一年中グラつきがちな「母メンタル」に、中受のプロ、脳科学者、先輩ママがそれぞれの立場から時期ごとにPOINTをアドバイスしてもらいました!
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◇ 親自身が決めたゴールに一喜一憂せず、子どもと一緒に可能性にワクワクして
新6年生の幕開けの第1期、塾では志望校によりクラス分けされ、改めて数字として可視化された我が子の立ち位置に動揺するママも多くいらっしゃいます。でも、それは「ココに行かせたいのにこの成績じゃ……」と、親が勝手にゴールを設定し、それに〝届かない〞と悲観しているケースがほとんど。この時期に、子ども自身が「絶対にこの学校じゃなきゃ」と思っているケースは稀です。
それなのに、ネガティブな言動を取ることは、子どもの頑張る気持ちを挫くだけで、一利なし! です。「この学校に行くため」ではなく、伸びるところまで伸ばして、その選択肢の中で合う学校を選ぶのが幸せな受験です。子どもと一緒にその先の可能性にワクワクしてほしいですね。
また、第4期は外部模試や過去問が始まり、具体的に受験する学校が見えてくる時期。この時期も親側の勝手な期待が残り、「ココを受けるはずじゃなかったのに」とメンタルが落ちがちです。焦りから問題集を買うなど、やることを増やしてしまうママも多いのですが、子どもを不安の解消道具にしては、良い結果を生みません。
親子のメンタルはとても近く感情面がシンクロしやすい。だから、子どもと一緒に受験する学校のいいところを見つけて、楽しんで。ポジティブな言霊こそ、メンタルに有効です。
【小児脳科学者】成田奈緒子先生が、第5期(12月~1月)にアドバイス!
◇ 母の「落ちても大丈夫!」という笑顔で、リラックスさせ本番で力を発揮する脳に
直前期(第5期)、親は「合格しなくちゃ!」と、そこだけに注力してしまいがちですが、それは母子ともにメンタルの危険信号です。ここ数年感じるのは、ママたちの「もし、落ちたら」の想像力の欠如です。「第一、第二志望が不合格だったら……」、これを冷静にシミュレーションできるママは少ないですが、実際はそういうこともあり得ます。
12歳の脳は、〝試験に落ちる〞という抽象概念を想像することは難しい。その分、親が危機管理として「このが落ちても大丈夫」というメンタルを持ち続け、「公立もあるし、大丈夫よ」と笑顔で伝えると子どもの不安度が下がり、脳が本領を発揮できます。
私は、今は大学生の娘が中受をした際、直前期の2週間は仕事を完全に休み、勉強する娘の傍らで大好きな刺繡をして過ごしました。ご機嫌な私の横で娘はリラックスして勉強し、お昼になると近所のレストランへ出かけていました。今でも「あの時楽しかったね」と娘とよく話します。
思春期受験は、この先の親子関係のベースとなります。今は働くママも多いと思いますが、直前期は受験という名目のもと、子どもと一緒にいられる良い機会。美味しいものや好きなこととともにご機嫌に伴走してください。不安で焦る気持ちもあると思いますが、下腹部に重心を置いて本気の笑顔でね!
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◇ 長時間塾で過ごすGWと夏休みは、母にとっては格好の抜きどころです
私の経験上、GWや夏休みは本番に向け、ママはメンタルの「抜き方」の練習をしておくと良いです。直前期にはさらに追い詰められ、ややもすると、親子関係が破綻してしまうから。
もし、子どもが塾で勉強している時間に、ランチやショッピングとOFF時間を楽しむことに罪悪感を感じるとしたら、「無理を強いて勉強させている」と潜在意識で気付いているはず。長男の中受の時は「そこまでしなくていいよ」の一言が言えなくて無理をさせていたかもしれないと思います。あの頃、この一言を言えていたら、もっと息子のパフォーマンスも上がっていたはず。
母メンタルのチェック法としては、自身の好きなもの、例えば『STORY』を読んで「この服素敵!」と、ときめいていた心が、動かなくなったら黄色信号。そんな時は、我が子を暴言で追い詰める前に、幼少期の動画を眺めるのがオススメです。私自身「この前と同じ漢字間違えてるよ!」と憤る気持ちを、舌足らずで可愛かった我が子の動画を観ることで、「ただ健康なだけでありがたい」という気持ちに変えたり(笑)。
そして、家族で挑む中受のOFF時間として、GWや夏休みにしばし一泊二日の神頼み旅行を企画するのも手。〝抜き上手〞になることも、中受戦線を乗り切る大事なポイントです。
撮影/田頭拓人 取材/奥村千草 ※情報は2024年3号掲載時のものです。