を知る」
Q8.クリニック選びのポイントは?
鈴木先生:
- 広告やHPで見たフロント価格から実際にかかる費用が10倍に上がったなど、価格が釣り合がるところはやめる
- 「今日即決したら30万が半額になる」など、カウンセリング当日の施術で割引と提案されても一旦断る
- セカンドオピニオンも聞くことは大切。割引に振り回されず、自分で決めたところに行く
誰しもが割引に心が揺らぐことがあるかと思いますが、その時の判断は危険。迷った場合はカウンセリングのみで一旦考えることをおすすめします。
Q9.どんなところで情報収集するのがいいですか?
鈴木先生:インターネットやSNSからの情報が得られる事が一番多いかと思います。整形手術をされた方々がネット上で【クリニック名・執刀医・整形内容・手術時の様子・術後のダウンタイム・整形前と整形後の比較・手術の感想やアドバイス】などを写真や動画を公開しているため、インターネットやSNSの普及により美容整形に関する情報を容易に知る機会が増えたことや、それによる安心感もSNSやネットが与える影響があると考えます。
しかし、決してSNSやネットが与える影響が全て真実ではないということも若い方には知っていただきたいとも思っています。「〇〇が整形しているから、私もしたい」など周りに影響を受けすぎて必要のない治療まで受けるのはよくないです。受け取る側に「きちんとした目」がないと、危険な要素もはらんでいると思います。
Q10. クリニックでのカウンセリングを受ける際、何に注意すべきですか?
鈴木先生:回転率を重視し、カウンセリングも医師が説明しない所もあります。利益追求だと親身になって話を聞いてくれず、あとはカウンセラーと看護師に任せているところも。中には大切なデザインに時間をかけない医師もいると患者様から聞いた事がありました。
カウンセリングでじっくり話を聞いてもらい納得の上で施術をしていただきたいと思います。少しでも違和感を感じたら、一旦持ち帰って他のクリニックに行ってみたり冷静な判断をしてください。たくさん行きすぎて悩んだ時は良かったところにもう一回行くのもいいと思います。後悔しない決断をしていただきたいと思います。
■東京イセアクリニック
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-3 やまとビル5階
診療時間: 11:00~20:00
フリーダイヤル:0120-963-866
公式HP:https://www.tokyoisea.com/
取材/小出真梨子