「一生、添い遂げる」と一度は誓った夫婦。しかし、さまざまな理由で離婚という答えを出すこともあります。憎しみのない円満離婚は難しいことなのでしょうか。いろいろあったけど、今は支え合う間柄――結婚というカタチにはこだわらない元夫婦の様子を取材してきました。
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離婚後、元夫と共同養育を通じて今では「ありがとう」と言いあえる仲
村上里恵さん(仮名)52歳
神奈川県在住 会社員
一度別れたからこそ 気付けたこと。
やっぱり彼と人生を歩んでいきたい…
やっぱり彼と人生を歩んでいきたい…
出会いは、村上里恵さん(仮名)が24歳の時。派遣社員として配属された会社で、正社員として働いていた彼と意気投合し、お付き合いが始まりました。「優しく穏やかな性格の彼と一緒に過ごす時間は心地よく、気付けば10年。付き合いが長くなると結婚するタイミングって難しいですが、なんとなくお互い〝そろそろかな〟と思ったのがちょうどこの時期でした」。
しかし結婚した後、彼の仕事が忙しくなり、一緒に過ごせる時間がほとんど取れなくなります。村上さんも、その頃始めたイベントコンパニオンの仕事が楽しくなり、2人は次第にすれ違うように。「こんな状態なら、一緒にいる意味ないなって思っちゃったんですよね。私から別れようと言いました」。離婚には反対だった彼と一度別居。3年ほど離れて暮らし、最後は村上さんの意思を尊重する形で、10年間の結婚生活にピリオドを打ちました。
離婚後はしばらく会うこともなく、村上さんは別の男性とお付き合いした時期もあったそうですが、無意識のうちに彼と比べてしまい、長くは続かなかったといいます。それから数年後、事務的なことで村上さんから彼に連絡を取り、2人は再会。時間が経っていたこともあり、離婚当時のちょっとギスギスしていた空気はなくなり、仕事のことから昔のことまで何でも話せる友人として、定期的にご飯に行くようになりました。そんな〝友人〟としての関係が、〝大切な人〟へ変わるきっかけになったのが、今から2年前、村上さんが入院した時でした。「体調が悪く、ひとりで心細かった私をLINEで元気づけてくれたり、留守中の家の掃除をしてくれたりと、彼の支えに本当に救われました。自分のことをわかってくれているのは彼だと気付き、やり直そうかなと思ったんです」。
再び交際することになった彼との現在の楽しみは、一緒に旅行すること。最近は2人で出かけるだけでなく、共に入っているオンラインサロン主催の、大人数の旅行に参加するなど、行先も旅行の形態もさまざまで、「別れる前より仲がいい」と村上さんは話します。
彼からは「きちんと籍を入れよう」と言われていますが、村上さんは〝同じ失敗を繰り返してしまうのではないか〟という不安から再婚に慎重です。「親も友達も周りは皆、私には彼が合っていると口を揃えて言い、再婚にも大賛成。でも私は、また一緒になるくらいだったら別れなきゃよかったのかなって、過去を悔いてみたり(笑)。ただ、別れたから彼の大切さに気付けたのかもしれないとも思うんですよね。あのまま結婚生活を続けていたら、今のような関係性にはならなかったのかも……。今はまだ籍を入れるかどうか迷っていますが、自分の中でひとつだけはっきりしているのは、これから先の人生は、彼と一緒に歩んでいきたいという思いです」。
撮影/BOCO 取材/篠原亜由美 ※情報は2023年10号掲載時のものです。