コンプレックスをいつも抱えて後ろ向きになってしまう……。誰もがそんな悩みをひとつは持っているかもしれません。今回は、見た目のコンプレックスで一度は引け目を感じながらも、〝それが私の個性〟と受けとめて、世界を広げた方々を紹介します。
田村麻美さん 税理士
39歳・東京都足立区在住
顔にコンプレックスがあったからこそ
自分を客観視して強みを伸ばせました
自分を客観視して強みを伸ばせました
小学生のころから、自分は可愛くない、自分の見た目が嫌いと思うようになったのですが、男性にモテたい”欲”は強くて。トレンディドラマみたいな恋愛をして結婚したいと強く願っていました」という田村麻美さん。
結婚という目標を達成するため「見た目が武器にできないならどうすればいいかを考えた結果が勉強でした。もともとコツコツ勉強するのは得意。学歴を持ち、高収入を得られたら、男性に好かれる一要素になるのでは?と思ったんです」。
努力のかいあり、県下一の女子高に合格。女子だけなので面白キャラを確立して話術を鍛え、大学時代に念願の彼氏もできました。一方で、税理士資格取得に向けての勉強も開始。「実は、男性にメリットと感じてもらえる程度の資格なら、なんでもよかったんです。税理士は、女性が極端に少ないので、チヤホヤしてもらえるかもという期待もあり(笑)、結婚できなかった場合の保険でもありました」。
そして、大学院を経て大手税理士事務所に就職。25歳で税理士試験に合格し、順風満帆と思えたのですが、「定年まで働くつもりが、組織に馴染めず、1年10カ月で退職することに。一般的なライフステージに乗っていないと落ち着かないたちなので、本当に落ち込みました。コツコツ続けられるのが取柄と思っていたのに長続きせず、26歳で無職、彼氏もおらず」。
傷心を癒そうと北海道旅行に出かけました。「すると、ひとり旅をする気ままな人や、流れ着いた北海道が好きになって宿を始めたオーナーなどに出会い、人生のレールは1本だけではないと気づいたんです」。田村さんの価値観は大きく変わりました。
家に戻ると「以前は就職は東京と決めつけてたのですが、地元埼玉で再就職。ハイスペックの男性が好みでしたが、一緒にいて心地よいと思える人がいいと思うようになり、合コンで知り合った今の夫と同棲を始めました」。
そうして、29歳で、結婚。同年、税理士事務所を開業し、翌年出産、と人生の目標を一気に達成できたのです。そして、それを書籍化するチャンスにも恵まれました。「コンプレックスがあったからこそ、自分を客観視して、戦略を練り、実践しました」。それが、開業後の営業力にも繋がっています。
「美人だったら、きっと努力しなかった。ただ、100%完璧な人でないかぎり、他者との関わりの中で生きていく以上、どうしたら人に認めてもらえるか、好いてもらえるかを考え、気持ちを想像して、行動を起こすことは大切だと思うのです。昔は、自分が嫌いでしたが、今は、好きです。それは、頑張ってきたという自信があるからなんですよね」。
撮影/BOCO 取材/秋元恵美 ※情報は2023年8月号掲載時のものです。