中1の男女双子の子どもがいるSTORYライター・東 理恵です。
本誌7月号P.200~のJuniorSTORY企画で「息子のダラ勉」について取り上げましたが、うちの息子も動画を見ながらプリントを開き、ダラダラしっぱなしです…。
宿題やテスト勉強は「しまった。今日は理科をやらないといけなかったんだ!」「あ、漢字テストは50問テストだった!」と直前に慌てる始末。母としては、本当にもう何をやってんだか……と思う日々です。
でも、開成学園の元校長・柳沢先生が「男子は切羽つまらないとできないもの。そこで自分がどう勉強すれば良いかを失敗しながら学べばいい」とお話しされていたので、最近は口を出さず、子どものドタバタをほっておくことにしました。
そちらの記事については、ぜひ本誌をご覧ください。
子どもに対して上から目線の子育てにならない方法は? 新山千春さんINTERVIEW
そして、他にも興味深いお話がたくさんありました。誌面ではお伝えできなかった柳沢先生のインタビューの内容をこちらで紹介させていただきます。
令和の時代は男女別学がジェンダーレス教育に役立つ
歴史的に見れば、もともと「男女別学」には差別的な背景がありました。男子校は社会のエリートを育てる機関で、女子校は良妻賢母を作る場所でした。それが戦後、1947年の学校教育法により、男女の教育機会均等がうたわれ、共学が推奨されました。
そう考えると、共学のほうが男女平等だと思いがちですが、私はそう思いません。もちろん成熟した大人の世界では男女は完全に平等ですが、思春期段階の中高生は「男女別学」が良いと思っています。
思春期は、自分自身の体が男として、あるいは女として、はっきりと成長していく年齢で、子どもたちも徐々にそれを意識していきます。そんな時期に、例えば、共学で修学旅行や林間学校に行った場合、“食事を配膳するのは女子の役割”“キャンプファイヤーの薪を運ぶのは男子の役割”と思い込み、口に出さずとも自然と男女がそのように行動します。子どもたち自身は無意識でも、今までの社会の刷り込みによって、ステレオタイプな男女役割分担をそのまま引き継いでしまう。それぐらい今までの社会のジェンダーギャップは深いものですから。
ところが、男女別学であれば、今までのジェンダーの刷り込みは通用しない。すべての作業を自分たちがするしかない。男子校では「今まで料理をしたことがなかったけど面白いかも!」とか、女子校では「初めて大工仕事をしたけど、こんなに楽しいとは!」といった自分の新しい一面を発見する機会が得られるのです。ジェンダーギャップに影響されないので、自分の可能性も広がります。
特に思春期男子の場合は、親の話はあまり聞きません。それよりも1~2年上の先輩の話に引き込まれたりするものです。同性の先輩を見て、学び考えることが多い。少し上のお兄さんたちの意見は素直に聞き入れます。親に反発する時期があって当然なのです。
以前、私が校長をしていた開成学園では、自然発生的にお弁当や料理を作るグループができあがり、楽しそうに作って食べていました。男女共学ではありえないのではないでしょうか。クイズ王の伊沢拓司君も開成時代は、ミニ回転寿司をして楽しんでいたようです。自由な校風だったので、それをしても誰も文句を言わないし、怒らない。そういった経験をしてこそ学べることもあるのですから。
一方で、女子校も昔とは変わりました。今では、良妻賢母ではなく、女性キャリアを育むための教育に力を入れています。10年前、20年前とは変わったのです。
子どもには「リビング学習」を!
それともうひとつ、私が子どもの勉強に関してお話したいことがあります。それは子どもに「子ども部屋」で勉強させないでください。テレビの音が聞こえたり、誰かがいるような「リビング学習」をお勧めします。将来、社会に出た際、会社には横に誰かがいて、一緒に仕事をする機会が多いです。フリースペースで仕事をするというところも増えています。職種にもよりますが、閉ざされた自分1人の空間ではなく、どんな場所でも勉強できるようにさせておくほうが良いでしょう。
撮影/吉澤健太 取材/東 理恵
東 理恵
中1男女双子の母。大阪在住時は放送作家を、東京では某百貨店でPOSレジ業務勤務を経て、STORYライター歴6年目に突入。「思春期の男女って、それぞれ違うなぁ」と感じる日々を過ごし中。