「一家の大黒柱」と聞くと男性を思い浮かべるのは一昔前。今は、時と場合によって「大黒柱」が変わる時代です。男女関係なく一家を支えていくことは大変なこと。仕事と家事、育児の両立に悩みながら、パートナーと共に支え合い、それぞれの幸せの形や新しい家族の在り方を見つけた方々をご紹介します。
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放送作家・野々村友妃子さんに聞く「妻が大黒柱」で家庭がうまくいく秘訣
住谷杏奈さん 40歳・東京都在住
商品プロデューサー、美容サロン経営
夫婦がお互いにやりたい仕事をして
上手くいかない時は助け合うのが理想形
上手くいかない時は助け合うのが理想形
「フォー!」で大ブレイクした直後の’06年に杏奈さんはレイザーラモンHGさんと結婚し、念願の専業主婦になりました。’08年には、第一子を出産し子育てに専念。ところが、翌年、HGさんは、出場していたプロレスの試合中に大けがをして緊急入院したのです。「夫はこの世の終わりのように泣いていました。入院が長引き、とうとう月の給料は7千円に。オムツが買えない、私が働こうと思いました。
でも、1歳児を抱えてフルタイム勤務は難しい。そこで、物販をしようと考え、思いついたのが、子どももママも安心して使える石鹸でした。工場に手あたり次第に電話をし、納得のいくものを作ってくれるところを探し、夫にパッケージのイラストを描いてもらい、商品化しました」。入籍後に始めたママブログで発売日を告知すると「その日のうちに完売したんです。これでやっていけると思いましたし、仕事が楽しくなっちゃったんです」。
専業主婦の時はお金の使い方などに遠慮があったという杏奈さん。「働いて自分の好きなタイミングでお金を使えるのはいいなと思いました」。その後も試行錯誤しつつ商品を開発し、事業を拡げていきました。一方HGさんは、8カ月の療養を経て復帰し、地方劇場の出演を再開。「今でこそ、夫は劇場でスキルアップして基盤を作っているのだと理解していますが、当時は、子どもが小さく、いっぱいいっぱいで。私が効率よく稼ぐから、地方の劇場の仕事は断って子どもを見ていてと言ってしまった時期もありました」。
そして、第二子出産後に「物販で貯めた1億円を元手にママカフェを開業したんです」。ところが、理想を詰め込みすぎて経費がかさみ、「お客さんが入れば入るほど赤字になり、1年半で閉店する事態に」。当時は、HGさんが漫才で活躍していて「一文なしで、もぬけのカラの私を『そんなこともあるよ』と励まし、養ってくれました」。
その後、杏奈さんは、再度事業を起こし、現在では、ビューティサロンを都内5店舗経営するまでに成長しています。「今は、子どもも大きくなり働きやすい時期。私が大黒柱になると気張っていた時も、夫は、家賃や子どもたちの学費は自分で稼ぐと決めていたようで、仕事熱心でしたし、家事も分担してくれます。私の仕事が上手くいったのは、夫の名前があったからこそ。感謝してます。互いが自立して働き、家族を守っていくのが理想形。いいバランスになってきたと感じます」。
ブラウス¥14,960 スカート¥26,400(ネイヴ/オンワード樫山) ネックレス¥25,000(アフェクト/LUCKY & CO.,LTD.)
撮影/BOCO 取材/秋元恵美 ※情報は2023年9月号掲載時のものです。