幼いときに芸能界にデビューし、人気絶頂を経験したアイドルや子役さんたち。大人になっても芸能活動を続けている方もいれば、違う世界に飛び込んだ方もいます。STORY世代になった今、当時自分に向けられた熱狂をどう感じているか、また、それが、その後の人生にどんな影響を与えたのかを、お話しいただきました。
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宮前真樹さん 50歳・東京都在住
料理研究家・タレント
嫌だった「元アイドル」の肩書が
今はすんなりと
受け入れられるようになりました
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料理研究家として活躍中の宮前真樹さんは、’89年にアイドルグループCoCoの一員としてデビューしました。「休みはなかったですが、毎日新鮮で楽しいし、なりたかったアイドルなので、忙しいことは全然苦ではありませんでした」。
しかし、食生活がガラリと変わり、睡眠をきちんと取れないことが続き、メンタルが崩れてきて体重が増えてしまったそうです。そして、会ったこともない人に容姿を攻撃されるという経験を16歳のときに受け、辛かったそうです。「優しい声よりも一つの意地悪な言葉のほうがどうしても記憶に残って傷つきました。そういうことが続くと『どうせ私のことを応援してくれる人なんて、もう1人もいない』などと考えてしまい、その時期がいちばん辛かったです」。
CoCoは、’94年に解散し、その後ソロ活動を始めました。「バラエティ中心に活動していました。しかし、どんなにやってもアイドル時代の充実感は得られませんでした」。
その頃、生活サイクルと、食事と体質改善をきちんとしようと、断食場で断食を1週間体験。そこで、初めて座学で食事について勉強し、食に興味を持ちました。ただ、すぐに食の仕事に進もうとは思わなかったと言いますが、その後、習いに行ったケーキ教室で「アイドルって楽しい」と感じたのと同じぐらい楽しくなって、はまってしまったそうです。
30歳で芸能活動をやめ、その後ル・コルドン・ブルーに入学。芸能人と見られたくなくて、積極的に打ち解けようとしなかった宮前さんでしたが、いい出会いがたくさんあり、今でも仲良くしている仲間がたくさんいるそうです。
「元アイドルと呼ばれることはすごく嫌で、料理の仕事でやっていくと決めたときは、本当に邪魔だと思っていました。しかし、ある時に『すごい武器を持ってるのに、なんでそれを使わないの』って言われたんです。本当に衝撃的でした。それまでは元アイドルという言葉はずるい気もするし、なめられる気もするので使いませんでした」。
マイナスな感情しかなかったけど、それは武器だよと、真正面から言ってくれる人に出会ってからは、使うことに抵抗がなくなったと話す宮前さん。「50歳になって、こんなふうに元アイドルということで、ファンの方が喜んでくれたり、一緒にお仕事する人が喜んでくれたりする未来を想像していませんでした。アイドルってすごく幸せな仕事だと思って、今は『元アイドル』という肩書を積極的に使ってます」。
犬の管理栄養士・ペット食育士
愛犬のエルマーちゃんと。「ペットフードのレシピ開発もしています。定期的にカルチャーサロンで愛犬と一緒に食べられるケーキ教室などを開催しています」。
ロールケーキブランド「maq bon」デビュー!
「maq bon(マキュボン)は、すべて私が手作業で仕上げています。小麦粉・米粉・バター・油・白砂糖を一切使わないグルテンフリーの生地を使ったロールケーキ。メレンゲを焼いて、生地にしています」。
Her history
撮影/BOCO 取材/加藤景子 ※情報は2023年11号掲載時のものです。