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Lifestyle特集

澤 穂希さん、強いメンタルの秘訣は「人と比べない心」

多忙な40代の春は、概してメンタルも落ち込みがち。そこで、記録と共にメンタルも最強の40代女子BIG2、吉田沙保里さん、澤穂希さんに「つよメンタル」の作り方を聞いてみました。お2人の知られざる〝今〟の姿も必見です! 今回は澤 穂希さん編です。

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目次 ★ サッカー界のレジェンド 澤 穂希さん 44歳
★ 澤さんの 「つよメンタル」History
★ 〝強み〟を磨き、〝弱み〟は人に任す 。私にあるのは、「人と比べない心」です
★ 澤さんにとっての 「強さ」「弱さ」 って?
★ 悩める読者から澤さんへのQUESTION

サッカー界のレジェンド 澤 穂希さん 44歳

子育て中なので動きやすいパンツスタイルが多いです。鮮やかなカラーの服を着ると新鮮な気分になり元気になれます。

ブラウス¥25,300(フィル ザ ビル/フィル ザ ビル マーカンタイル 青山)パンツ¥49,500(ピーティートリノウーマン/トレメッツォ)ピアス¥13,200(メラキ/フラッパーズ)リングは澤さん私物

Profile 1978年東京都生まれ。6度のワールドカップに出場、2011年大会で初優勝。大会得点王とMVP、同年度のFIFA年間最優秀選手を受賞。4度のオリンピックに出場し、2012年大会で、銀メダルを獲得。2015年に引退。

澤さんの 「つよメンタル」History

1993年
15歳で日本女子代表に初招集

2004年
アテネオリンピックで、ベスト8。「AFC(アジアサッカー連盟)年間最優秀選手」を受賞

2008年
北京オリンピック出場、ベスト4

2011年
ワールドカップドイツ大会にキャプテンとして出場し優勝。得点王とMVPを獲得

2012年
FIFAバロンドール授賞式にて男女アジア人初となる「FIFA年間最優秀選手」受賞。ロンドンオリンピックで日本女子代表初の銀メダルを獲得

2015年
ワールドカップカナダ大会に出場、チームの準優勝に貢献。12月に現役を引退

〝強み〟を磨き、〝弱み〟は人に任す 。私にあるのは、「人と比べない心」です

◇ 日本代表から外れた14’年は、メンタル的に辛い時期でした

2015年に現役を引退しました。それは、体と心の両方ともが自分の理想とするコンディションではなくなり、トップレベルではプレーできない、そう思った時でした。決断に後悔はなく、納得のいく、やり切ったサッカー人生でした。

2014年、一度代表から外れた時には、頭の中に〝引退〟の文字が浮かび、メンタル的にしんどい時期がありました。でも、体はまだ動けるし、メンタルの部分を乗り越えたら、まだサッカーを続けられると思いました。体と心、どちらか一つだけではダメ。体と心は両輪なんです。それから自分自身の気持ちを立て直し、2015年のワールドカップにも出場して、現役生活を続けることができました。

選手生活の中では、ケガや体調不良で試合を欠場せざるをえないことも何度かありました。でも、そのケガをしたことには意味があると思っています。休んだ時間は、自分を次のステージに連れて行ってくれるステップです。走れることも、サッカーができることも、当たり前じゃないと気づかせてくれます。そう、ケガによる休養は、メンタルを整えるための大切な時間。体が回復した後は、辛いと思っていたトレーニングさえ楽しく、その喜びを再確認させてくれました。

◇ 子育てする中、これまでにない喜怒哀楽と向き合っています

娘を出産してからは、子育てに専念する毎日。思い通りにいかないことの繰り返しで、正直難しいことばかり。こちらがこうなってほしいと思うようにはまずいかないですし、正解もありません。「こんなに怒ったことあったっけ?」とか、「私、こんなに頑固だっけ? 心が狭いな」なんて、サッカーでは感じることのなかった新しい喜怒哀楽を毎日味わっています。

この春からは娘も小学生。一人でできることが増えて、成長した喜びとちょっぴりの寂しさに、あっという間だなと感じます。だから、今は娘の成長を一瞬たりとも見逃したくない。子育ては大変な反面、こんなにも大切な存在に出会えたんだという喜びと、たくさんの気づきを私にもたらしてくれます。

子育てをする中、「他の子と比べて悩む」という声を聞くことがありますが、私自身、現役時代から人と比べることがありません。人と比べることより、自分の弱さを素直に認め、その一方で「自分の強みは何だろう――」そう考え、それを伸ばすということに意識を向けてきました。だから、苦手なPKでは手を挙げず、得意な選手に蹴ってもらっていましたね(笑)。私がブレずにいられるのは、「人と比べない心」があるからかもしれません。

思えば、今の私があるのは母のおかげ。小学校2年生の頃、サッカーに夢中だった私を見て、当時女子入団の前例がなかったクラブチームに、「うちの娘で新しい歴史を作ってください」と掛け合ってくれたんです。小さな頃からとにかく好きなことをやらせてくれました。私の〝強み〟を一番知っていたのが、母だったのでしょう。

そんな母の口癖だったのが、「チャンスの波に乗りなさい」という言葉。そう聞かされて育ってきたので、いつ来るかわからないチャンスの波に乗れるよう、いつも準備していました。夢は自分から諦めない限り逃げていきません。波に乗ってみて失敗したら、泣けばいいんです。さんざん泣いた後に笑える、それが次の強さに繫がっていくのだから。娘にも、自分をしっかりと持つ強い女性になってほしい、そう思っています。

澤さんにとっての 「強さ」「弱さ」 って?

  • 「強さ」▶️ たくさん泣いた後に笑える心
  • 「弱さ」▶️ 素直になれない頑固さ

悩める読者から澤さんへのQUESTION

Q.息子はずっとベンチです。 サッカーは「好き」なようですが このまま続けさせるか迷っています。 (山口さなさん 45歳 主婦) A. そもそも、それはお母さんが決めることなのかしら? 「ベンチはカッコ悪い」と目先の結果に囚われがちですが、お子さんは大器晩成型かも。お子さんの〝好き〟を信じてその気持ちを大切にして。
Q.広告代理店で 仕事をしています。 プロジェクトで一人だけわがままな人がいますがなかなか注意できません。 (山本加奈子さん 45歳 広告代理店勤務) A. 問題があるとわかっていて見て見ぬフリをするのは絶対に良くない! 白は白、黒は黒です。そのままでは、チームは一つにはなりません。一人でやろうとせず、皆で解決する方法を考えてみましょう。
Q.小学校3年生の息子は、「自分なんて……」と言うのが 口癖で、すぐ諦めてしまいます。 どう導けば良いですか。 (田沼恵子さん 42歳 主婦) A. 小さな成功体験を積ませて、たくさん褒めてあげてください。それから、お母さん自身も好きなことを見つけてその背中を見せてあげるといいですね。頑張る姿がいいお手本になると思います。

撮影/須藤敬一 ヘア・メーク/森ユキオ、陶山恵実(ともにROI)スタイリスト/石毛のりえ、竹村はま子 取材/小仲志帆、片山あゆみ ※情報は2023年5月号掲載時のものです。

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