ファミコン世代の40代は、子どもの頃に「ゲームはダメ」と言われてきた人も多いはず。そのせいか、親となった今もなんとなくその価値観のまま、子どものゲームを禁止、あるいは制限してしまっていませんか? 「実はゲームが子育ての役に立つ」ということを実践しているという釈由美子さんにお話を聞きました。
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ゲームが入口になって、プログラミングまで学び始めた息子が楽しみです
○ 釈 由美子さん(44歳)
1978年生まれ。東京都出身。女優・タレント。映画『修羅雪姫』、『ゴジラ×メカゴジラ』、『スカイハイ』など数多くの作品で主演を務め、舞台やグラビア、CMなど多方面で幅広く活躍中。息子は今、「マインクラフト」のプログラミングをPCで習っている。
子どもがゲームからゴジラにハマり、家族で淡路島のゴジラミュージアムにも行くほどになったという釈さん。いちばん好きなゴジラはメカゴジラ。「この撮影所も見にきて大興奮し、写真を撮りまくっていました」。
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◇ むしろ私自身がどこまでゲームについていけるか不安です……
私が子どもの頃は、母の教育方針からゲームがほとんど禁止されていました。でも、ちょっと前に自分が声優を務めた「ゴジラ バトルライン」のスマホゲームを息子と一緒にやってみたら、2人でハマりました。
ゲームをして良かったのは〝トライ&エラー〟ができること。息子はオンラインで相手の攻撃を学び、思考力を養い、新しい戦略を覚えてきました。
また粘土で作ったキャラクターを見せて「ゲームにこれを登場させるんだ」と言ったり、卒園式の発表ではプログラミングを駆使してゲーム制作に取り組んだり……。私からは教えることができない想像力に関心しています!
そんな息子のこれからが楽しみですが、PCの電源さえ落とせない超アナログな私にはチンプンカンプン。ゲームのレベルも上がって私は一緒についていけるか不安だし、息子がゲーム優先になってしまうのでは、と思ったり……。最近は「本を読んでからね」と、ゲームをさせるようにしています。
映画出演した縁でゲーム声優に
息子はゲーム制作 にチャレンジ
現在、息子はプログラミング言語を使ったゲーム制作に夢中。自分で考案した「どら焼きザウルス」というキャラクターをゲームに登場させるために、プログラミングを駆使しています。
ゲームの専門家に聞きました
東京大学大学院 藤本研究室 特任研究員 財津康輔先生
◇ 「学校で培うスキル」と「社会で求められるスキル」のギャップを埋めてくれるのがゲームです
ゲームが子どもの教育に与えるメリットは3つ。
1つめは【意欲面】。「勉強しよう」より「ゲームやろう」と言うと、学習活動意欲を高めやすい。ゲームは適切なフィードバックを与え、持続した努力を続けやすい。
2つめは【活動面】。社会の複雑な概念は、座学で身につかないことが多く、体験から理解しやすい。
3つめは【環境面】。ゲームでは失敗してもまた挑戦できる。〈次はどうする?〉の思考が学べる。 ゲームネイティブな今の子は、自分のアイデンティティを持ち、ゲームと付き合っていくことが大事です。
社会で求められるスキルと、学校で身につくスキルはいまだにギャップがあり、それを補うのがゲームを通した学びだと思っています。
◇ 一緒にゲームをしなくても〈親が自分の行っていることに関心を寄せてくれている〉 と思ってもらうことが大事!
釈さんは、ご自身がデジタルやゲームに詳しくないことが不安なようですね。
2人でゲームを楽しむことは良いことですが、たとえ一緒にゲームをしなくても、興味を持ってあげるだけでいいのです。子どもは自分が取り組んでいることを認めてくれるだけでも単純に嬉しいのですから。
撮影/平井敬治 ヘア・メーク/田中宏昌 スタイリスト/安永陽子 取材/東 理恵 ※情報は2023年4月号掲載時のものです。